音速のドラ猫24

 

今日は副隊長考案の合同家族旅行の日だ。
有名な温泉旅館に2泊3日で旅行に行く予定だ。

〜NOAH車内〜

樹「ふふふ〜ん♪」

みゆき「お父さんが車運転してるのって何か新鮮な光景かも」

佳奈多「私もそう思うわ。」

沙耶「ごめんなさい、本来なら私が運転するはずなのに…」

樹「かまへんかまへん、失敗は誰にでもあるさかい。俺と理樹で交代しながら運転するから気にせんでええよ〜」

理樹「沙耶、あまり気にしないで」

沙耶「ありがとうございます…」

里沙「あぶっぶっ〜」

沙耶は免許証を家に忘れてしまったようで運転を交代することができずに落ち込んでいた。

みゆき「あ、理樹お兄ちゃんは何か飲む?」

理樹「ありがとう。お茶を貰うよ。」

みゆき「はい、綾○で良かったかな?」  

理樹「ありがとう。みゆきちゃん沙紀も水分はこまめに摂るようにね」

沙紀「は〜い!あ、おじさん!」

樹「ん?どないした沙紀ちゃん」

沙紀「今日、行く温泉ってどんなとこなの?」

樹「それは着いてからのお楽しみやで」

みゆき「露天風呂が凄いらしいよ〜」

沙紀「そうなの!?楽しみ〜」

理樹「沙紀、はしゃぎすぎだよ…」

樹「理樹、かまへんかまへん子供はこんぐらい無邪気でないと」

理樹「はは…ありがとうございます。」


〜ステップワゴン車内〜

玄武「それにしても…賑やかだね」

真人「賑やかだな…」

俺は運転しながらふと呟いた
この車には俺の家族と葉留佳の家族の合計6人が乗っている。

由紀「わ〜凄い〜 大きい山だ〜」

大翔「凄いね〜」

唯湖「あれは八甲田山だな。青森でも有名な山だよ…冬場はスキーも出来る」

葉留佳「さすが姉御、詳しいですネ〜」

唯湖「はっはっはっよせ 照れるじゃないか。」

由紀「どこに向かってるんだろ?」

大翔「ねぇ、ママどこの温泉に行くの?」

葉留佳「それは着いてからのお楽しみですヨ〜」

真人「そうだぞ、大翔、今日はパパと一緒に寝るかッ?筋肉で包み込んでやるぞッ」

大翔「嫌だ、ママと寝る」

真人「ガーンッ ショックだぜ…」

車内「wwwwww」

先輩の話によればどうやら宮城県仙台市にある温泉旅館に行くようで…青森から車で4時間半長旅になりそうだ。

〜東北道某SA〜

玄武「う〜んッ…ここで半分か」

真人「だな。運転変わるぞ?」

玄武「いや、まだかまんよ。それより車酔いとか大丈夫か?」

真人「おう!俺の筋肉は車酔いなんかしねぇのさッ」

大翔「さすがパパだね。僕もパパみたいに早くムキムキになりたいなぁ〜」

玄武「え、この歳で筋トレしてるん?」

真人「おうよ、一緒に鍛えてるぜッ ほれ、見てみろよ。」

大翔「わッ…」

そう言うと真人は大翔君の着ているシャツを胸あたりまで捲り上げた。

由紀「凄〜い、板チョコみた〜い」

唯湖「うむ、なかなかの腹筋だ流石は真人君のご子息だ。」

葉留佳「母親からすれば少し将来が不安なんですけどネ〜」

玄武「6歳で腹筋がバキバキって…」

唯湖「うむ、なかなかの肉体美だ。」

佳奈多「何やってんのよ…貴方達」

樹「SAでいきなり筋肉番付ってw」

理樹「やっぱ、真人はどこまで行っても真人だねぇ〜」

咲「ヒロくんの筋肉凄〜い」

みゆき「逞しいね、ヒロくん」

大翔「ッ…(////)」

樹「照れてんねぇww」

玄武「ウブだなぁ〜」

その後、各自でトイレに行ったり
自販機でジュースを買うなどして…15分後にはSAを後にした。

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〜三沢基地 アラート待機所〜

豊「はぁ…」

祐介「豊、今ので3回目だぞ…いい加減に元気出せよ。」

豊「だって…だって、俺だって温泉旅行に行きたかったですもん!」

朋也「仕方ないだろ。お前が寝てたのが悪い」

豊「確かにそうですけど…」

沙都子「まぁ…仕方ありませんわ。」

祐介「にしても…珍しい面子だな。朋也と沙都子が居るのって何か新鮮だ。」

朋也「そうだな。何気に初めてじゃないか?俺達がアラートで一緒になるのは」

沙都子「そうですわね。」

豊「はぁぁぁぁぁぁ…」

発令士官「ほれ、これやるから元気出せ。」スッ

そう言うと発令士官である内藤曹長は豊に一冊の本を渡していた。

豊「何すか?これ」

内藤「まぁ、良いから。手が空いたときに読んでみんさい。」

豊「了解っス」

夜中に豊がその本を持ってトイレに行った事は俺だけが知っている秘密だ。

〜北部SOC〜

康平「ありゃ、熊岡1尉は休みか」

さゆり「そのようですね。連休なので…」

康平「世間はGWか〜」

さゆり「班長は帰省はされないのですか?」

康平「帰省したところでな…する事ないし」

さゆり「そうですか…」

康平「安村1尉は帰らないのかい?」

さゆり「主人の地元に帰省する予定です。」

康平「へぇ〜旦那さんの地元はどこなの?」

さゆり「山口の周南です。」

康平「遠いな…」

⁇?「そんな事ないでしょ。康平くんの実家だって遠いじゃない。」

ふいに後ろから話しかけられ、振り向く。
そこには…

康平「美鳥か。いつの間に来てたんだ?」

彼女は…

西園 美鳥 2等空尉 

西園 美魚 2等空尉の双子の妹で、北部SOC内にある衛生隊で勤務している。
沢田3佐とは恋仲だ。

美鳥「さっき来たのよ。私のことを忘れるなんて酷いな〜」

康平「忘れてなんかないよ。」

美鳥「ふふ、そう?なら良いんだけど」

さゆり「おはようございます。美鳥さん」

美鳥「おはよう♪ さゆりちゃん」

さゆり「朝からご機嫌ですね。」

美鳥「今日は康平くんとデートだからね〜」

康平「え、ちょ…」

さゆり「良いですね。羨ましいです。」

美鳥「それじゃ〜ね。さゆりちゃん」

さゆり「ええ、失礼します。」ペコ

私は2人に一礼すると司令所の中へと戻った。

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〜某所〔屋根裏〕〜

暑いわね…ここへ潜入して何時間経つかしら。
奴らの狙いは何なのか…未だそれが掴めていない。隣には、一緒に潜入している相良2曹が居るが…この暑さなのに汗ひとつかいていない。

梨花「ねぇ…相良くん。」

宗介「何でしょう?」

梨花「奴らは何か喋った?」

宗介「今のところは何も喋ってないですね。ただ…気になるワードがいくつか…」スッ

彼が渡してきたメモには…

〔次の標的はあの男〕〔事故と見せかけて〕
〔佳奈多を一番悲しませる方法〕など
不穏な言葉が並べられていた。

そして…下から聞こえてくる声には

男〔あの女は一族の面汚しじゃ、それにあの女と結婚した熊岡という男 奴にも痛い目を見せてやらんとなッ〕

男2〔まったくで御座います。〕

男〔あの男を殺して…奴の首を晒し首にしてやろう。ひっひっひっひっ…〕

男2〔貴方も中々 趣味が悪いですな。源蔵殿〕

源蔵〔ふん…何を言うか森くん。君だって中々の悪党ではないか。〕

森〔否定はしません。〕

現在…二木家の当主である。
二木 源蔵と森と呼ばれる男が密会中だ。
この森という男は先輩達から得た情報によれば
中国軍情報局外事3課〔闇の執行部〕を動かし陰で暗躍している張本人らしい。
本名は 不明だが…中禅産業と言う会社の代表取締役の森 篤として偽名を名乗っている。

梨花「下衆ね…」

宗介「そうですね。我々の存在には気づかれてませんがここに長居するのは得策ではないですね…」

梨花「そうね。タイミングを見計らって脱出しましょう。」

宗介「了解、自分から行きます。」

梨花「分かったわ。」

宗介「ウルズ7よりパース1〕」

航英〔こちらパース1〕

宗介「偵察任務終了、帰投します。」

航英〔了解、気をつけて帰ってこい。〕

宗介「了解」pi

その時…

ガタッ ガタッガタッ

梨花「ひッ」

宗介「!!!」

源蔵〔何奴じゃ!?〕

森〔出てこいッ〕

あろうことか下に居た連中に気づかれてしまった…私としたことが…

宗介「マズイですね…今は二手に分かれて隠れましょう。」

梨花「そうね。健闘を祈るわ」

森〔至急、増援を!!敵襲だッ〕

男〔ご隠居、こちらへ〕

源蔵〔うむ〕

森はトランシーバーを使い中国語で応援を呼び寄せていた。
源蔵は黒服の男に連れられ退室していった。


私たちは二手に分かれ隠れることにした。
後ろを振り向いたときには相良君の姿は無くさすがは元傭兵と感服してしまった。

梨花「さて…私はどこに隠れようかしら。」

男「居たぞッ あそこだッ」

数名の黒服達が追ってきている。
逃げている最中にある文字が目に入った…

        「厠」

(浅はかな考えかもしれないが…見つかるよりは良いわね…)

〜厠(トイレ)〜

ドタドタドタドタ

男「居たか!?」

男2「居ませんッ」

男「よく探せッ、まだ外には逃げてない筈だ」

男2「り、了解ッ」

ドタドタドタドタドタドタド…

男達の足音が遠ざかったのを確認し私は顔を出した。

梨花「まさか…こんな所に隠れるなんてね…」

この建物は古い木造建築だ。ならば、トイレも古いと見た私の読みは当たっていた。
案の定 トイレは汲み取り式(ボットン)便所で
便器の下には人1人が入れる隙間がありそこに私は身を隠した。

梨花「さて…本部に戻ろうかしら。」

便器から這い出すと…
 私は窓から外へと脱出した。





         続く…

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