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われわれホモサピエンスは、霊長類に属する。霊長の意味を辞書で引くと、万物の中で最も優れているものと書かれている。自らを最高の存在と定義するとは、かなりの自惚れ屋だと言わざるを得ない。確かに人間は地球上で唯一、機械を創造するほど知能を発達させた生物ではあるが、高々それだけの事実だけで万物の中で最も優れていると言えるのだろうか。

生物とは遺伝子の乗り物で、その目的は遺伝子を後世に残すことだとする仮説を採用すれば、文明を発展させ機械化を推し進めたのは、単なる手段のひとつに過ぎない。そんなことをせずとも、昆虫は太古から強い生命力であらゆる環境に適応しているし、植物などは移動すら不要と見做し、根を下ろした場所で光と水と空気を使って長寿をまっとうしている。ウイルスに至っては、自らは代謝系を持たない非生物であるにも関わらず、他の生物のシステムを利用して次の世代を生み出せる。

人間は知能という物差しを使って、他の生物を自らよりも劣っていると反断しているが、他の生物にとって人類は、知能を獲得するために脳という低燃費な器官を発達させた愚かな生き物に見えているかも知れない。ましてや、それで得られた知能で欲望を肥大化させた結果、同種内で絶えることのない争いを続け、種全体の幸福とはかけ離れた場所に突き進んでいるのだから。

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