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通気性のよいまくら2990円の性能

25歳。
あのメッシならバロンドールを取った年齢に私はしこたま酒を飲んでいた。
理由は覚えていない。
研究でいいデータが出た祝杯だったか、
当時の彼女の放置プレイが寂しかったのか、
まあそれはどうでもいい。


私はたまに酒に飲まれることがある。
もともと酒には弱いのだ。
父親は養命酒で酩酊するほどのゲコだ。
かえるゲコの子はかえるゲコと言うのは本当だろう。

学部生時代に叩き込まれた体育会の飲み方は、
その後大学院に上がっても変わらなかった。


その日もなんとか一人暮らしの下宿にたどり着いたものの、シャワーを浴びることもなくそのまま布団に突っ伏して寝てしまった。

ちょうどその前の週にニトリで買った通気性マックスの枕が気持ちいい。
よく寝れそうだ。





夢の中で私は高層ビルの最上階にいた。
最上階といっても全方向ガラス張りのトイレだ。


ここには何度か来たことがある。
何度か用を足そうとしたができた試しがない。

そうそう、今もまさにトイレに行きたかったんだ。

ちょうどよかった助かった。


便器の前に立った私だったが、周りの景色が恐ろしすぎて今日もおしっこは出ない。

よく見ると便器も足元の床も全て透明なガラス。

下を見て思わず足がすくむ。



ところが尿意はどんどん強くなる。


目をつぶって全神経をぼーこーに集中する。


あともう少し。


あと少しで出る。



がんばれ、おれ。
こんなところで小便もできない情けない男じゃないだろ。



よしよし、いいぞ。いい感じだー。




そして私は夢の中でついに用を足した。


じょぼぼぼぼ



なんだこれ。
めっちゃ気持ちいい。



気持ちいいけど、気持ち悪い。

ん?

足元がなんだかとても気持ち悪い。


そこでようやく目を覚ますと布団で寝ていたはずの私は布団に立っている。


そして夢の中の姿勢と同じく枕元めがけて豪快に用を足していた。



通気性マックスってことはまったく吸収しないということだ。

液体をかけられても受けて流すニトリの枕。

まるで合気道の精神だ。

ニトリの枕はいい仕事をしてくれた。







「夢の中でおしっこしたらあかんよ。ほんまに出るからな。」

幼い日に母親から言われたことを思い出す。




拝啓

おかあさん

いかがお過ごしでしょうか。
あなたの息子は25歳で元気に大学院へ通っています。

あなたが別れなさいと言っていた元カノくのいちとはお別れしました。
今はSちゃんという無敵女子とお付き合いしております。

「お酒は飲みすぎんようにな」
酔っぱらって家に帰るたびにいつも心配してくれましたね。

でもごめんなさい。昨日もついつい飲みすぎてしまいました。


正直記憶はありませんが、たくさん飲んだようです。


ビールはだめですね、おかあさん。 


とうとうこの歳でやりましたよ。




25歳で枕におしっこしちゃいました。



おかあさん、ニトリの枕も今日の空と同じく爽やかな水色です。


おかあさん、どうかお元気で。




それにしても、リアルな感覚と思ったら本当におしっこって出るもんなんですね。


そしてたまに夢から覚めたらものすごいリアルにおっぱい触ってた感触が手に残ってることあるんですけど、あれなんなんですかね。



#なんのはなしですか
#賑やかし帯
#66日ライラン


6日目

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