見出し画像

大河ドラマな『本好きの下克上』後編

 木曜は、ライトノベル愛を語る日です。今回は先週の木曜(R6.1.18)の続きで、『本好きの下克上』が大河ドラマっぽい理由を書きます。
 大河ドラマ的と言う点では、登場人物の多さと多様さも影響が大きいです。『本好きの下克上』には、主人公マイン以外にも沢山の登場人物が存在します。余りにも多いので、各巻に載っている人物紹介を見ながら読まないと、「この登場人物は誰だったっけ?」となってしまう程です(まぁ、これは私が歳をとった事が大きな理由ですが…)。
 しかも、それぞれの登場人物が実に多様です。善人も様々、悪人も様々。よく、これだけの登場人物を活躍させられるなぁ…と感心してしまいます。この多様性が、私が『本好きの下克上』に大河ドラマを感じる、大きな要因の二つ目となっています。
 因みに、多様な登場人物が出てきますが、必ずしも全員が均等に話へ関わってくる訳ではありません。ある時期は非常に親しくしていても、ある時期からは疎遠になってしまい、物語には出てこなくなる事もあります。これは、実際の人生でも同じ事が言えます。学生時代はいつも一緒だったのに、今では年賀状の遣り取りだけ…と言う経験があるのは、私だけではないはずです。この、実際の人生と重なる部分がある辺りも、大河ドラマっぽいと思いませんか。
 その他、『本好きの下克上』はライトノベルですから、御都合主義なところが多々あります。困った事があっても魔法の力で何とかなる辺り、御都合主義だなぁ…と、私も感じます。
 しかし、妙に現実的な部分も多々あるのです。例えば、この物語では案外簡単に人の命が奪われます。理不尽な理由で殺される(殺されそうになる)事もしばしばあります。この辺りは、現実の世界をリアルに再現していると言える…そう私は感じています。このnoteを書いている令和6年1月2日現在、ウクライナやパレスチナでは戦闘状態が続いており、世界各地で沢山の難民が発生しています。直接的に書かれていなくても、『本好きの下克上』の描写は、それらをイメージさせます。
 また、魔法の力で何ともならない事も多々あります。例えば、この物語で最も重要な「本を沢山作る」事も、魔法の力でちょちょいと…とはいきません。技術を身に付けた職人が、家内制手工業レベルの作業で作る必要があります。主人公の魔法の力だけで問題が解決する、他の多くの作品とは一線を画しており、これらの事柄が、大河ドラマを感じさせる要因の三つ目となっています。
 長々と書いてきましたが、大河ドラマのような重厚長大な物語が楽しめる『本好きの下克上』。笑える場面も随所に織り込まれており、とても面白くテンポ良く読めます。ぜひ、読んでみてほしいライトノベルです。

 余談ですが、フォロワーさんとの遣り取りで気付いた事があり、令和6年1月18日に少し加筆しました。御期待に添えるとイイのですが…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?