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本当に死んでしまう前に辞めます

‘‘獣になれない私たち’’の最終回で、ガッキーが演じる新海晶は、退職届を出してこう言い放った。

「自分を殺して本当に死んでしまう前に、辞めます」


わたしは、「自分を殺して本当に死んでしまう前に辞めたこと」が何度もある。自慢ではないけれど。

まず、中学2年生の頃、いじめが原因で教室に行くのを辞めた。両親や大人、友人、社会に期待するのを辞めて、すべてを諦めた。高校の頃、いじめの後遺症で学校に行くことができずに全日制の高校を辞め、通信高校へ編入した。専門に進学するも、高校の時と同じ理由で辞めた。

この21年間、辞めてばかりの人生だったように感じる。そのぶん、新しい道を選ぶ決断もしてきた。生きるには、周りと戦いながらも決断するしかなかったのだ。

こんな人生なら死んだ方がマシだと絶望しながらも、「ここでは死んでしまう。世界はもっと広いはずだ、わたしが生きられる世界もあるはずだ」と信じていた。ハンデを背負っていたとしても、あの苦難を乗り越えてきた自分ならきっとどこへだって行けるはずだと、自分だけを、信じてきた。

中学生の頃から、信じられるのは自分しかいなかった。


だからこそ、胸を張って言える。

辞めたって、大丈夫。人生が終わるわけじゃない。道が無くなるわけじゃない。自分を殺して本当に死んでしまうくらいなら、逃げ出したほうがいい。だって生き抜くことのほうがよっぽど大切だから。

無責任だと分かっている。決断をしたあとのすべてを背負うのは、他でもないあなただということも分かっている。それでもやっぱり伝えたい。

自分が思っている以上に世界は広く、自分はどこへだって行けること。今見ている世界がすべてではないこと。

「死にたい」と思っている人はみんな、本当に死にたいわけではないのだと思うから。その言葉の裏にはいくつかの理由が隠れていて、たとえば「説明しても理解してもらえないから」「話しても無駄だから」死にたいと口にしているだけじゃないかな。


死にたくなるほど辛いことがあるのなら、まずは1日休んでみてほしい。

陽のあたる窓辺であたたかいホットミルクを飲んだり、大声で楽し気に話す小学生を見つめたりするのもいい。

ごはんを食べて、たっぷりのお湯に浸かって、気が済むまで眠ったら、ごはんの味がわかるようになるかもしれない。空気のにおいが感じられるようになるかもしれない。「こういう生活がしたいな」って、小さな希望が見えてくるかもしれない。


どうせ生きなきゃいけないのだから、自分を信じている‘‘わたし’’が納得する選択をし続けたいと思う。

自分の好きなように、好きな場所で、好きな人と生きていいってこと、教えられる大人になりたいと思う。

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