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下田で養鶏?!移住後の新事業は自然養鶏。青い卵「下田ブルー」を町の特産品に。

2019年2月に兵庫県明石市から下田市に移住した稲田さんご夫妻(健吾さん、みのりさん)。現在はご夫婦と猫3匹、鶏8羽で暮らしています。移住当時の目的は「海の近くでカフェを開きたい」。移住して丸2年、稲田さんご夫妻が始めることになった新事業は、なんと養鶏場!開業に向けて約2,000坪の土地を購入しました。「カフェで使用する卵を」と飼いはじめた鶏でしたが、育てることの楽しさと自然養鶏卵の美味しさを知り養鶏の道へ。
飼い始めた鶏は青い卵を産む「アローカナ」という品種。その青い卵を「下田ブルー」と名付け、下田の特産品にしようと考えています。下田の活性化のみならず、全国的な過疎地の問題にも目を向け、循環型自然養鶏に取り組む稲田さんご夫妻にインタビュー。屋号は「farm1987」で開業予定。

現在、健吾さんは養鶏場準備と並行して飲食店で修行中、みのりさんは市役所の臨時職員として働きながら、移住促進に力を入れています。自分たちの移住経験を生かし、夫婦で下田市移住定住サポーターもされています。

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――なぜ、下田で養鶏場だったんですか?

みのりさん(以下、み):もともとは海の近くでカフェを開くという目的で移住しました。カフェで出す卵かけご飯のために、アローカナという鶏を飼い始めたのがきっかけです。卵が美味しいのはもちろんなんですが、鶏たちの可愛さにもハマり「もっと鶏を増やしたい」と思い、カフェより先に養鶏場から始めることになりました
健吾さん(以下、健):養鶏場をやると決めたので、集落の近くの山に約2000坪の土地も購入しました。そこに自分たちで鶏舎を立てて自然養鶏(※)という方法で飼育します。

※自然養鶏とは:抗生物質や農薬、飼料添加物などの人工資材を一切使用せず、自然の循環の中で鶏を飼育すること。

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――に、2,000坪ですか??

健:2,000坪です。放置されていた農地ですが。今は8羽ですが、今年300羽を迎え入れ、最終的には600羽まで増やす予定です。平飼いと放し飼いで鶏たちが元気に走り回れる自由な環境を作ることで、体力がつき病気に負けない強い体になります。始めは養鶏場からですが、他のスペースでやりたいことがたくさんあるので。

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――「アローカナ」というのは初めて聞く名前の鶏です。

健:青い卵を産む鶏で、南米チリが原産の品種です。世界でも珍しい青い卵なので「幸せの青い卵」などと言われています。一般的な卵と比べて栄養価が高いんです。例えば老化防止成分のレチシンが約2倍とか。それを「下田ブルー」と名付けて下田の特産物にしたいんです。

下田ブルー

――新しい下田の特産物ですか?!すごいですね!卵の特産品はあまり聞いたことがありません。

み:最初はカフェのための卵だったんですが、養鶏をやることに決めたので、次は卵を売らなければなりません。そのためには「下田の特産品をつくる」くらいのことをしないと。青い卵は、下田の綺麗な海の青さを連想できるので、「下田ブルー」という名前に決めました。この名前は移住者仲間の友人と話している時に決まりました。

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――青い卵で「下田ブルー」!とてもシンプルで良い名前だと思います。青い卵も知りませんでしたが、最初から青い卵が目的でアローカナを?

健:鶏を探している時は、普通では面白くないので、単純に珍しいものを探していました。その時出会ったがアローカナです。どうせなら珍しくて美味しいものをとアローカナにしました。珍しいものを扱っている方が面白いじゃないですか。笑

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――カフェで使う卵だけなら仕入れるという方法もあったと思いますが、自分で育てようと思ったのは?

健:「生産者の顔が見える」ということを大切にしています。いくら美味しい卵でも、仕入れた卵では誰が作ったのかわかりません。「この人が作っている」とわかるようにしたかったんです。カフェで扱う海産物も自分で採ったものを使いたいと思っています。

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――生産者の顔は大切ですね。それで漁業権の取れる地域に移住されたんですね。(稲田さんたちは漁業権が取れることも移住地域選定の条件でした。)

健:移住の目的の1つに「漁業権の取得」があったので、下田市の外浦地区を選びました。漁業権があれば、ここで魚介類を採ることができ、それをカフェで提供することができます。この外浦地区では貢献度にもよりますが約3年で漁業権を取得できるということでした。持ち家があることも必要条件でしたが、それは移住検討中に良い物件に恵まれたこともあり、手に入れることができました。自分たちでリフォームしながら暮らしています。まだ2年ですので後1年です。

健吾さんは漁業権を取得し、海で活動するために、移住前に潜水士や船舶免許も取られたそうです。

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――現在クラウドファンディングにも挑戦されていますね!

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み:たくさんの人にご協力いただき開始3日で目標額を達成しました!本当にありがとうございます。現在ネクストゴールに挑戦中です。(2/27まで)
追記:ネクストゴールへの挑戦は184%達成しました!!(3/1 追記)


――開始3日での達成はすごいですね!お二人の信用の賜物ですね。養鶏場のプロジェクトとクラウドファンディングへの挑戦を通じてみなさんに伝えたいことはありますか?

み:下田へ移住して過ごした2年間、下田市の抱える問題を目の当たりにしてきました。耕作のみならず草刈りすらできなくなった耕作放棄地増加の問題、海のゴミ問題、高齢化による第一次産業の衰退などです。下田だけでなく、日本のすべての過疎地が抱える問題かもしれません。
この養鶏のプロジェクトを通じて、下田からの発信を1人でも多くの方にみていただき、何かを感じてもらいたいです。
健:下田市には鶏を扱う畜産農家が一軒も無いので、飲食店やホテル、一般家庭で使う卵やお肉はすべて市外のものでまかなっています。私たちが自然養鶏の卵を販売することで、より安全で美味しい卵を使った商品や料理を市内の事業者が提供でき、地産地消にもつながります。また、衛生管理を徹底し、農業体験を行うことで、市内の子供たちへの食育や、観光客増加にもつながると思っています。

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――素晴らしい取り組みですね。「循環型自然養鶏」とは具体的にどのようなことをされるんですか?

健:自然養鶏で飼育に関わるものすべてを循環させるイメージです。
例えば、鶏のエサを市内の事業者から入手したり、高齢になってなかなか手入れの出来なくなった農地などの草刈を受託し、刈った雑草を飼料にするなど、地域循環型の養鶏場を目指しています。
み:下田はエサにも恵まれています。市内のお店で出る天然魚のアラやカキ、伊勢海老等の殻、海藻、自家製飼料米や下田の竹パウダーなど、普段廃棄されてしまうものや、鶏にとって栄養素の高い食材を有効的に活用し循環させます。地元産にこだわり100%自家配合です!より地域に密着した養鶏農家として、地元事業者さんとの連携を強めていきたいと思っています。
他にも、ビーチクリーンイベントの開催など、下田ブルーを買っていただくことで綺麗な海を保つ仕組みも作っていきたいと考えています。

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――今後はどのように展開していく予定ですか?

健:まずは養鶏場を完成させ、同じ敷地内にカフェを併設し、新鮮な卵を使った美味しい「卵かけご飯」を提供したいです。そして、隣の敷地に下田初の「山の中の農園キャンプ場」をオープンさせたいと考えています。
み:4月にひよこたちを300羽迎え入れますが、卵を安定共有できるのは11月ごろになると思います。それまでは2人でゆっくり鶏舎作りや開業準備をしていきます。下田への観光客増加と合わせて、移住サポーターとしても移住者増加にも努めていきたいと思っています。

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下田の特産品を目指した稲田さんたちの養鶏場作り。自分たちの利益目的だけでなく、地域の課題に対しても目を向ける姿勢は見習うべき取り組みだと思います。自分たちに何ができるか、自分たちなら何ができるか、できることからの取り組みに期待が集まっています!!

幸せの青い卵を使った卵かけご飯・・・すごく魅力的です!


 farm1987 (開業準備中)
クラウドファンディング 挑戦中(2/27まで)
「自然養鶏の卵『下田ブルー』で伊豆下田を活性化させたい!」
https://camp-fire.jp/projects/view/359462

稲田さんの下田移住グラム
https://www.instagram.com/shimoda_iju/


WITHSHIMODA ライター 温泉民宿 勝五郎 土屋 尊司
写真提供:稲田みのり、村中勇太、土屋尊司

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