Do you remember?──映画『ロボット・ドリームズ』感想
「きみは覚えてる? あの夏、出会った日のことを──」
映画のキャッチコピー。
観る前(え、忘れるわけなくない?)と、的外れなことを思ってしまいました。ドッグとロボットがずっと側で友達としてやっていってほしいという、エゴ丸出しの願望がこびり付いていた故なんだと、観終わった今、自分がロボットの夢を見ていたんだと気付かされました。
なんて切ないキャッチコピーだったんだ。
Septemberが頭の中で延々とリピート再生され、その度にこの映画の持ってる哀しい美しさを引き立ててくれる……なるほど。監督の「Septemberを使いたかった」という想いに触れられた気がします。
それにしても、ロボットってなんか犬っぽいなと思いました。犬はドッグなのに。
よく笑い、人懐っこくて、時に暴走しがち。だけど基本的に健気でお利口さん。主への愛情はもちろん忘れない。犬を飼っていた人にならちょっと分かってもらえるかもしれない、この感覚。かわいいんだよロボット!!
だからこそ、ロボットが夢を見るシーンは切なくて胸がぎゅっと締め付けられました。
あともうひとつ、姿が変わって復活したロボットが、もう元には戻らない関係性の暗示であるように感じられて、ちょっと辛かったです。
やっぱりドッグとロボットには再会してもらいたかったけれど、それぞれで守るべき今があって、そう簡単にはいかないよなぁ。関係性の難しさ、脆さを痛感しました。
もう側で手を繋ぐことはなくなっても、過去は確かにある。初めて会った日にコーラをもらったこと、ローラースケートで踊ったこと。色んな楽しかったことをときどき思い出して、それぞれの今を大切にしてほしいと思ったり、別の道を歩む決意をしたロボット(ドッグに姿を見せないところはウルっときました)に勇気づけられたりして情緒がやばくなったラストのダンスシーン!
ロボットの夢を一緒に見ていたのに、ロボットに先を行かれてしまった……!
過ごした日のことを覚えていれば、別々になっても大丈夫。きっとそれが“Do you remember?”の秘めてる力なんだと思います。「覚えてる?」と問い掛けて、「当たり前じゃん!」って言い合える日がくるといいな。
あ、そういえばこの映画セリフがないんでした。セリフがなくてもここまで表現できるんだ……え、めっちゃすごい(今更)。
思い出を共有できる関係性が尊いということを再認識させてくれた素晴らしい映画でした。宝物になるってこういうことなのかも。
味わいきれていない部分も取りこぼしも多くあるので、上映期間中にもう一度行きたいです。