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夏の終わりに聴きたい佐野元春の新作「今、何処」アルバムレビュー

夏のギラギラした暑さもようやく落ち着いた感のある今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

以前私が中学生の時リアルタイムで初めて佐野元春さんのアルバムを購入してはまったのが「VISITORS」であるという記事を書かせていただいたのですが、また私のなかでヘビロテしそうなアルバムが7月リリースの佐野さんの新作「今、何処」です。今まで佐野さんの全作品に触れたわけではないですが、これまでリリースしてきた佐野さんの往年の名曲を思い出しつつこのアルバムの魅力を独断と偏見?と佐野さんへの偏愛強めで語っていきたいと思います。

1.「OPENING」

すごく短いのですが、これから始まるのは希望だけではないけれども絶望だけでもない、という予感が漂うインストゥルメンタル。

2.「さよならメランコリア」

かつての「君の魂 大事な魂」を彷彿とさせるゆったりしたナンバー。リズムが「新しい航海」のようにどこかノルタルジーな気分に。そして「ぶち上げろ魂」というフレーズに思わずぶち上がりました笑

3.「銀の月」

近未来に向かって歩みを止めない、そんな覚悟を感じさせる心が弾むロックンロール・ナンバー。「こんな世界だけど大丈夫」と言ってくれているような気がして。下の世代(であろう)に向けてポジティブなアドバイスのようなメッセージを忘れない。そんな佐野さんが好きです。

4.「クロエ」

まさにキラキラしたロマンティックな極上ラブソング。「彼女が恋をしている瞬間」と恋を謳う彼はまさに彼女が恋をしている瞬間に彼女に恋をしているんでしょうな~(ややこしい)。

5.「植民地の夜」

「植民地」というフレーズをタイトルや歌詞にするところがまた佐野元春。「ボリビア(~野生的で冴えてる連中~)」や「バルセロナ(の夜)」など佐野さんのおかげで覚えた国や都市名がたっくさんあります。佐野先生ありがとう←

6.「斜陽」

夕暮れのハイウェイを走るドライブにピッタリなナンバー。私免許持ってないけど笑 軽快な間奏のリフがお気に入りです。「君の魂 決して無駄にしないでくれ」と佐野さんにいわれたら毎日をだらだら過ごすことなんてできませんよ、ねぇ。と今だらだらして書いてます、、、。

7.「冬の雑踏」

昨今若者の間ではTikTok等の影響で往年のシティポップスが流行りのようですが、どちらかというとそんなシティポップス寄りのこの曲。しかし佐野さん。歌詞は人生の深みと憂いが。渋い。冬って慌ただしいのになんであんなにウキウキソワソワするんだろ。クリスマスと正月のせいか?そんな年じゃないだろ?なんて思いました笑

8.「エデンの海」

冒頭からワイルドにたたみかけるアプローチって佐野さんには珍しい。普通だったらそのままテンション下げないまま曲が進行するんでしょうけど、そうではない。ただがなりたてるのがロックじゃないんだなって思います。後半のギターリフがサイケっぽくてよき。

9.「君の宙」

ロマンティックで壮大なミディアム・バラード。佐野さんの綺麗なファルセットが聞けます。短めの曲ですが、確固たるメッセージ色があるためかなんだか印象に残ります。どこかメロディーにビートルズを思い出す。ささくれた心におすすめ。

10.「水のように」

聴いているといつの間にかゴキゲンになれるポップチューン。私個人的に一番のお気に入りかも。歌詞は理不尽なことがあってもポジティブでいこう、というのはいつも佐野さんの曲の根底に流れている気がする。だけど決して軽々しくないから受け入れられる。水のように生きる、じゃなくて水になって、ですよ。水になるのよ。すげー。(?)

11.「永遠のコメディ」

タイトルにある「コメディ」という言葉にすっかり騙された。明るめの曲かと。「すべては無常 歩いてゆこう」と歌うメランコリックなムード漂うナンバー。「世間はいつだって気まぐれだ」「右にぶれたり左によれたり」実はこの世界って永遠のコメディ、なのかもしれない。

12.「大人のくせに」

かつて「ガラスのジェネレーション」で「つまらない大人にはなりたくない」と歌っていた佐野さんの「大人のくせに」。大人になっても傷つきやすい世の中なのよね、、、。スタッカートを刻むような佐野さんのボーカルにふと若いアーティストWurtSくんを思い出しました。NISSANのCMソングで佐野さん?と勘違いしたのはたぶん淡々と無機質に言葉をたたみかける歌い方が似てるのだろう。あれはびっくりした。しかし声の若さと今どきのチャラさ&ダンスナンバーだからあれ?違うか、と笑

13.「明日の誓い」

アコースティックギターの静かな流れからアップテンポに変わるイントロが私好み。「明日がなければ意味がない」の後に続くフレーズがそれぞれ心に沁みます。ピアノの音に希望の光が見える気がする。後半のホーンアレンジが懐かしさを感じるこれぞザ・佐野元春。一見地味なこの曲、たぶん名曲となるでしょう。

14.「今 、何処」

エフェクトボイスを繰り返す最後のインスト曲。この先10年後辺りに「今、ここ何処?」と誰彼ともなく聞きだしたらヤバいかも~~と老後の自分を心配し出す私。


以上、自分でツッコミをいれながら脱線する非常に読みにくいレビューで大変失礼しました。個人的に「マニジュ」からご無沙汰でこの「今、何処」はリリースから2ヶ月後に手に入れまして今回歌詞カードをあえて読まず曲だけ聴いて感想を書きました。もっとじっくり聞き込めばまた違った印象になるのかもしれません。しかし、今回佐野さんのアルバムを一通り聴いてみて、歌詞カードを見なくても佐野さんの歌詞がこんなにはっきり聞き取れるとは思いませんでした。サザンの桑田さん同様“英語のような発音で日本語を歌う”イメージがあって、実際歌詞を読んでもホントに合ってる?なんて思うこともありました(佐野さんゴメン)。それが一切なかった。

佐野さんがこのアルバムのインタビューで「最後のアルバムになってもいいくらい自信作」と目にしたので最後と言うのはやめて~!もっと作品聴きたい~!佐野さん長生きして~!と心のなかで叫んじゃいましたが、本当に素晴らしいアルバムだと思います。特に人生を振り返ることの多いこの秋、おすすめです。

ライブ行きそびれちゃったのでまたツアーやってくれないかな、、、。

追記:私一番推しの「水のように」。なんか聴いたことある歌詞だと思ったら、、、!

お~~ドンナ・アンナ!!(感涙)



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