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「人混みが苦手」は、人数が理由ではないのかもしれない

2020年以降、人混みが苦手になりました。

満員電車も、人出の戻った新橋や渋谷や新宿やも、なんだかちょっと怖い。新幹線で隣の席に人がいると、緊張する。“怖い”の正体はわかっていなかったけども、もともと以前から満員電車や都内の人混みはあまり好きではなく、人混みに身を置くとどっと疲れていたので、しばらく人混みと縁遠い生活だったから苦手が強くなってしまったのかなぁなんて思っていました。

だけど、どうも苦手なのは、人混みそのものではないみたい。

今日、『生活のたのしみ展』に行って気づいた、不思議です。

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3年ぶりのリアル開催となったほぼ日の『生活のたのしみ展』。

一度目の開催から「行ってみたい!」と思いながら、だけど日程が合わなくて行けたことがなかった私。それがやっと今年、タイミングあって行ってきました!

開場時間の11時に合わせて行ったのですが……到着してみて、びっくり。入場待ちの列がジグザグジグザグ。さらにビルの外にまで伸びていました。「並んでいるかな? 人多いかな?」とは思っていたけれど、ここまでだとは……! ほかの人たちも同じように驚いていたみたいで「ここまで並んでるの!」「2年間、なかったからねー」なんて声が聞こえてきました。

でもその行列も、「ああそっか、2年分の『たのしみ』がここに集まっているんだ」と思うと、なんだかうれしく、たのしくなります。最初はどれくらいで入れるかわからずちょっと焦りましたが、列の進み具合に「30分〜1時間で入れそうだぞ」と思えてからは、焦ることもイラつくこともなく、ただただたのしみに待っていました。

テーマパークに入る前みたいなワクワク。いや、それ以上かも。正直、ディズニーやUSJの入場前の列はワクワク半分、うわー人混みだーアトラクション並ぶかなーって気持ちが半分なのですが、今日はそのちょっと嫌だなという気持ちが0でした。不思議。

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私の後ろには、小さなお子さん連れのご家族が並んでいました。お父さんに抱っこされた3歳ぐらいの女の子が、ずっとお父さんの帽子で遊んでケラケラ笑っていて、かわいらしかった。その子が一度ベローンとのけぞって落ちそうになり、ちょっとびっくりして「わっ」と反応してしまった私。そこでお父さんが「さっきからうるさくて、すみません!」と笑顔で言ってくださいました。

でも私は、全然悪い気はしていません。むしろその子の笑い声にずっと幸せな気分になれていたんです。「全然! ちょっとのけぞりにはびっくりしましたけど、全然大丈夫ですよ! ねー、ご機嫌だねー。お父さんの帽子好きなんだねー」なんて笑って話しました。

そうして、当たり前に思ったんです。「ここに今いる人たちで、ちびっ子のたのしんでいる声を『うるさい』とか『迷惑』とか思う人はいないし、グズっていても笑って見守ってくれる人ばかりだと思いますよ」って。

誰一人、そこにいる人のことは知らないのに。でも自信を持って、そう思えました。そんな自分に、驚きました。

この安心感、信頼感は、どこからくるんだろう?

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無事入場した会場も、やっぱり人がいっぱい。たくさん交差点がある街のような造りになっているので、あっちでもこっちでも人と入れ違います。お店に並ぶ列やレジの列もズラーリ。

——ああ、活気があってうれしいなあ。みんなが「生活のたのしみ」をたのしんでいるって、いいなあ。こんなイベントがリアル開催できるようになって、よかったなあ。

しみじみそう思いながら、レジ待ちの列から会場を眺めていてふと気づいたこと。

「こんな人混み、いつ以来だろう……ひょっとして、コロナ後初では?」

そうして、驚きました。だって、日頃はここよりも人が少ない人混みで怖いと思っているのに、今日はまったく恐怖も不快さも感じなかったのです。

これも多分、無条件に会場にいる人たちを信頼しているからなのかもしれない。

この安心感、信頼感は、どこからくるんだろう?

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そういえば、2020年以前は街中や電車でずっとイヤホンをつけてたなぁ。「閉じていないと疲れる」とよく言っていた気がします。

でも今日は全然、自分の感覚や心を閉じる必要がなかった。むしろ開いて、場の空気や周囲の人のワクワクを、いっぱい感じていたかった。

不思議だなあ、と帰宅してから考えていて、急に「ああそっか」と閃きました。

今日会場に集まっていた人はみんな、「ほぼ日」という価値観を共有している人たちだから安心してたんだ。同じ空間をたのしみにしてきていると人たちだってわかっているから、ワクワクをシェアしたかったんだ。

ずっと、人混みが苦手だと思っていたけれど。単純な人数や密度ではなくて、わからないことが怖かったんだ。集まっている人の思考や価値観やエネルギーの矢印がバラバラだから怖いし疲れてたんだ。

逆にいうと、その矢印がバラバラの場は、少人数でも怖いし疲れるのかもしれない。

もしかしたらこれは、これからの私にとってちょっと大きな発見かもしれません。

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ちなみに『生活のたのしみ展』では、グレーのコンバース、揚げたてポテチ、金のさんま、お醤油、コーヒー、スパイス、ビーナッツバター、ウメサミコ、煎り酒(梅と鰹節と昆布を日本酒で煮詰めた調味料)、それから懐かしのスッパイマンにウメミンツをゲット! コンバース以外は全部食べ物!

午後に知人と集まってお茶したときに「何買ってきたんですか〜?」と聞かれて広げながら話したら、「……つーさん、ひょっとして梅すごく好き?」と言われました。……確かに! 気づいたら梅だらけ! ここまで梅好きだとは自分でも知らなかったなあ〜。笑

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