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▽R05-07-06 Youはどこから品川へ?

▽出張で広島に行っていた。

 日帰りみたいなもんだったのでゆっくり観光する時間はなかった。朝の時間を利用して、駅前のホテルから原爆ドームあたりまでお散歩した。

 広島、いい街ですね。
 広島市街はデルタ地帯で、街並みの間を太い川が何本も走っているのが特徴的だ。川は存在するだけでお散歩満足度がプラスされるため、あればあるほどいいとされている(ぼく調べ)。いつかこの街はゆっくり時間をとってうろつきたいね。
 そういや駅前でめちゃくちゃ工事してたけど、そのうちキレイになるんだろうか。


 目の前で焼かれたお好み焼き。めちゃくちゃうまかった。


▽用務終了後、新幹線で品川まで帰ってくる。
 降りて在来線乗換の改札をくぐったあとで、新幹線の荷物棚にお土産の入った袋を置き忘れてしまったことに気づいた。

 クソ、だから荷物棚は嫌なんだよな。ほぼ100で忘れるから。
 なんなら今回は絶対忘れると思って、降車時間に合わせてKeepメモに「お土産忘れるなよ」とリマインドを仕込んでおいたのに、スマホ画面を確認するのが遅れてまんまと忘れてしまった。アホすぎる。

 めんどくせ〜〜〜と思いつつ、駅員さんに相談。

「すいません、新幹線に忘れ物をしてしまったのですが……」
「何をお忘れですか?」
「あ、お土産なんですけど……」
「終着駅は東京ですので、東京駅の忘れ物承り所に直接行っていただくのが一番早いかと思います」

 そんな感じで場所案内用のメモをもらった。さすが駅員さん、つつがない対応だ。
 言われるがままに東京駅に向かうが、しかしここでふと気になることがあった。

 なぜ、ぼくが東京行の新幹線に乗っていたことが分かったんだろうか?

 ……いや、もちろん、普通に考えたらそうなのだ。東海道新幹線の東側の終点が東京で、そのひとつ手前が品川駅。「東京-品川間を新幹線で移動する人間」と、「品川以西から新幹線で品川に来る人間」とでは、後者の方がはるかに多いことは明らかである。

 しかし、前者が全く存在しないかといえばそんなことはない。めちゃくちゃ急いでいて在来線を使っていられなかったのかもしれないし、そうでなくても有り得ないということはないはずだ。つまり、ぼくが乗っていた新幹線は東京行ではなく、大阪行や博多行など、西へ向かう便だった可能性だってあったはずなのである。
 実際、ぼくの知り合いには、特段金持ちなわけでもないのに、時間を浮かせるために新横浜-品川間を新幹線で移動する人物がいる。在来線で十分移動可能な距離でも気軽に新幹線を使う人種というのは、世の中に確実に存在するのだ。
 ぼくがそういう人種である可能性が無視できるほどの低確率だとも思えない以上、ベテランの駅員さんが、その可能性を全く考慮せずにガイドを行うとは考えにくい。
 にも関わらず、なぜ何の確認もせずに、ぼくが東京行に乗ってきたのだと分かったのか。到着時刻からは確か10分以上経っていたはずだし……。

 そんな風に不思議に思っていると、これまたふと、

「あ、お土産か」

 と思い当たった。

 どこ土産とは言わなかったものの、忘れ物が傘や充電器などではなく「お土産」だと分かった時点で、ぼくが東京-品川間を移動してきたブルジョアジーである可能性はほとんどゼロに近づくと言っていい。東京から出ていないサラリーマンがお土産袋を抱えているわけはないのだから。
 まさかそれを特定するために何を忘れたのか聞いたわけではないだろうが、「忘れ物はお土産である」という情報から、駅員さんはぼくが西からの帰還者であることを把握し、東京行以外の選択肢を考慮から外したのだろう。

 謎というほどの謎ではないが、こういう推理めいたものを日常の中に見つけられると、なんだかうれしい。


▽ちなみに忘れ物はちゃんと戻ってきた。よかった〜〜〜。日本最高。もう荷物棚は二度と使いません。


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