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【英語本】『ヒップホップ・イングリッシュ・マスター』MEISO【ブックレビュー】

Don't think. Raaaaaap!!

毎年この時期になると子どもの誕生日プレゼントを何にするかで悩みまして、去年は中学生の下の子には羽生善治先生監修の詰将棋本、高校生の上の子には『ファクトフルネス』の原書と訳本のセットにしたのですが、今年のは一つはこの本に決めました!

私がもっと若い頃にこれと出会っていたら英語人生違っていたかも?と思うくらい素晴らしい音読本!

著者のMEISOさんはご自身がバイリンガル・ラッパーであり、かつ同時通訳者でもあるという異色の経歴の持ち主。2019年日本会議通訳者協会主催同時通訳グランプリ優勝ということで、その英語・日本語の実力は折り紙つき。

◯◯×英語というと色物的な企画本かと思われがちですが、本書はかなり本格的な音読本となっています。Chapter1は発音編ということで、日本人が苦手な子音・母音・二重母音の導入からはじまり、『英語のハノン 初級』でも「英音法」として扱われていた音の脱落・弱形・連結・同化・フラップTまで手厚く練習できるようになっています。また面白いのがSkill10の「韻(rhyme)」についてで、英語圏では「ABCの歌」の子どもの頃からライム三昧、振り返ればシェイクスピアの「弱強五歩格」(iambic pentameter)以来の伝統があり、外国語学習でもこれを活用しない手はないでしょう!と。

しかもこういった発音練習が全てEccy, EVISBEATS, D J Mitsu the Beats, STUTSといった最高にdopeなBeatmakers(「トラックメイカー」は和製英語)のトラックに乗せて行われるというのだからとっても贅沢!

続いてChapter2ではtakeとかgetのような中学で習う基本動詞25個を含む句動詞やフレーズをラップに乗せて練習できます。これは大いに自戒を込めてなのですが、英検1級とか勉強しているとつい会話でも無駄に「ビッグワード」を使ってしまう傾向があって、本書にあるような基本動詞を使いこなせるスキルの大切さはいくら強調してもしたりないほど。しかも、

How do you break into a conversation?
It's like breaking into a house.
You find a window and break in.
Now let's practice breaking in.

といった具合にクスッと笑える工夫が随所になされていて、音読していても飽きず楽しめるようになっています。

そして最終Chapter3では16小節のラップで英語学習のマインドセットが叩き込まれます。これがまた良い内容なんですよね〜。そして最後に読み手が自分自身でラップを書くための具体的なアドバイスまでも載っています。

本書の随所にMEISOさんのコラムもあるのですが、いわば「移民」として生きてこられたラッパーとしての半生の体験が綴られていて、その格好良さにうちの子どもたちも何か感じとってくれたらなあと。

普段教えている生徒でも日本語ラップが好きな子はかなりいるのですが、そこからあまり英語圏へは関心が広がっていかないんですよね。。もったいない!そんなとき私は良くNetflixで見られる"Hip-Hop Evolution"シリーズがめっちゃ面白いしタメになるよ〜とか紹介していたものですが、

これからは『ヒップホップ・イングリッシュ・マスター』も全力でお勧めしよう!

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