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1000分の一のコロナの訪問看護③神戸の訪問看護師の手記

ずっと電話してるけど出ないんです
聞かせてくれるなともよぎりながら
分かりました、見てきます
真っ暗で呼び鈴に反応なし
耳をすませても物音一つしてこない

あかん、またか
階下に降りる階段に足をかけた時
背中に聞こえる「ガチャ」
電話つながらんから心配してみにきました

呼吸数50 酸素飽和度85 ハーハー肩で息する
たまりかねた本人が救急車呼んでも、そりゃそうだ空床なければ不搬送しかない

廊下の隅っこでいいから入院させて下さい、あのお母さんの言葉は今の私の言葉となる

保健師さん、何人にも聞いていると思いますが、明日生きてないかも知れません。入院必要です。

せめて酸素とステロイドを届けたいが、若くてかかりつけ医など持ってない。もう今夜できることはない。ここまでが今日の精一杯。

部屋の扉を閉じるといつもと変わらぬ町の風景が広がる。今見たものは現実じゃなかったかもとうずく心がとぼけ始める。

ずっと二つの世界を行き来している。コロナはまるで魔法だ、見たものにしか見えない。そこにいるのに足音が聞こえない。

私はまだ正常だろうか。神戸マジやばいって。

帰り道、空腹に気づく、明かりとマクドナルドがありがたい。

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