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台湾に社会人野球を観に行ってきました【BFAアジア選手権 オープニングラウンド初戦】

アジア競技大会3位の悔しさを糧に、新体制で挑む社会人侍ジャパン

 4年ぶりにアジアベースボールウインターリーグが開催されている台湾ですが、同時に新しくオープンした台北ドームではBFAアジア選手権が行われます。10月にはコロナの影響で延期になっていたアジア競技大会があり、11月の社会人野球日本選手権を挟んで、12月にまた国際大会が行われるという非常に長くハードなシーズンです。日本は2017年から指揮をとっていた石井監督に代わりこの大会から川口監督が就任。任期は3年後愛知で開催されるアジア競技大会までの予定で、10月のメンバーに比べ今回は昨年のU-23に参加した選手など3年後を見据えた若いメンバーで構成されています。チャイニーズ・タイペイと韓国はプロ野球選手も含まれているものの、アジア競技大会やアジアチャンピオンシップよりもアマチュア選手や若手が多く加わりました。また、国際大会にあまり出場することがないチームも参加し、アジア全体の野球の発展と共にそれぞれの国が世界に通じる若手を育てるための大会でもあります。

向山選手の3本のタイムリーヒットなど14安打14得点

 オープニングラウンド初戦の相手は世界ランキング38位のパキスタン。パキスタンではクリケットが人気で、野球場はほとんどなく野球道具も売っていない状況だと思います。クリケットの世界の競技人口は野球の何倍もいて、たった7週間しか開催しないインドのプレミアリーグの広告収入はMLBよりも上です。野球はアジアの中でもまだまだマイナースポーツですが、パキスタンにも私たちと同じように野球が好きな人がいて、西アジア大会で優勝し今大会の出場が決まりました。
 日本の先発はENEOSの加藤投手。アジア競技大会では中継ぎとして4試合に登板し、日本選手権でも3試合で投げ東北代表TDKとの初戦は先発で勝ち投手に。普段、東北地区を担当している私はあれからまだ1ヶ月で胸がちょっとチクチクしますが、加藤さんは岩手出身。キャッチャーは仙台大出身の辻本さん(NTT西)で、遠く離れた南の島で北国バッテリーが見られるのは東北人としては嬉しい限り。
2回に中村さん(NTT東)のゴロで日本が先制し、3回4回5回には向山さん(NTT東)がそれぞれ2点タイムリーを放ち1人で6打点。日本選手権に出られなかった分、ここで活躍を見せてもらわないと。
5回は他にも矢野さん(三菱重工EAST)、猪原さん(ミキハウス)のタイムリーなど7安打8得点でここまでで14-0 。コールドゲームも予想され他のピッチャーの登板機会も必要なため、加藤さんは5回59球、被安打0、無四球、7奪三振で降板。

タイムリー3本を放った向山選手
5回無安打に抑えた先発の加藤投手

自国チームの試合でなくても観たい人やタイペイ戦のチケットを取れなかった人が多く観戦に訪れる

 6回パキスタンのその回の先頭打者が、2番手で上がった信越クラブの工藤さんからヒットを打つと会場全体が大盛り上がり。パキスタンは結局得点できず14-0の7回コールドで負けてしまいましたが、7回を投げたNTT東の片山さんからもヒットを放ち合計3安打で、最後のピッチャーが向山さんから三振を取った時も大きな歓声が上がりました。前日ここ台北ドームでオープニングゲームのチャイニーズ・タイペイ対韓国戦が行われたのですが、グループAのこの2チームは台中に移動。しかし、台北ドームに対する関心度は高くナイターで行われたこの試合には6,000人も訪れました。試合の途中からは劣勢に立たされたパキスタンに対しスタジオ全体から声援が送られ、選手たちは試合後「謝謝」と長い時間台湾の人たちへ感謝を伝えていました。

野球人気が高く非常に盛り上がるスタンド、しかしチケットを取るのは至難の業

 たくさんの問題があり長年放置されていた台北ドームですが今回の大会がこけら落としとなり、来年のプレミア12の会場としても使用される予定です。今はまだ段階的に観客数を増やしテストしている状況ですが、フルオープンすれば4万人が入ります。MRT板南線の国父記念館駅にほぼ直結していて、台北駅からも10分程と非常にアクセスしやすく、雨が降る日も多い台北では待ちに待ったドーム球場。ゲート前にはシャトルバス乗り場もあり、前日のオープニングゲーム後は地下鉄の本数も増やしたため、公共機関の混雑はそれほど長くは続かなかったようですが、チャイニーズ・タイペイ戦のチケットは瞬時に売り切れ、ファンにとって一番問題なのはチケット争奪戦です。

矢野選手は1安打2四球2打点
2安打1打点の猪原選手
試合後、スタンドから大きな拍手が送られました

日本-パキスタン

2023年12月4日(月)18:30

2023年BFAアジア選手権代表選手


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