東京女学館中学2024年度国語第1回(大問二)とってもわかりやすい中学入試過去問の解説
中学受験国語の成功の極意は、
①できるだけたくさんの過去問を解いて、
②正解の理由をよく理解して、
③何度も読み返して復習することです。
間違えた問題は、本文の正解の理由になる部分に色をつけると効果的です。色鉛筆で問題ごとに色を変えてみてください。
※この解説は保護者の方が声に出して読んでいただけると、生徒さんの理解が格段に深くなります。
『言語の本質』今井むつみ・秋田喜美著より。人はどのように言葉を身につけるのか、言葉についてのお話です。
本文中に、奇跡の人ヘレンケラーさんのエピソードが取り上げられています。
下の動画には、目が見えず、耳も聞こえず、話すことができなかったヘレンケラーさんが、サリバン先生と出会い、言葉を身につけ、ついには大勢の人の前で講演をしている様子が記録されています。どれだけ大変な努力をしてここまでになれたのでしょうか。とても感動的です。
皆さんもきっと、国語に限らず英語やいろいろな外国語を習得することができるのでしょうね。
問1A直前の「それぞれの単語の音は意味とつながっている」を「音が意味を教えてくれるのだ」と言い換えています。
B直前に「普通のことばだとそうはいかない。」と書いてあります。「普通のことば」を「サカナ」を例に挙げて具体的に説明しています。
C前後の文で「気づいていた」と「気づいていなかった」が反対の意味になっています。
D直前の文が「大人は赤ちゃんにオノマトペを多用する」理由になっています。問4の答えの理由にもなっています。
問2サリバン先生は、目が見えず耳も聞こえないヘレンの手に触れたものの名前を、アルファベットで何度も何度もてのひらに書いて教えようとしました。ですが、1行前に「しかし、彼女が手で触れるサリバン先生の指文字の形がその対象の名前だということには気づいていなかった。」と書いてあります。
物それぞれに名前があることがわかって綴りを書いていたのではなく、ただ単に教えられた通りに文字をまねして書いていたのですね。
問3「ヘレンは、waterという綴りが名前だということに気づいたとき、すべてのモノには名前があるのだという閃き(直感的にわかること)を得た。この閃きこそが名づけの洞察(本質を見抜くこと)だ。名づけの洞察は、言語習得の大事な第一歩である。人間が持っている視覚や触覚と音の間に類似性を見つけ、自然に対応付ける音象徴能力は、モノには名前があるのだという気づきをもたらす。」ちょっと難しい文章ですが、「閃き」は名詞なので、同じ意味の「気づき」も名詞になります。
問4線③の前の部分に理由が書かれています。オノマトペは「音と意味が自然につながっていて、それを赤ちゃんでも感じられることが、単語に意味があるという名づけの洞察を引き起こすきっかけになるのではないか。」この部分を使ってうまくまとめます。
問5「これはなかなか難しい問題である。」何が難しい問題なのでしょうか?すぐ前の部分を見てください。「しかし、対象が一つ見つかるだけでは厳密にはことばの意味を学んだことにはならないし、そのことばを使うことができない。ことばを使うためには、最初に結びつけられた指示対象だけではなく、他のどの対象にそのことばが使え、どの対象には使えないのかを見極められなくてはならない。」と書いてあります。さらに後ろの部分で動詞の意味をはっきりとわかることの難しさについて具体的に書かれています。
問6A「踏む」と「つぶす」の活用(後ろにくる言葉によって変化すること)です。「竹を足で押すこと」ですから「竹を踏んでいる」ですね。
B「もともと厚みのあったモノが平らに変形」しているので「カンをつぶしている」です。
問7不正解の理由です。
イ「つぶすの場合は足でなくて手でもよい」
ウイラストだけでは足をくり返し動かしているかどうかわかりません。
エイラストは子どもに見えるので大きな足とは限りません。
問8「ネケっているという、オノマトペではない、音と意味の間につながりのない動詞をきいたとしよう。」と8ページの真ん中あたりに書いてあります。字数が合わないので、さらに後ろの方を見ると、オノマトペの「ノスノスには音と意味の対応があるため、どの動作に動詞が対応づけられるべきなのか直感的にわかるのである。」とあります。十文字になるように「音と意味の対応がない」と組み合わせます。「音と意味に関連がない」でも構わないと思います。
問9「どの動作に動詞が対応づけられるべきなのかがⅡにわかるのである。」はたしてどのように「わかる」のか?8ページの前の方です。「まったく知らない言語を話す原住民が野原を跳びはねているウサギの方を指差してガヴァガーイと叫んだ。ガヴァガーイの意味は何か?私たちは直感的には当然ウサギだと思う。」と書いてあります。それと同じようにオノマトペ動詞の「ノスノスしている」の意味は「直感的にわかるの」ですね。
問10難しい問題です。6ページの後ろの方の「人間が持っている視覚や触覚と音の間に類似性を見つけ、自然に対応付ける音象徴能力(B音と意味のつながりを自然に感じ取る)は、モノには名前があるのだという気づきをもたらす(Cモノには名前があるのだという気づきが生まれる)。その気づきが、身の回りのモノや行為すべての名前を憶えようとする急速な語彙の成長(Dモノの名前を次々と覚えようとし始める)、語彙爆発と呼ばれる現象につながるのだ。語彙が増えると子どもは語彙に潜むさまざまなパターンに気づく(Aことばに潜むさまざまなパターンに気づくようになる)。その気づきがさらに新しい単語の意味の推論を助け、語彙を成長させていく原動力となるのである。」の部分を言い換えています。何度も読み返して正しい順序を考えてみてください。
この内容は英語の勉強でも同じことが言えます。ある程度英単語を覚えると同じ語源の英単語の意味が覚えやすくなったり、知らない英単語でもなんとなく意味が類推できたりします。
国語もたくさん本を読んでいろいろな言葉を知ることが、その後でもっと多くの言葉がわかるようになるために大切なのですね。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
これからも頑張ってわかりやすい解説を書いていきます。
受験生の皆さんも問題の文章を繰り返し読んで読解力を身につけてください。
合格をお祈りします!
オンラインで個別指導もやっています。
是非、お問い合わせください。
現在、英検1級に挑戦中で、不合格体験記を書いています。
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