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【あなたのきっかけに】Episode 39 「伝えたい」

文=増田萌絵

※この記事は「WITアプリ」で公開された記事を再掲載したものです。

『王様ランキング』と言えば、あまりアニメでは観ないある会話方法が登場します。
皆さんもご存知の通り。そう、「手話」です。

原作でも手話を通してコミュニケーションをとっている場面がいくつも出てきますが、アニメ『王様ランキング』でも欠かせないのがやはり手話のシーン。

手の細かい動きを作画で描くとなると、とっても難しい。
今作では、手話の専門家の方にも監修をいただいていて、細かい動きまで丁寧に表現されています。
絵に起こす前に実際に手話の動画を撮って、それを参考に作画作業が進められていました。
そして、出来上がった映像もお渡しして、この動きがしっかりと相手に伝わるかの最終確認も欠かしません。

アニメで観るとまるですらすらと流れるようにやっていますが、実際に絵に起こすとなると想像以上の労力がかかります。
1cutの限られた尺内で手話を表現するとなると、少し動きが早まったりすることがあるのですが、そうすると単語と単語が繋がったように見えて異なる意味の単語になってしまったり、その通りに描いていても実際に観ると少し異なって見えてしまったり……。
そもそも手話に起こすのが難しいセリフがあったりと、担当制作の子から“難しい”とよく聞いていたのがこの手話表現でした。

しっかりとした伝わる表現にするため、同じカットをOKになるまで何度も修正を重ねており、そこもこのアニメ王様ランキングの見どころの一つです。

では、ここで少し手話をする素材をお見せしましょう!

ほんの一部の原画ですが、細かく動きが描かれています。
これは第一話の怒っているヒリングに対してボッジが慌てて弁解をするシーンです。
ここでボッジが何を訴えているか。
実は『違います!一人で遊んでいたんです!』と言っていて、絵コンテの段階からしっかりと意味も明記されています。

このような感じでいくつもの手話シーンが生まれてきました。
ご覧になる際には力を入れている『手話』にも注目して観てくださいね!
意味が分かると、より世界観に入り込めますよ!

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