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「唯我独尊」をドラムで体現したら、こうなった。。。究極の神童・・・Tony Williams

この世には、あらゆる分野において「神童」と呼ばれる人たちがいる。

ドラムの世界においても神童と呼ばれる天才少年少女ドラマーはたくさんいるが、僕は「神童ドラマー」という表現があまりにも乱発されすぎている気がして好きではない。

というのは、僕が考える神童というのは、本当に「人間個人の努力だけではどうしようもない領域」に辿り着ける、所謂「ギフテッド」な存在なのである。

で、この世の多くの神童ドラマーといわれる人達は、多くが「努力で辿り着ける領域」と感じる。「『年齢の割には』うまい」という、『年齢の割には』という文言が付いてまわり、言い換えれば「大人になればそれ相応のドラマー」ということである(切ない)。

本当のギフテッドな神童というのは、「その子どもドラマーが仮に今突然大人になったとしても、評価が揺るがない、他人が真似できない、代わりがいない、絶対的な『なにか』をもった人物」であり、「年齢の割には」という言葉が意味を成さない人だと思う。

世の中で神童ドラマーと評価されている人の多くは、たまたま生育環境のおかげでドラムに早く触れることができたため、同世代の他の子たちより上達が早かった、という人だと思う。

真の神童ドラマーは、この生育環境と本人の努力と運に加え、謎の才能を内側に持っている。


そういうわけで、僕は真の神童ドラマーというのは世界的に見ても本当に稀有な存在と思う。が、今回紹介するのは、全世界のあらゆるドラマーが脱帽し天を仰いで納得する正真正銘の神童である。



余りにも早熟すぎた天才。



Tony Williams



・・・ちなみに、早く逝き過ぎた人でもある。


どれだけ神童だったかは、これを見れば一目瞭然である。


もしあなたがドラマーで、この動画を見てどれだけ凄いのかがわからなければ、今世をドラマーとして生きるのはつまらないだろうから止めた方が今後のためだと思う。

JAZZの帝王・Miles Davis のクインテット、1967 ストックホルムでの演奏とのことであるが、、、

1945年生まれなので、この時点で22歳くらい!?若い。。。

が、22歳での演奏なら、別に神童というわけでもないでしょ???と思いきや、、、

まさにこの動画の演奏と同テンション、いや、それ以上のテンションで演奏されたライブが納められたジャズ史に残る名盤中の名盤がある。


それが「Fore & More」


1964年の演奏。


ということは、Tony は19歳。。。


この演奏を?!?!



ガクブル!!



ガクガクブルブル!!!!




ガクガクガクガクブルブルブルブル!!!!!!!!!



!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


しかも、

マイルスバンドに加入したのは、1963年。。。

単純計算で18歳(実際には17歳加入らしい。。。)!!!


しかもしかも、

あの、このとき既に帝王と呼ばれ、ジャズ界で絶対の存在であったマイルスに対し、


「もっと練習せーよ。」

 

と、言ったり、


マ「トニー。ちゃんと2拍4泊でハイハット踏めよ。」

ト「シャンシャンシャンシャンシャンシャン・・・(やらない)」


と、無視したり。。。


他にも嘘か真か、いろいろな伝説の発言の噂があるが、デマも多いと思われるのでここでは書かないでおく。

ネットで検索すればいろいろ出てくるし、マイルスについてはジャズファンから徹底的に研究されてるので、本屋に行けばたくさん関連本が売っている。トニーの話も出てくるので調べてみてはいかがだろうか。


ま、

とにかく、


「圧倒的な自信」

「物怖じしない胆力」

「空気の読めなさ」


これだけだと、タダの超ウザいやつなのだが、



『それらをあっさり帳消しにするエクストリームドラマーだった』



のである。


そのドラミングの凄さは上記動画を見てもらえればわかるだろう。


まず誰がどう見ても気づくのが、ものすごいハイスピードのシンバルレガート。しかもこれには初期トニーのトレードマークでもある片手5連打を含む。

多くの世界のドラマーが、「5連打している」というのはわかっても、

「どうやってやっているか」がわからない人も多く、さらに

「どうやってやっているかわかったが練習してもできない」人も多く、

「どうやってやっているかがわかってできるようになったが、このテンポには追いつけない」という人も多く、、、

「どうやってやっているかがわかってできるようになりテンポには追いついたが、こんな音量とタッチでは叩けない」という人も多く、、、

まぁまぁまぁまぁまぁまぁ Tony は跳びぬけて凄いということがこれだけでもわかる。

そして、謎なのは、

「どうしてこんなに若くして、こんなテクニックが身に着けられたのか?」

「そもそも、どうやってこのテクニックを知ったのか?教えてもらったのか?自分で偶然見つけたのか?」

ということである(誰か知っていたら教えて)。


それから、シンバルレガートのバックで鳴っている、左足ハイハット、右足バスドラム、左手スネアコンピングのコンビネーション。

この時代 Tony についてはシンバルレガートが語られることが定石で、他3点についてはあまり熱心に語られないことが多いのだが、この動画を見ると「アホみたいに高度なコンビネーションを、むちゃくちゃ歌って、活き活きとエモーショナルに演奏」している。

ここまでダイナミックに歌う左手を持つのは、Buddy Rich ぐらいではないだろうか・・・。

ちなみに、もっと時代が進むと、「タムとバスドラム」の交互連打が出てくるようになる。これは Tony が未来のドラマーに残した罪深いほどに魅力的なフレーズである・・・。


あと、音量。

ジャズドラムって他ジャンルの音楽と比べて音が小さいというイメージだし、実際そのとおりなんだけれども、Tony はロック畑で活躍するドラマー達と比べても遜色ないほど轟音ドラマーである。

(しかしタッチがめちゃくちゃキレイなせいか、録音されたものを聴くと不思議なほどアンサンブルにマッチしているように聴こえるが。)

上記動画でも、ライドシンバルやハイハットがグワングワン容赦なく揺れているのがわかる。バスドラムも John Bonham かっ?!?!っていうくらいドゴンドゴン鳴っている。

(ちなみに John は1948生なので、Tony の方が先輩。)

なお、1980年代以降になると、Tony のドラムはロック色が強くなり、音量もますます上がる。この頃の「ロックも叩けるジャズドラマー」みたいな、所謂大音量エレクトリックフュージョンのような音楽で活躍していた人たちはもれなく Tony の影響を受けている。

(この note で紹介した人だと、Vinnie Colaiuta , Dennis Chambers , Simon Phillips など)


さらに、ミドルテンポやさらにゆっくりなテンポも上手い。

上記動画でもハーフテンポに戻ってくる場面があるが、このときのスウィング感がメチャクチャキモチイイィィィ。。。

ただ連打が速いだけのドラマーとは全く質が異なる演奏をしていることがわかる。

なお、この動画では大部分が高速テンポでの演奏ばかりだが、ゆっくりな曲においても未来永劫語り継がれるであろう名演を多く残している。

Nefertiti はその代表で、ミディアムスローのスウィングで、他の楽器に伴奏させた上で最高に音楽的なドラムソロを演奏している。



まーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Tony の天才っぷりはまだまだまだまだまだまだこんなもんじゃないのだが、ほどよい字数になってきたので、この辺で売茶!!!!トリヤマ!!!!ノリマキ!!!!

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