見出し画像

冬の自転車の経路選択について

2月も後半に入り、1日の日照時間が増え、雪解けの雰囲気も出てきました。これからの時期は、路面状況の変化が多く(積雪が溶け、水溜りができたり)、経路の選択に迷うことが多いかと思います。
私の場合(自転車通勤の場合)、子どもたちが通うような通学路は出来るだけ避けるようにしていたり(事故回避のため)、路面状況が比較的良好なルートを選択して通勤しています。これら経路選択の意思決定には、人それぞれの考え方があるはずです。
しかし、冬の自転車の経路選択と路面状況の関連性については、まだまだ十分に研究されておらず興味深いテーマの一つです。この点について2022年にノルウェーのある大学が調査し、言及した研究がありました。一部をシェア致します。

研究は、アンケートによる調査を行いました。アンケートの設問の一部として、凍結防止剤が撒かれアスファルトが見える路面と凍結防止剤が撒かれていない積雪路面の写真を見せて回答しています。
アンケート調査(ウェブベース)の結果、2500人を超えるサンプルでは、32.3%の自転車利用者が「冬でも時々ルートを変える」と回答し、16.3%が「よく変える」と回答。約3分の1が「冬は夏と違うルートを選ばない」と回答していました。興味深い回答として、自転車利用者は緩い雪を気にしており、滑りやすい凍結路面を理由にルートを変更することは歩行者よりも少ないようです。
凍結路面が自転車利用者にとっての障害にならない理由として、自転車利用者のほとんどが冬場のサイクリングでスタッドレスタイヤを使用していることが最も考えられているようです。
しかし、ここでの調査では路面状況が自転車利用者のルート選択に影響を与えるような決定的な閾値は観測されませんでした。
路面状況が経路選択に影響を与えない理由として、自転車利用者は歩行者よりも「良い路面とは何か」ということをより強く意識している可能性があり、例えば、塩害で自転車が腐食するため、塩害を散布した自転車道を避ける人もいると考えられます。
凍結防止剤の影響については他の報告https://note.com/wintercycling/n/n1cb4ee8472bfにおいても見られます。
つまり、どんなに凍結防止剤などで管理された路面であっても、それが自然環境や自転車自体に影響を及ぼす可能性があるなら、その経路は選択肢から外れる。自分たちの都合の良い事ばかりではなく、社会的な責任と向き合う事やチェリーピッキングはしない姿勢。このような感受性あるいは構えが大切なのではないかと思いました。
調査の結果から違う視座で関連性を見出す必要、新たな課題を見つけられたという事は素晴らしい事だと言えますし、自転車の雪道を安全に走る為には、このようの研究の積み重ねが必要ですね。

参考

https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/21650020.2022.2034524

サポートしていただいたお金は、活動費用として活用させていただきます。