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うちの猫がにゃーと鳴かなくなった日

一章まで読んだだけで、なぜにゃーと鳴かなくなったのか分かった人には先着1名様に1,000ペリカあげます。

序章

わたしの夫の職業はシステムエンジニア。
彼の弱点は、だ。
数年前にもギックリ腰をやったし、ヘルニアの手術も経験済み。
そんな彼にとって、”良い椅子”はMacbookと同じ位重要なアイテムだ。

子どもたちが生まれ、マンションが手狭になり、戸建てに引っ越したことで、夫は念願の書斎を手に入れた。
書斎のデスクや壁紙をあれでもないこれでもないと選ぶ彼は本当に幸せそうだった。

デスクチェアだけは最初から決まっていた。
ハーマンミラーのアーロンチェア一択。
高い買い物なので、実際に試せる店舗に何度か足を運び、最終的に選んだのがこれだった。
(↓画面右側のおしゃれな椅子)

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画像引用元:ハーマンミラー

数日後、実物が家に届いた。
思っていたより大きく、ずっしりと重く、威風堂々という言葉がぴったりだった。
セッティングが終わった時、まるで鏡餅の上にみかんを乗せた瞬間のように、彼の書斎が完成した

大切に使えば、一生のお付き合いになる。
(これから、よろしくね)
心のなかでそう言って、わたしは黒光りするひじかけを撫でた。

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第1章

引っ越して数年後、猫を飼い始めた。

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心配していたトイレの失敗は1回もなく、困った場所で爪とぎすることもなかった。
ごはんももりもり食べるし、健康面での心配は何もなかった。

可愛い声でにゃ〜と鳴き、体を擦り付けてくる様子に家族全員メロメロ。
元は野良猫だったのに、こんなに懐いてくれるんだなぁ。

猫たちはあと1ヶ月で満1才になる。
仔猫のうちは怪我や誤飲のリスクが高いので、長時間目を離すことがないように気をつけていた。

特にオスのこんぶは、かじり癖があった。
噛める柔らかさのおもちゃはすぐぼろぼろになるし、スニーカーの靴紐はよく短くされて困っていた。
(しかも大体わたしのスニーカーがやられる)

紙袋もお気に入り。
見つけるやいなや取っ手部分をしょりしょり齧る。
取っ手は小指1本に満たない長さに噛み切られていたので、たまに便に出てくる位で、あまり気に留めていなかった。

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それからメスのみかんが気に入っていたのは、わたしのヘアゴムだ。
ハードグミのような素材でできている。

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これは明らかに飲み込んだらヤバそうなので、猫たちがある程度噛んで満足したタイミングで必ず回収していた。
でも、ヘアゴムはわたしが寝る時に枕元にぽいっと置くことが多いので、時たま(あれ❓ちゃんと回収したっけ❓)とひやっとすることがあった。
夫にもよく注意されていた。

ある日、書斎の床に掃除機をかけていたわたしは、謎の黒いゴミが落ちていることに気付いた。
1ミリから3ミリ位の大きさで、押すとかすかに弾力があった。
周囲を見回しても、このゴミの出どころは分からず。
掃除機でがーっと吸って、この謎の物体のことはわたしの念頭からすぐに消えていた。

第2章

ある週末。
わたしは土日の両日にまたがる研修に参加するため、自宅を離れていた。
子どもたちの面倒は夫が見てくれていた。

お昼の休憩中に珍しく夫から電話がかかってきた。
わたしが自分のことに集中したい時、必ずそれを尊重してくれる夫が電話をかけてくるなんてよほどのことに違いない。
(まさか子供が大怪我したのかな…?)

緊張して電話に出た。
わたしの耳に届いた彼の第一声は
こんぶがにゃーって鳴かない!どうしよう😨」
「…え?」

今思いだすと笑ってしまうけど、当時は本当に意味が分からなかった。
よーく話を聞いてみると、こんぶの様子がどうもおかしく食欲もないらしい。
いつもならにゃーと鳴くのが「おぉ〜ん、おぉ〜ん」と鳴くらしい。
オオカミか。

わたしは研修を済ませてから急いで帰った。
あれからこんぶの様子はますます悪化しているらしい。
確かに、ごはんは食べないし、いつも活発に動き回るこんぶが苦しそうにうずくまっている…
たまに何かを吐こうとして、うぐっうぐっとえづくけど、何も出ない。
そして、わたしの顔を見て
おぉ〜ん

これはやばい
「かわいそう😭」と「本当におぉ〜んって鳴いてる…❗感動✨」と「緊急事態だ❗どうしよう😨」がごちゃまぜになってなぜか笑ってしまった
人は処理しきれない情報量に飲まれると笑ってしまうらしい。

今だったら、その様子を録画して獣医師に診てもらう際の参考になるな、とか、「猫がこんな鳴き方をしたら要注意」みたいな他の人への注意喚起に使える、と考えるだろうけど、当時は焦っていて全然頭が回らなかった。

翌朝いちばんで動物病院に連れて行くことにした。

第3章

かかりつけの動物病院に連れて行ったが、そこでは詳しい検査ができないので二次診療ができる病院に紹介してくれた。

※注
一次診療…かかりつけ。ホームドクター。比較的小規模な診療施設。
二次診療…一次診療の判断で紹介される。より専門的な治療を施す施設。

少し離れた場所にある大きな動物病院に移動。
レントゲンを取った結果、なんとお腹の中に異物があるらしい…
これが当時の写真。

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この異物が腸管を塞いでいるらしい。

異物…❗❓
わたしのヘアゴムをいつの間にか食べてしまったのか❗❓
ごめん、こんぶ。
わたしがちゃんと片付けてなかったのが悪かった…😭

こんぶはその場ですぐに開腹手術を受けることになった。
1週間入院した後、また迎えに来てくださいとのこと。

原因が誤飲だったということで、夫とわたしはすごく落ち込んだ。
わたし達の注意不足だったんだ…

第4章

こんぶが退院する日。
迎えに行ったら、以前のようにすごく元気な様子✨
拍子抜けするくらい。

入院中もがつがつごはんを食べていたらしい。

でも処置があと1日遅れていたら死んでいたかもしれなかったらしい。
ごめんよ、こんぶ。
お腹の縫合糸の跡が痛々しい。

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最後に、獣医さんから小さなポリ袋に入った何かを渡された。

「これがこんぶちゃんのお腹の中に入っていました」

袋の中に入っていたのは、わたしのヘアゴムではなかった。

それは













黒い物体だった。
胃腸の内容物にまみれていたが、それは確かに黒かった
大きいものでペットボトルの蓋ほど、小さなものでビー玉大のかけらが3、4個。

(❓❓❓…黒いヘアゴムなんて持ってたっけ❓)

ポリ袋越しにその謎の物体を指でつまんだ瞬間、すべてを理解した。

こんぶは、ひじかけを食べていたのだ。

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掃除機で吸ったのはひじかけのかけらだった。
確かに数日前から、「アーロンチェアのひじかけが猫にぼろぼろにされている」と夫が嘆いていた。
でも、そのかけらは齧っているから出るのだと思いこんでいた。

まさか飲み込んでいたなんて…
ひじかけって食べられるんだ
(いや、厳密に言うと食べられてないけど。死にかけてるし。)

夫婦で呆然と立ち尽くすしかなかった。

第5章

手術から1ヶ月が経った。
こんぶは死にそうになったことなどまるで嘘のように元気いっぱいだ。

相変わらずなんでも齧るし、食欲も旺盛だ。

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もう同じあやまちは繰り返さないぞと誓ったわたしたちは、こんなスプレーを購入した。

【商品説明】 引用元:Amazon
噛んでほしくない場所に直接スプレーをする事で苦みをつけ、愛犬がその場所を噛んだり、舐めたりすると苦い味がして嫌がるのでしつけや予防ができます。
リンゴ苦み成分を使った天然素材の噛み癖防止剤です。

これをひじかけにしゅっしゅっとすると、確かに猫たちがしかめ面をしている。
迷惑そうに距離を取っている。
こうかはばつぐんだ❗

夫は「スプレーでひじかけがべとべとする…(´·ω·`)ショボーン」と嫌がっていたが、仕方ない。

しばらくこのスプレーを使い、猫たちに「ひじかけは噛むと苦い。おいしくない」と覚え込ませた後、新しいひじかけと交換。(¥8,000😭)
アーロンチェアはまた元の威厳ある姿を取り戻したのであった。

最終章

あれから数ヶ月が経った。
天災は忘れた頃にやってくるって言いますよね、ね❓

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またやられた。

猫たちは書斎を出入り禁止になった。

うちの猫もひじかけを食べるよ❗
という人、他にいますか❓

こんぶの「えー❓こんなものも食べちゃったの❗❓」シリーズは他にもあるので、追い追い書いていきたいと思います。

1匹でも多くの猫ちゃん達にとって、有益な情報になりますように…

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