【シカ起業家渡辺さんに聞きました】メンタリングで気が付いた、命を無駄にしないための近道とは

こんにちは。デジタルホールディングスWith Grow運営担当です。

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今回はWith Growに参加してくれた人の中から、シカ起業家として2021年11月に起業された横浜国立大学3年生の渡辺洋平さん@okyoheにお話を伺いました。


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“With Grow”って何?
With Growは株式会社デジタルホールディングスが運営する若手起業家向けのコミュニティです。3ヶ月の間主にD2C事業に取り組むZ世代が集い、お互いに切磋琢磨しながら新しい革新への種を共創し、それぞれが共に新たなステージへ向かって歩んでいきます。



ふわふわで触ると優しい気持ちになれる“鹿レザー”
―渡辺さん、今日はよろしくお願いします!まず、なぜ起業しようと思ったのでしょうか?

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渡辺:起業したいという思いは、漠然と中学生くらいの頃からずっとありました。大学生になってインターンシップを半年ほど経験した後に、自分は一体何のためなら頑張れるんだろう?と考えて「生まれ育った北海道のためなら頑張れるのではないか」ということに行き着きました。また、上京してから北海道産の製品がスーパーなどで多く売られていることを知り、北海道のブランド力の高さや魅力の多さに気がついていたので、ビジネスとしてもチャンスが多くあるのではと思ったのも理由のひとつです。

渡辺:北海道について調べていくうちに、鹿が大量に殺処分されていることを知りました。北海道をはじめとして、その当時全国で60万頭もの命が殺処分されていて、殺されたうちの利用率は9%ほどです。9%という数字は、実際にはカウントされていないものも多くあると言われているので正確な数値かわからない部分もあるのですが、それでも明らかに命が無駄になっているということを知った時に、単純に捨てるだけなのはおかしいという感情が湧きました。また、もし、上手く活用することができれば北海道の地域活性化にも繋げることができると考えました。

―なるほど。鹿というと最初に思いつくのはジビエですね。

渡辺:はい、そうなんですが、私は性格的に人と違うことをやってみたいと思うタイプでして…目の付け所を少し変えて、鹿の皮でレザー製品がつくれないかと考えました。実際に鹿のレザーを扱っている方のところへ会いに行って、製品を触ってみるととても皮がふわふわしていて柔らかくて、触っていると優しい気持ちになれるような、そんな感動がありました。

渡辺:なぜこれまであまり鹿レザーが流通しなかったかというと、柔らかい反面傷がつきやすく、そのため大量に製造して販売する際、見た目を揃えることが難しかったというのが理由です。しかし、ダメージジーンズのようにあえて人間が後から加工し、傷がおしゃれに見えるような製品も世の中にはあります。傷があるからダメではなく、傷を唯一無二のものと捉えて、一つひとつ個性的な商品として売り出すことで売れる。そう確信しました。その後、製品を実際に開発し、クラファンで資金を集め、E Cショップを立ち上げて今に至ります。

アドバイスがきっかけとなり、BtoCからBtoBの可能性に気が付く
―With Growに入ったのはその後でしたね。With Growではどんなことをされましたか?

渡辺:With Growに入ったのは、鹿レザーが実際に社会へのインパクトがあるのかを0ベースで考えてみたいと思ったことがきっかけでした。これまで3名の方に1対1でメンタリングしていただきましたが、事業の責任者をやられている方、起業していた方、新規事業を立ち上げた方、また、中には北海道出身の方もいらっしゃいました。

メンタリングの中で一番印象に残っているのは、BtoCはハイリスクハイリターンで安定性に欠けるため、toCのレザー事業ではなくBtoBの方に目を向けるのはどうかとアドバイスをいただいたことです。鹿産業は大きく分けると『捕獲』『解体』『流通』で成り立っています。この中でボトルネックになっているのは解体なのではないかということは以前から感じていました。また、解体事業者の9割は赤字で経営が上手くいっていないと言われているため、解体事業者の何らかの課題を解決することが、鹿の命を無駄にしないための近道なのではという考えに至りました。

―渡辺さんならではの目の付け所という感じがします。具体的にはどんな事業を考えているのでしょうか。

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渡辺:ジビエだと一頭あたり鹿のうち、実際に食べることができるのはおよそ3割です。それ以外は産業廃棄物になってしまいますが、廃棄するのに手間もコストもかかります。例えば、在庫管理システムを導入するなどして安定した供給システムを確保することができれば、鹿の利用率を引き上げることができるのではという考えに至りました。それを実現するためには財務やオペレーションの知識が必要です。今は農林水産省の獣害対策のリーダーの方とお会いして話を聞いたり、解体事業者に足を運んだりして課題を探索しているところです。

渡辺:With Growでの一連の流れとしては、私が足を運んだりネットで調べたたりして情報をかき集め、それをある程度まとめたうえでWith Growでぶつけると思考やビジネスモデルの枠組みに当てはめ良い方向に導いていただいたり、ブレイクスルーのきっかけとなったりするイメージです。最終的な意思決定はもちろん私自身でします。以前行政のサポートセンターに話を聞きに行ったこともあるのですが、そこでは実際に起業している人というよりは中小企業診断士の資格を持っている方がいらっしゃったので、私にはWith Growのように実際に事業を起こした経験のある方の話の方がためになったと感じています。

―それでは最後に渡辺さんの今後の目標を教えてください。

渡辺:短期的な目標は事業の方針を固めること、そして共同創業者をつくることです。これまで5人のメンバーと共に事業を推し進めてきましたが、12月で一旦解散しました。したがって、新しい共同創業者と共に強いチームの再構築が必要だと思っています。また、長期的な目標は鹿の命を無駄にしない社会をつくること。北海道や日本、ひいては世界に貢献できるビジネスモデルをつくることです。

―ありがとうございました!

鹿のレザー製品ブランド/ディアベリー
https://deervery.com/

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