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母乳育児の落とし穴って何?

母乳育児の落とし穴って何?

こんにちは。子育てママのゆきです。

先日小児看護の講習を受けてきたのですが、近年赤ちゃんのビタミンD不足が増加しているそうです。
それには母乳育児の隠れた落とし穴があるという興味深い内容を聞いてきたので少しお伝えしたいと思います。
2017年の小児科学会で、母乳栄養の赤ちゃんの75%がビタミンD不足であるという発表がされました。

ビタミンDって?

ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を高めるなどの作用があり、赤ちゃんの骨の発育に必要です。
ビタミンDが不足すると、腸からのカルシウムの吸収が低下し骨への沈着が減少します。
そのため、骨が軟らかくなって、体重を支える下肢や脊柱の骨が湾曲したり、骨が変形したり、成長が障害されたりします。

これがくる病という病気です。ビタミンDは日光を浴びて、皮膚で合成されるため適度な日光浴が必要なのですが、現代では日光を極端に避ける生活習慣からくる病が増加傾向にあるのです。

母乳栄養でもビタミンD不足にならないために

では母乳栄養をしながらビタミンD不足にならないようにするためにはどうすればいいでしょうか?

それには赤ちゃんの日光浴がとても大切なのです。
子どもの日焼けは、皮膚がんや様々な皮膚病の原因になるといわれており、過度の日焼けは避けるべきです。
しかし、ビタミンDは紫外線が皮膚に当たることで生成されるので、日焼け止めをべったりと塗ってしまうと生成量が減少します。
夏場は朝や夕方などの時間帯を選ぶなどして、柔らかな日差しの中で、通常の服装で日焼け止めはなるべく使わずに、お散歩に行くなどして日光浴の時間をぜひ作ってあげてください。

具体的にどれくらいの時間日光浴が必要か、というと日本の場合、緯度や季節で異なってくるのが現状です。
夏に比べると、紫外線の弱い冬では必要な日光浴の時間も増えますし、沖縄と北海道でも異なってきます。

実際、国立環境研究所の研究結果で、成人の場合ですが、一日に必要なビタミンD摂取量の指標とされる5.5μgすべてを体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を、日本の3地点である札幌、つくば、那覇について季節や時刻を考慮し求めたものがありました。

その結果としては、7月の晴天日の12時には那覇で2.9分、つくばで3.5分、札幌で4.6分ですが、紫外線の弱い冬12月の晴天日の12時では那覇で7.5分、つくばでは22分、札幌では76分という大きく差が出るものでした。
研究結果では赤ちゃんを対象としたものはなかったため、お伝えできるのは成人の結果のみになりますが、赤ちゃんとなると成人よりは少ない時間で体に必要なビタミンDを生成出来るのは間違いないでしょう。

背景として、1980年代のオゾンホール発見等オゾン層の破壊が顕在化して以来、紫外線は有害であるとの考え方が浸透し、太陽光をなるべく浴びないようにするという風潮が広まってきたことも、近年のビタミンD不足の一因と考えられています。

諸外国では、もっと多くのビタミンD摂取を推奨する研究者もいます。
ビタミンD欠乏は世界的に問題となっており、高緯度に位置する北欧諸国などでは、日光浴不足によるビタミンDの欠乏を補うためにサプリメントの摂取が積極的に行われているのです。

上記の研究結果は、日光浴の時間の目安になるかはわかりませんが、ビタミンDの必要性と具体的な時間を示したものなのでご参考までに。

またビタミンDは魚(鮭、イワシ、サンマ等)、きのこ、卵(特に黄身)に多く含まれています。赤ちゃんの離乳食にも魚、卵、きのこ類を少しずつでも意識して取り入れることをお勧めします。

母乳についての少し余談ですが、実はもともと母乳にはビタミンDとビタミンKが足りません。
ビタミンKが不足すると出血を起こしやすくなるので、赤ちゃんが産まれると、ビタミンKのシロップを飲ませます。
一ヶ月検診の時にも処方されるビタミンKシロップにはそのような大切な意味があったのですね。

母乳は、赤ちゃんの健やかな成長に必要な栄養素がたくさん含まれており、また、赤ちゃんを様々な感染症から守る免疫物質も含まれています。
赤ちゃんにとって最良の栄養源であり、母乳育児は世界的に推奨されています。
しかしビタミンD不足という落とし穴があるということをしっかりご理解いただき、子育ての参考にしていただきたいなと思います。


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