2019仕事絵1

2019年に携わったBL/音声作品を勝手に振り返って勝手に思い出語ります 前編

今日はこちらの個人サイトのお礼と振り返りを。

いつかラノベやBL小説の表紙、描かせていただきたいなあ。
そんなことを思っていても、ちびキャラ絵師としての需要が多くて仕事もほとんどちびキャラ。それでも初めて、イラストレーターとして仕事をいただくことが増え、ココナラで初めてのキャラデザインランキング1位を取らせていただいたのが2018年。

そんな中、とある仲良し作家さんから「さくらさん、鳥人描けません?」とオファーいただいたのがちょうど去年の12月。個人的にめちゃくちゃ好きだったその獣人オメガバースBLの表紙絵師を探していることを知っていた私は、「獣人かける絵師さんなんていっぱいいるよ」と無責任な発言をしていたのですが、鳥となると案外見つからないことや絵師としての仕事話を別件で交わしていたことも相まって、「私の絵でイメージに合うなら」と、描かせていただくことになりました。

そんなわけで、2019年のお正月は「鷹?いいえ、鷲を描く」から始まりました。

鳥人αに嫁いだ俺の試練/滝沢晴著

kindleで個人出版すると同時に、秋庭で本にすると聞いて、最初からそのつもりで描いた一枚絵は、鳥人αのラズウェルの羽が黒い分、周りをウエディングカラーに染めて花嫁ものラノベ感を意識しました。

既に読者ファンが沢山ついていた投稿サイトランキング1位総なめの作品だっただけに「表紙ついたらイメージ違った」の声が一番怖かった。でも「可愛い」「幸せ感満載」と、お優しいお声を沢山頂戴してほっとしてました。9月はこの本の中に挿絵を入れようよと勝手なワガママを申し出、好きなシーンを描かせていただきました。本もオンデマンドで……なんて言われた瞬間「あかん!オフセやオフセ!」と印刷所と部数まで変更させるという超横暴な態度に出るという(笑)(勝手にあれこれごめん、はれさん……)
でも栄光印刷さんに綺麗に刷っていただけてよかった♡

本はイベント中に完売したそうです。嬉しいね。


アイのカタチ/ひなた翠著

元々フジョッシーに投稿されていた作品。黒髪ドSアンソロの原稿に追われている頃、表紙を描いてほしいとお声掛けいただき、すまないが自分ごとで手いっぱいで、春庭が終わるまで待っててくれないか……と失礼な返しをしたにも関わらず、待っててくださったひなたさんに感謝。

魅力あるカリスマ的存在、柚希くんのスカウトで、デビューの条件に身体を売ることになるマネージャー耀くんの視点から始まる物語。ですが、もうすっかり柚希くんにハマった私は、柚希くん視点の「これは俺のです、さわんな」の猛獣ワンコ感がWINGSの光くんに重なって見えて……大好きで……気づけばWINGSみたいな絵を描いてる(笑)って慌てました。でもひなたさんが「全然オッケー!」と即気に入ってくださったので、そのまま勢いで好き放題に描かせていただきました。こちらはよくあるBL小説の表紙を舐めるように見て参考にした、BLを意識した絵でした。

気に入っていただけて、継続ボイスドラマのご依頼も。どうせなら芸能人同士、WINGSとコラボしないか?という話ですっかり盛り上がり、秋庭ではWINGSと柚希くんたちがライブハウスで出会い、会話を交わすコラボストーリーを二人で書きあうことに。脚本はお互いにお互いのキャラを書かせてもらった、半二次創作。キャラのセリフのブレだけは直してもらいましたが、創作キャラ同士のクロスオーバーをボイスドラマでやらせてもらうという、面白い遊びに発展しました。

ドラマの方はこちらから。編集演出はアイのカタチ編、WINGS編、どちらも私が手掛けております。アイのカタチではひなたさんのお友だちシンガーさんから生ライブ音源もいただいて、ひっそりとBGMに流してます。

アイのカタチのPVで自作したエフェクト、自分でも気に入ってて、WINGSでも使おうと思い、ラストにオマケを付けさせてもらったよき思い出(笑)依頼してもらっておきながら、自作をバンバン前に出させてもらってホント恐縮ものですw


黒髪ドS攻受アンソロジー PV動画

自分が読みたくて主催したドSアンソロ。ただのドSではないです。
黒髪でドS。というかクソ生意気で偉そうな男。攻めてくれるのも勿論好きだが、こいつの鼻っ柱をへし折るのも好きだ、自ら腰を振って攻を食い殺すようなビッチドSも好きだ、などという特殊性癖に賛同してくれたみんなと半年以上かけて作った作品。
その執筆参加者から、声を当ててもいい許しを得た作品のみをpickupし、全部おまかせモードで作らせていただいた動画です。CV決めとセリフの抜き出し、全部勝手にしました。許してくださった作家さんたちにひたすら感謝。この動画をきっかけにして、アンソロを買いにきてくださった方もいて、宣伝動画としては有効だったと確信をもつことができました。

今でも当チャンネルの中で初動の動画回転が一番早かった人気作品です。R18設定でレーティングあげてるから検索結果に出ないのに……すごくないかな?やっぱCVさんの力と、参加された方の宣伝拡散力のありがたさ、そしてコンテンツとして完成されたこのアンソロのすごさが物語ったのだと思います。アンソロ作るの楽しかったなあ。


狼騎士と初恋王子/柚杏著

3月、フジョッシーに獣人オメガバースをお題にしたコンテストが出てきて、タイムラインに獣人BLブーム到来。獣人描いてみたいという絵師が続々と挙手し、難しいお題に尻込みしていた作家さんも、誰かに表紙描いてもらってコンテストへの挑戦意欲を駆り立てるという、今までにない盛り上がり方を見せた回でした。文字数制限が今までよりも多く、より商業レーベルの公募賞っぽさが出てきた感もありましたね。そんな中、柚杏さんにお声掛けいただき、私も絵師としてブームの波に乗せていただきました。

キャラ設定と冒頭だけが出来上がっている状態で、絵を考えながらストーリーも練ってもらうという共同制作っぽい進め方がすごく新鮮でした。(それまで、執筆終わってるものや長期連載している作品の表紙ばかりだったので)もっふもふの狼騎士様に甲冑を着せるのか、もふもふメインの裸体かで悩みましたが、描きたかったのは「尻尾の付け根」だったので(性癖です)ゴリ推ししたところ、柚杏さんに「裸でいいよ!」と快諾いただきました(笑)。
おかげでタイトルがないと騎士様とはわからないような絵に。でもちょっと「美女と野獣」や「赤ずきん」をイメージした、童話風のイラストにすることで、いつもより甘々ハッピーなお話に挑戦、というこの作品が、著者作品一覧で並んだ時に、他よりも「安心して読めるハッピーエンド感」を出せているのでは?と勝手に思ってます。

思えばここまでの3作品が、BL小説の表紙絵師として作家さんたちに認識していただけたきっかけになった気がします。ランキングに左右されるココナラやSKIMAを介さず、個人サイトからお声掛けをいただけるようになったのは、この三作品からでした。


4月は自作「片翼天使の序奏曲」とちびキャラ月間

イラストも使いまわしで、描く暇もなく……

この作品を連載している間に、ちびキャラのご依頼を沢山もらっていたので、ちびキャラたちをひたすらに量産しておりました。中には、地元の国立大学院からの依頼もあり、嬉しくて飛び上がりましたね。でも法人さんとココナラでやりとりするのは現状ホントに難しくて(身分を明かして取引をしようとされる方とか、支払いは別の部署がするので請求書と領収書クレとか掛払い希望とかね)……4月は何かとお取引に苦労しました。違反にならないようなメール文言作りとか(笑)

終わった後で法人取引OKのシステムが導入されたので、きっと同じように苦労された方が多かったんでしょうね。


そしてこの頃にお声掛けいただき、連載終了後に描かせていただいたのが

MMOの世界に集団転生したら、俺だけ2つのゲームのスキルが使えた。/猫宮乾著

こちらの作品。失礼ながら異世界転生物をあまり読まなかった私、最初は世界観設定が難しいな、としばし頭を悩ませましたが、読み進めるにつれ、友情と恋愛感情の間で揺れ動く主人公が、イケメンたちに愛されてるハーレムラノベBLだと気づき「あああああああ美味しい!」……気づけば推しに若干愛が偏ってる感が……(笑)
絵を見せたら数人には「お前の好きなキャラはこの子だな?」と一発で当てられるくらいには、普段の自分がそのまま出てしまったようです。獣人オメガバースの過食状態だったので、エッチシーンのあまりない純愛っぷりが実に初々しい小説に久しぶりに出会って、つい興奮していた模様。(˘ω˘)

そして主人公の懐の広さと優しさを表す絵にしたかったです。普通の冒険ものだと、力強いインパクトある主人公の動的デザインがメジャーじゃないですか。でも彼はそういう子じゃない。普通なら、後ろでパーティーのみんなを支えるような子が主人公なんです。チートな回復スキルを持ってギルメン最強になる、でも元は廃ゲーマーだった地味メン。ギルメン以外の敵対する男にも慈愛の手を差し伸べる。そこが伝わるといいなと思いながら描きました。冒険ものらしい表紙に初挑戦させていただき、楽しかったです。
でも杖のデザインセンスがなさすぎた……リベンジできるなら、杖をどうにかしたいです(˘ω˘)このお話、先日BL×kindleオンリー即売会に出していただき、目玉として無料セールにもしてくださったのですが、即1位になっててすごかったです!BLが好きじゃない、という人にも読んでもらいたい。


光の差す場所へ。/藍白著

藍白さんとの出会いの作品。病んで憂いたキャラを描いてほしいと言われた時、MMO……の明るさとは真逆の作品がきたなと思い、あらすじをしっかり咀嚼しながら描いた一作です。構図違いをラフで送ったら挿絵に採用してくださり、結局3枚もご依頼いただいて感謝感激。攻めくんは背中しか描いておりませんが、いつか機会があれば攻めくんも描きたいなあ。包容力のある彼はどんな優しい顔をしているのだろう。なんて思いながら、ひたすら主人公のリンくんが「面倒くさい系メンヘラ青年」に映るよう、描写してみました。言い方悪くて申し訳ない(笑)でもこの表情、このやせこけた感じ、薬漬けの日々。金髪+緑メッシュにしたらどこぞの誰かさんだし、黒髪にしたら大人編の誰かさんですねwwwくっそ……描き分け能力がほしい、と真剣に思った頃でございます。

でもこの絵柄をみて指名してくださった藍白さんに感謝です。こういうの、向いてるって思ってくださったんだと勝手に思ってます(笑)


音声動画PV「そんなこんなも恋のうち」/海棠楓著

この頃、楓ちゃんのドラマ動画を手掛けさせていただきました。

音声編集と動画編集、あとは軽く台割りのお手伝いをさせてもらいました。

あやりょシリーズはファンも多く、絵師さんと読み手のガチファンの方の結束力がすごかった。公開と共にキャスで実況中継とかして盛り上がってたのが印象強いです。関西弁いける声優さんはおらんか!と相談受けて、真っ先に浮かんだのがWINGSでお世話になってる乃木くん。関西人同士だけど私を含め、原作者もCVも演出の私も、微妙に土地が違うので訛り方も異なるし、ちょっと苦労したところがありますが、彼を紹介してよかった、と思ってます。そして佐倉氏の絵がまたいいんだこれが……。あやりょシリーズは色んな絵師さんの絵が楽しめるので、固定されないのもまた面白いなと思うんですよ。ちなみに私と同じ、両刀作家さんです。


恋愛経験ゼロな彼氏と溺愛彼氏/綾瀬アキ著

秋庭合わせのお声かけが増えてきたこの頃、お取引時期の都合と後半に差し掛かる仕事の物量がとんでもなかったので、こちらの都合で早めに仕上げさせていただいた表紙です。(有難くもとても早い段階で声掛けしてくださっていたので)原稿はこれから、とのことでしたので、キャラ設定と冒頭のSSを読んで、お話の妄想を膨らませながら、いかにもBL!な感じのノリで描かせていただきました。

表紙を依頼するのは初めてだと仰っていて、綾瀬さんの初めてを奪ってしまった高揚感と緊張感でドキドキ。※こちらはイラストのみの納品です。
主人公くんの諸設定が自分とそう年の変わらない世代なのに見た目可愛いのがいいと聞いて、うんうん悩んだ結果、ちょっと某アイススケートアニメの主人公っぽくなった感は否めません(笑)裏告白ですw年下攻めで年下の方が大人っぽいのって女性向けの王道だと思うんですよね。
注目してほしいのは、さらっとめくられた主人公くんのお尻です♡


アディクション・ルージュ/結月みゆ著

この作品だけ、他のものと全然違う立ち位置からスタートしたので、表紙云々ではなく作品との関わりエピソードを少しばかり。

最初からボイスドラマ化前提で音声編集という立場でお話を進めていたこちら、イラストも描いてほしいと雑談のように語っていたので、最初は「もっと人気があって青年絵に長けた絵師に頼んだ方がいい」と断ってしまいました。それぐらい、自分の中ではこちらの作品は「BLCDとして商業に匹敵するようなものをプロデュースしたい」という気持ちの方が先立っていたし、イラストのイメ―ジも日高ショーコ先生みたいな感じで想像していたので、「いや、私の絵では売れないかもしれない」という恐怖の方が強くて。

鳥人αの時もそんな感覚だったんですが、特に絵の理想が高いもの、ファンが既に沢山ついている作品は、人気があるのは嬉しいけれど、それを自分が表現するのか……と思うと、まだまだ私には「自信」と「画力」が圧倒的に足りません。アディクションはドラマを理想通りに作る謎の自信があったくせに、絵に関してはホントにもう……泣きたいぐらい理想に近づけなくて難しかったです。普段買わないような商業BL雑誌を買いまくって色々と流行りを研究し、他の作品より塗りに手間をかけたり、キャラの顔立ちを必死に商業の流行り絵柄に寄せたりと、自分の中ですごい格闘した苦労の一作だったりします。

音声ドラマに関しては、WINGSでやりたくて普段から作っている切ない系の演出をこの作品の至る所に詰め込んで、「私はこういうのが作りたいんだ!」という本音を全力で注ぎ込みました。

万人が受け入れやすい「攻めと受けが恋愛している王道ドラマ」を楽しむ人に「さくら怜音ってこんなの作るんだ?」ということを知ってもらいたい。そんな裏目的も持って、この作品をとこちらから提案させてもらい、原作をお借りして二人で作り上げたドラマでもあります。だからこそ、アディクション・ルージュという作品の中には、私の手癖がめいっぱい詰まってます。それを「いいね」と受け入れてくれた作者さんに感謝。好きな部分を性癖の赴くままに具現化したドラマは大いに楽しんでいただきたい。もう残部僅かだそうです。
イラストは……もうちょっと修行してきます。(´・ω・`)


絡め取るのは、甘い糸/猫宮乾著

ちょうど同時期に、猫宮さんの二作目の表紙もご依頼いただいて描いてました。お盆の時節にぴったりな少しホラーなお話を、ということで、読ませていただいた感想をそのまま表紙に閉じ込める、というような感じで……猫宮さんもいつも自由に描かせてくださる作家さんなので、私みたいな「読めるものは読んで、楽しんで、それから感じたものを表紙に詰め込みたい」というタイプの絵師にはとても助かります。執筆されるスピードも早いので、お急ぎ便でイラストを描いている間に「イラストみて書き下ろしSSできました」と言われ、ひょえええ!と驚いたことも懐かしい思い出(笑)

ネタバレしちゃうのであまり多くは語れませんが、このお話は最初謎が多いので、あとで紐解かれていく謎を全部表紙絵の至るところに詰め込んでます。絵を見ながら読んでいただけると、より面白いかもしれません!
あと、ネタでわざと黒髪の先を黄色グラデーションで染め上げたのですが、気に入っていただけて、その設定を小説に盛り込んでいただけました。これも嬉しかったなあ。作品を盛り上げるお手伝いができた気がします。

個人的にはすごく好きな、監禁調教溺愛ものです。コワクナイよ!むしろ糖度高め。

こんな感じでお仕事をありがたくもいただきながら、7月~9月は文学フリマと秋庭準備に追われて忙殺の日々を過ごしてました。
長くなるので、後半戦のことはまた別の記事に。


2019仕事絵1

2019仕事絵2

2019仕事絵3







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