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流産について知っておいておきたいこと その2

~12週以降22週0日未満に起こる中期流産について~


こんにちは。子育てママのゆきです。
今日は、前回の続きで、流産についてお話ししたいと思います。
前回は妊娠12週未満に起こる初期流産についてお話ししました。
今回は、妊娠12週以降22週0日未満に起こる中期流産についてお話していきます。

中期流産

母体側のトラブルも増えてきます

重篤な異常のある赤ちゃんのほとんどは、妊娠初期で成長を止めてしまうため、妊娠12週を過ぎてからの流産は大変少なくなります。
それだけに、妊娠中中期に起こる流産は、お母さんにとって悲しみも一層深く、うつやそれに近い状態になることもあります。

妊婦健診に行っていても間に合わないことも

中期流産は、初期流産とは異なり、主に母体側の原因で起こります。
お母さんが何か身体に悪いことをしたから流産するということではなく、子宮に何らかの問題が起きて流産になるということです。
残念ながら、しっかり妊婦健診に行っていても、これを防ぐのには限界があります。
妊婦健診で、早期に問題を見つけられれば、防げることもありますが、この時期の妊婦健診はさほど頻繁には行われないため、処置が間に合わないこともあります。

中期流産の主な原因

子宮頸管無力症

中期流産の原因として最も多いもの。赤ちゃんの重みに耐えられず、陣痛がないのに突如子宮口が開く病気です。
早期に診断がつけば、頸管を縛る手術をして流産を予防します。

感染

クラミジアの性感染症、大腸菌などの雑菌が子宮口に感染して炎症が起きると流産につながります。
早期ならば抗生剤の治療が効きます。

赤ちゃんの異常

重篤な問題を抱えた赤ちゃんも、その程度によってはお腹の中で生き続け、遅い時期に亡くなることがあります。
妊娠中期以降の死亡は、心臓病が多いと言われています。

流産後はどうするの?

基本的には陣痛を起こして「産む」

この時期に子宮内で赤ちゃんが亡くなった場合、すでに赤ちゃんが大きくなっているので、掻把手術はできません。
そこで器具を使って子宮口を開いてから、人工的に子宮収縮を起こす膣錠などを入れて、赤ちゃんと胎盤が出るようにします。
そして最後に、麻酔をかけて軽く掻把を行います。
手術後は3日くらい入院して様子を見ることが多いでしょう。
流産後に母乳が出る場合は、薬を服用して母乳分泌を止めます。
妊娠中期の流産は、死産届の提出が法的に義務付けられています。
戸籍に残すことはできませんが、出産育児一時金も出ます。
赤ちゃんの体は医療施設が胎盤を処理する業者に委託して火葬することになります。
ある程度大きくなっているので、「遺骨」ができます。
希望すれば、家に引き取ることもできますし、通常のお産の胎盤と同じように、医療側に任せることもできます。

お母さんの気持ちはいろいろです。
流産は辛かったから早く忘れたいという人もいるし、流産した赤ちゃんも生まれた赤ちゃんと同じように扱いたい人もいます。
自分の希望を医療側に伝えてくださいね。

次の妊娠は?

月経を2~3回見送ってから

妊娠中期の流産は処置も大変で、経験した人は、心身ともに負担を感じることでしょう。
当分妊娠はしたくないと思う方もいると思います。
まずはご自分の気持ちを大切にしてください。
次の妊娠は、妊娠初期での流産同様、次の月経が来れば可能ですが、子宮内の傷も疲労も大きいはずなので、できれば月経を2~3回見送ってからにしましょう。
焦ることはありません。
夫婦で労わり合う時間を大切にしましょう。

流産を繰り返さないために

一度でも流産をすると、次の妊娠も不安に思う人が多いものです。
しかし、胎児側の原因による流産率は、何回流産してもほとんど変わりません。
海外では心配しすぎないことも重視されているとか。

原因を調べる検査を受けてみるのも一つの手

3回以上流産をしているなら、流産の原因を調べる検査を受けるのも一つの方法です。
もちろん検査を受けても何も異常がわからないという場合もあります。
一般的には、検査を行ってもなお、流早産、死産の原因が判明しないご夫婦が60~70%は存在すると言われています。
検査としては、血液検査と超音波検査があります。
よく見られるのは、「抗リン脂質抗体」という、自分に対する抗体ができている人で、半数を占めるという報告もあるようです。
この抗体があると血栓ができやすく、胎盤の血流を阻害するので、流産を招くと考えられています。最近は、この抗体が絨毛を直接攻撃することもわかってきました。
治療法としては、血を固める仕組みを抑制する薬を服用しながら、妊娠および妊娠の継続をさせます。
他には、甲状腺ホルモンや、子宮の形態異常などが原因として見つかることもあります。
習慣流産で受診する人の4~5%は、ご夫婦のいずれかに転座型染色体異常があります。
ご夫婦の染色体異常に対しては根本的な治療はありません。
しかし何回か妊娠を繰り返すことにより、染色体に過不足のない(全くの正常胚または均衡型の胚)が発生する場合もあり、赤ちゃんを授かることは十分に可能なのです。

着床前診断は有効か?

日本産婦人科学会では、転座型染色体異常に対する治療として、胚の着床前診断を2006年に承認しました。
これは体外受精を行い、得られた複数の受精卵の染色体を調べ、正常なものだけを子宮に戻すという方法で、7割くらいの人が出産に至ります。
このタイプの習慣流産の人が無事に出産できる確率がとても低いと思われていた頃には有効だとされていました。
しかし近年、調査が進み、習慣流産の人が、その次の妊娠で無事に産める確率は、何をしなくても、着床前診断を行った時と同程度だとわかってきました。
この点に関してはさらなる科学的な検討が必要であると思われます。

いかがでしたか。
中期流産についても、原因や治療法などあまり一般的には知られていないことが多いかと思います。
この機会に少しでも知っていただけたらと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

参考:日本産婦人科学会HP、著書「流産ーもう一人で苦しまないで」


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