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音速のドラ猫05



ー 北部防空司令所(SOC)ー


OP「エリアは…E4P2 Heading160 速力700kt なお南下中ッ!」


スクランブル発令から約5分、司令所の巨大なスクリーンに三沢基地と小松基地から発進した要撃機の光点が現れた。

部長「要撃機はどうなっている?」

OP「要撃機上がりましたッ 三沢114よりアルタイル06、小松303 よりオリバー01 会敵予想時刻 アルタイル06 next 04 オリバー01 next 10」

佳奈多「…」  

アルタイルは確か…理樹と葉留佳が勤務する飛行隊のコールサインだったわね。私はオペレータと部長のやり取りを聞きながら自分のヘッドセットに耳を傾けた。

部長「要撃機に確認を急がせろッ」

OP「了解」

その時、要撃機側からこちらを呼び出す声が聞こえてきた。

理樹〔Trello this is Altair06
  now maintain angel 35〕
(トレロ、こちらアルタイル06 現在高度35000ft)

無線からこちらを呼び出す声が聞こえる…理樹の声だ。トレロとは北部防空司令所の迎撃管制官のコールサインだ。

佳奈多「Altair06 this is Trello
 you'r under my control stare for160  
  maintain prasent angel」
(アルタイル06 こちらトレロ 貴機を誘導します。同高度にて方位160へ向かってください。)

理樹〔roger〕

国籍不明機まで距離250mile 約10分後には会敵する予想だ…

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〜日本海 防空識別圏付近〜


???「そろそろ、燃料が心細くなってきました…わふぅ…」

燃料計に目をやると増槽の中はほぼ空の状態で残りは胴体内の燃料のみだった。
このままでは明らかに基地に帰れない。

ピッピッピッピッ

???「困りましたね…ん?何でしょう」

ふと、レーダーに目をやると後方から光点が2つ近づいてきていた。レーダーレンジの幅を広げ探索モードに切り替えた。そして、前方のHUD(ヘッドアップディスプレイ)に映し出された情報にはF-14DJと記されていた。

???「航空自衛隊のF-14ですか…ダメ元で助けを求めてみましょうか…」

私はスロットルを捻り速力を落とした。


〜理樹side〜

佳奈多〔Altair06 TGT position 060 range 90 aititude32〕
(アルタイル06 目標方位060  距離90mi
 高度32000ft)

佳奈多さんの声だ、今回、僕達を国籍不明機まで誘導してくれるのは佳奈多さんのようだ。

理樹「roger Altair06」

玄武〔会敵まで約10分てとこか…〕

葉留佳〔そのようですネ〕

豊〔葉留佳、写真頼んだぞ。〕

葉留佳〔了解ッ♪〕

数分後…

距離が25miまで近づいた再び佳奈多さんからの交信が来る。それと同時に国籍不明機の機影を目視で確認した。

佳奈多〔TGT Dead head 25 Altair06
Have about contact ? 〕
(目標 正面 距離25mi レーダー探知どうか?)

理樹「radar contact これより国籍不明機に対して通告行動を開始する。」
(レーダー探知した。)

豊〔見た感じ兵装は無さそうだな…〕

玄武〔当該機はSu-24...R フェンサーRだ。国籍はロシアだな。 〕

葉留佳〔写真に納めましたヨ〕

国籍不明機の周囲を旋回し僕はすぐさま、通告行動を開始した。

理樹「貴機は日本の領空を侵犯する可能性がある直ちに進路を変え引き返せッ」

流暢ではないがそこそこ聞き取れるロシア語でロシア機に呼びかけた。

???〔わふ〜ッ 戻りたくても戻れないのですよ〜ッ!〕

何と無線で帰ってきたのは日本語だった。

豊〔へ?〕

玄武〔むっ?〕

葉留佳〔はぇ?〕

全員が鳩が豆鉄砲を食ったような顔となった。
一番最初に口を開いたのは…

葉留佳〔ね、ねぇ理樹くん…今、「わふ〜ッ」
って聞こえなかった?〕

理樹「聞こえた気がする…」

???〔あ、あの…え〜と 
 Can I speak Japanese?〕
(日本語喋れますか…?)

理樹「え、え〜と 喋れるよ?貴官の氏名
階級、所属と飛行目的について述べよ。」

クド〔私は…ロシア空軍 第6戦術爆撃飛行隊
所属の…クドリャフカ・能美 中尉なのです!訓練飛行中に落雷に遭い自機の位置を見失ってしまったのです…わふぅ…〕

葉留佳〔やっぱりクド公じゃねぇかッ!〕

クド〔その声は…葉留佳さんですかッ!?〕

葉留佳〔そうだヨ〜!〕

玄武〔ん?葉留佳 知り合いなのか?〕

葉留佳〔やはは…高校時代の友達なんですヨ〕

豊〔んで、理樹 どうすんだ?〕

クド〔理樹も居るのですかッ!?わふ〜ッ〕

理樹「居るよ…ははは…それよりもクド、燃料の方は大丈夫なの?」

クド〔お恥ずかしい話なんですが…もう殆ど残ってないのですよ…〕

理樹「参ったな…Trello this is Altair06」

佳奈多〔こちらTrello…全て聞いてたわよ。葉留佳、理樹…部長と上には話を付けたから三沢に誘導しなさい。〕

理樹「roger Altair06 ありがとう佳奈多さん」

葉留佳〔やはは…ありがとうねお姉ちゃん〕

クド〔ありがとうございますです!わふ〜〕

佳奈多〔貴方達…1つ貸しよ。〕

こうして、僕達はクドの乗ったSu-24を三沢へと誘導した。後から聞いた話によると、僕らの無線のやり取りを聞いていた防空司令所の部長や空幕(航空自衛隊幕僚監部)の人間が越権行為で許してくれたそうだ…佳奈多さんの人望には頭が上がらないや…

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〜三沢基地〜

日向「お、見えたぞッ」

日向が指差す方向には緑、赤、白の翼端灯が見える。理樹が先導を飛び、国籍不明機を間に挟んで松が飛んでいる。

ゴォォォォォォォォ

3機は一度、基地上空をフライパスし南側から侵入を開始した。

キィィィィィィィィィィィン  ゴォォォォォォォォッ

主翼を最大限まで広げ抗力を強めて着陸する。これはこの機体特有の着陸の仕方である。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン  

滑走路から誘導路を経て駐機場に戻ってくる。
誘導員に誘導され停止位置に停止、その後エンジンがカットされキャノピーが開く。

クド「わ〜ふッ」

結弦「え、え、え?」  

日向「おいマジかよ。」

樹「えらいこんまい子が出てきたで…」

ゆり「班長、彼女は何者なんですか?」

樹「俺も分からん…無線を聞いてた限りやとアイツらの知り合いらしいけど…」

パイロットA「おいマジかよ…」

整備員「ロシアのパイロットだってよ」

理樹「とりあえず…」

僕が言いかけたその時…
司令と副司令がこちらに歩いてきた。

副司令「野次馬は去れッ」

司令「君が、ロシア空軍の能美クドリャフカ中尉だね?」

クド「は、はい!ロシア空軍第6戦術爆撃飛行隊のクドリャフカ・能美…」

江坂「堅苦しい挨拶は結構、私は三沢基地司令の江坂空将だ。よろしく」

クド「よ、よろしくお願いしますッ」

江坂「事情は上層部から聞いてるよ。訓練中に落雷に遭うとは災難だったな…まぁ短い間かもしれんが、機体が治るまでゆっくりしていくといい。」

クド「あ、ありがとうございますッ わふ〜ッ」

江坂「君は日本語が上手いな。この基地にいる間、君の世話役として井ノ原3尉(葉留佳)を付けよう。」

クド「本当ですか!?ありがとうございますッ」

それを聞いたクドはいつに無く嬉しそうだった。実際、僕もこんな形での再会とはなるが彼女と会えて嬉しかった。

江坂「という訳で、井ノ原3尉 クドリャフカ君の事頼んだぞ」

葉留佳「了解しましたッ」

江坂「話は以上だ、各員仕事に戻りたまえ。」

全員「了解ッ」ビシッ

基地司令の一言で全員が敬礼を返す。

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ー基地内ー

喫茶店ミサワ

葉留佳「ねぇクド公〜」

クド「はい、何でしょう?葉留佳さんッ」

葉留佳「宇宙飛行士の夢はどうしたの?」

クド「わふっ…やはり気になりますよね…」

理樹「確かコスモナーフト(宇宙飛行士)になるって言ってたよね?」

クド「実は…そのコスモナーフトになる為の飛行訓練中だったのですよ…」

葉留佳「コスモナーフトになる為の訓練?」

葉留佳さんはいまいち分かっていないようだ。

理樹「ほら、NASAで宇宙飛行士になるにはT-38みたいな練習機を使って訓練する項目があるよね。それと同じ事じゃないかな?」

クド「そうですッ!わふ〜ッ」

葉留佳「へぇ〜凄いなぁ」

クド「そういえば、皆さんは元気にしてますか?鈴さんや佳奈多さん、小毬さん…」

理樹「うん。皆元気だよ」

葉留佳「鈴ちゃんは保育士で小毬ちゃんは看護師お姉ちゃんは私と同じ航空自衛官だよ〜」

クド「わふ〜今度、お会いしたいのです〜ッ」

理樹「そうだね 皆もクドに会いたいと思うよ」

カランカラン

玄武がやってきた。

玄武「お、その子が例の理樹の知り合いか?」

理樹「やぁ玄武、紹介するよこちらは…」

クド「はじめまして!クドリャフカ・能美 中尉ですッ!わふ〜ッ」

玄武「はじめまして。2等空尉、松原玄武です。理樹とは入隊が同期でずっと同じ部隊に居ます
よろしくね、クドリャフカさん」

クド「凄く礼儀正しい人なのです。こちらこそよろしくお願いしますなのです!松原さん」

葉留佳「やっぱりクド公は他人と打ち解けるの早いですネ〜」

玄武「そう言う葉留佳だってそうだろ?」

葉留佳「やはは 私は人見知りしないからね〜」

店員「お待たせしました。ミサワジャンボパフェです。」ドンッ

僕達の座るテーブルに置かれたのは、普通のパフェの3倍の大きさはあるであろうパフェだった…その名も名物〔ミサワジャンボパフェ〕

理樹「ね、ねぇ…これは誰が食べるの?」

葉留佳「お、大きい…」

玄武「すげぇなこのパフェ」

クド「わふぅ美味しそうなのです!頂きます!」

美味しそうにパフェを頬張るクド…それを見て僕達は思った。こ、子供だ…


         続く…




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