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結んで切れて絡まり繋がる | CHAFE

いくらでも道はあるからな。
悪い世の中になったら、
これはこれで悪い世の中も面白いという考え方もあるわな。
自分はもう自殺しようという人もあれば、
こんなに悪いんやったらよくしてやろうと、どれだけよくなるだろうと。
よくなる道を考えようと、
勇気凛々としてやるという人の、
二とおりあるな。
それでわしは、あとのほうに入ったんや。
(松下幸之助)

こんばんは。wisteriaです。

上記、3記事の続編です。
よろしければ、併せてご覧ください。

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Aちゃんからの、言葉にならない救難信号を受け取った、数日後。

私は、Wさんを始めとした、研究室上層部の一部の人たちに、潜入兼聞き取り調査を行った。

私の立ち位置として、問題を一方向だけで見るのではなく、多角的に見て、客観的に俯瞰しておきたかった。

上層部の話を総合して端的にまとめると、

「Eちゃんのことは、以前より、上層部から学生課に相談していた。
   でも、学生課は、学生以外の意見で動くわけにはいかない立場だから、
   いくら学生課に言っても、膠着状態だった。
   だから、むしろ、Eちゃんが学生課に行ってくれる方が良い。
   手も足も出せない状態なんだ。」

さらに、Wさんは、こうも言っていた。

Wさん「私はいつでも訴えられてもいいように、
              こちらも証拠とかを残している。
              クビを切られることも覚悟している。」


私の中で、怒りとやるせなさが湧き上がり、ため息しか出なかった。

簡単な話、確かに、体裁上、学生を切る訳にはいかないから、
Wさんを切れば解決できる、という風に聞こえて仕方なかった。


全く以て、そういう問題ではない。

誰かを切ることが、根本的な解決ではない。

そうでなくとも、生じた歪みや軋みの犠牲も出始めている。

己を守るためだけの、切る/切られる覚悟など、無意味だ。

研究室の人間関係はそんなに単純じゃない。
既に、あなた方が発生させた台風の被害が出ている。

当人たちの問題だけでなくなってきている。

ある意味、理不尽にも巻き込まれたモノに目もくれずに、
台風の目にいて、進路を追っていても、意味がない。

なぜ、その意識がないのか。

怒りを表現するだけの言葉が足りないにもかかわらず、
こみ上げるマグマは一向に沈静化しなかった。


上層部、Wさんから聞き取りし、さらに、Q先輩にも聞いたりした。

それらの話の断片を集めて、1つの問題を立体視する。

最優先に解決すべき点はどこか。
問題に着手した時に生じるメリットとデメリットは何か。

根本的な問題は何か。
守るべきものは何だ。

考えても、考えても、考えても、一向に完璧な答えは出なかった。
ただただ、みんなの苦しみの時間が増えていくだけだった。

だから、私は、まわりまわって、結論として、
Aちゃんに提案した、私が学生課に相談しに行くことにした。

まずは、Aちゃんの苦しみを少しでも取り除くこと。
少しでも安心してもらえるように。
私には、それが最優先に感じた。

そう考えるとすぐに、私は、メールを送って、相談日時を調整していた。

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学生課へ相談する日。
朝から、どんよりとした空。昼過ぎから雨が降っていた。
その中をどういう話を展開するかで悩みながら、指定場所へ向かう。

学生課の人は、快く迎えてくれた。

そこで私は

私「私の友人であるAちゃんが、Eちゃんのことで、
       元々Aちゃんが持っていた喘息の症状も現れる程、
    困って、悩んで、しんどい状況にある。
      私は、彼女を助けたい。
       とりあえず、どうにかしてほしい。」

と訴えた。

結局、学生課の人と2時間くらい話した。

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数日後、今度は、私から、AちゃんとCくんを呼び出した。

私は、その時は、2人に、

私「学生課には一応伝えたから、もう大丈夫だよ。
       学生課の人も言ってたし、私も思うんだけど、
       しばらく、Eちゃんとは距離を置いた方が良いと思うよ。
       あと、もしかしたら、学生課の人が直接話を聞くかもしれないから、
       その時は、協力してくれる?」

と伝えた。

だけど、本当のところは、大丈夫じゃないことは、既にわかっていた。
学生課の人と話したときに、直感的にそう感じてしまった。

だけど、嘘でも何でもいいから、
とりあえず、安心できるように、喘息が収まるように、
精神的不安・苦痛が少しでも取り除けるようにしないといけない、
と本能的に思った。

すると、Aちゃんは、

Aちゃん「ごめん、あの時、行ってくれてたんだよね。
                 あの日、しばらく、研究室にいなかったから。
                 ありがとう。少し距離をおいてみるよ。
                 面談にもいくよ。ありがとう。」

と、言ってくれた。

その日から、できる限り、AちゃんはEちゃんと関わることを控え、
私もタイミングが合えば、わざとAちゃんと行動を一緒にしようと努めた。

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今思えば、Aちゃんを助けたい一心で、向こう見ずな判断だったかもしれないとも思う。

未だに後悔する時もある。


だけど、行動しないより、行動した後悔を私は選んだ。

少しでもAちゃんが、研究室全体が救われる方法を考え、行動した。



不器用な結び目がついた、複雑に絡まった3本の糸が
無慈悲な重石によって擦り切れ始めた。



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