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グローバルな広告キャンペーンに次々と起用されるBTSのセレブリティー力

今やBTSは、世界的なセレブリティーになりました。広告の世界でもひっぱりだこです。韓国やアジアだけでなく、その人気は世界中に広がっています。しかも、その起用の仕方は、日本のアイドルコマーシャルとは一線を画していて、コマーシャルとしてのクオリティもグローバルレベルです。

Kポップや、韓国映画がグローバルに受け入れられているのと同様に、BTSが登場するテレビコマーシャルは国際的にも通じる品質のものが多く、実にスタイリッシュに作られています。非常にカッコいい。アイデアも、撮影も、編集も、音楽も、タイポグラフィーもとても素晴らしいです。

私は、広告業界にいて、セレブリティーを起用した広告キャンペーンを中国や、インドで行ったことがあります。台湾のアーティストのワンリーホン(王力宏)や、インドのボリウッド女優のプリヤンカ・チョープラを起用して、撮影にも何度か立ち会ったことがありました。セレブリティを起用する場合、時間の制約があったり、様々な制約があって大変なのですが、BTSが登場するコマーシャルは、非常によくできていると思います。

コマーシャルは、特に日本はそうなんですが、露出回数をできるだけ多くするために、長さは15秒という短かさのものが大半です。その中にこれでもかというくらい、いろんな情報を詰め込みます。タレントは、広告メッセージを伝えるための素材として、消費されている感じです。

それがBTSが出演しているコマーシャルを見ると、まず長さが違います。長いものが多いです。短かすぎると、ストーリーも、タレントの魅力も、音楽のよさも伝えきれません。ここに紹介する作品は、どれもタレントの魅力が十分伝わってきて、まさにタレントとブランドがコラボした作品として成立していると思います。タレントがアーティストとして大切にされているという雰囲気すらありますね。

余計な前置きはこれくらいにして、実際の作品をご紹介していきましょう。BTSは以前からいろんなコマーシャルに登場しているのですが、ここでは昨年から今年にかけての最近のものに絞ってご紹介していきたいと思います。

マクドナルドのBTSミール

世界49カ国で売り出されるコラボ商品ですが、このセットに含まれるのは、BTSが普段よく頼むメニューと言われている10個入のチキンナゲット、Mサイズのポテト、Mサイズのコーラ。さらに、韓国のマクドナルドで人気のソースから着想を得て作られた、スイートチリ味とケイジャン味のピリ辛ナゲットソース。世界共通メニューで、2021年の5月末から6月の展開ですが、日本はこのリストから除外されています。ちなみに私の住んでいるシンガポールは、当初5月27日の予定でしたが、6月21日に延期されました。シンガポールは5月16日から感染防止のために、飲食店の店内飲食を禁止しているのですが、解禁になるのが6月21日なんですね。店内飲食解禁日と、BTS ミール発売日が同じだと、シンガポールは大騒ぎになってしまわないか心配です。お隣のインドネシアでは大変な騒ぎだったと聞いています。
で、こちらがそのコマーシャル。

こちらはフィリピンバージョンなので、最後のスローガンが“Love Ko ‘To”となっています、これはフィリピンのタガログ語で、“I’m Lovin’ It”と同じ意味です。


Galaxy S21 Ultra 5G


サムスンのスマホは、世界で圧倒的な人気を誇っていて、2021年の第一四半期の出荷台数では、サムスンが全世界で7650万台で、22%のシェアを誇り世界ナンバー1。BTSはサムスンのスマートフォンのコマーシャルに何度も登場していますが、こちらは、Galaxy S21 Ultra 5Gという商品。モノクロ画面が実にスタイリッシュでカッコいい。1分30秒の長編ですが、前半部分は、ワンカットの映像みたいなのもいいし、ナレーションでいちいち説明していないのも潔い。それでいながら商品の特長はきちっと伝わってきます。

ギャラクシーのコマーシャルは他にもいくつかありますが、3本ほどご紹介します。メンバーを商品事に割り当てて、それぞれ別々のストーリーで展開していますが、どれもかなり質の高い映像です。商品も非常に質の高い商品のように見えますね。


Galaxy x BTS: La Parfumerie

Galaxy x BTS: A Piece of Cake

Galaxy x BTS: The Strange Tailor Shop


Hyundai x BTS | For tomorrow, we won't wait

こちらはヒュンダイ(現代自動車)のブランドコマーシャル。今年のアースデーに合わせて、地球環境保護をアピールするコマーシャルになっています。「もう待てない」“We won’t wait”という言葉で、一刻も早く環境への対応をしなければならないと言っているのですが、こういう真面目な、社会的なテーマを語ってもスタイリッシュだというのは素晴らしいですね。

Coca-Cola – Turn Up Your Rhythm


コカコーラのグローバルキャンペーンですが、BTS本人は登場していません。ここで使われている曲は、X Ambassadorsが2014年にヒットさせた“Jungle”という曲を、BTSがカバーしたものです。“Turn Up Your Rhythm”(あなたのリズムの音量をあげて)というタイトルですが、コカコーラの製造現場からリズムが組み込まれているので、飲んだら、身体が踊り出すというわけですね。2021年の1月、インドネシアを皮切りに、世界各国で放映されているグローバルキャンペーンです。

LOTTE DUTY FREE “You're so Beautiful”

韓国のロッテ免税店のコマーシャルです。もうこれはミュージックビデオですね。ロッテとか免税店とか文字で出てきてもなんかとってもオシャレですね。

Lotte Duty Free - Free


こちらもロッテのデューティーフリーのコマーシャルですが、いろいろな問題から解放される(フリーになる)1日の良さをメンバーそれぞれがコメントします。「複雑な日常」、「ブルーマンデー症候群」、「カロリーチェック」、「就活ストレス」、「お説教」、「将来の不安」、「SNSいいね」、それらすべてからフリーに。旅行中のあなたはフリーでありますように、ということで「デューティーフリー」に落とし込んでいます。

FILA


FILAとのアンバサダー契約は2019年に行われましたが、ブランドの広告塔として韓国のみならず、アメリカ大陸およびヨーロッパ、アジアでの活動においてブランドのウェアを着用するほか、キャンペーン広告に出演し、世界のファンに向けてフィラの新作を披露するなどして、ブランドが掲げる「One World, One FILA.」のメッセージを伝えていくということです。

Louis Vitton

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「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」もBTSをアンバサダーにすることを公式インスタグラムで2021年4月23日に発表しました。「世界で最もシーンを超えて名声と影響力を持つグループの一つ」、「ポジティブな影響を与えるメッセージで知られている」、ラグジュアリーと現代のカルチャーを融合し、ブランドに新たな一章を加えてくれるであろう」とルイ・ヴィトン側は語っています。

これまで、グローバルに起用されるタレントは、ハリウッドスターとか、欧米のスポーツ選手くらいだったのですが、韓国からこのようなグローバル・セレブリティーが登場したというのは画期的です。欧米人のタレントは知名度はあるものの、アジア各国のローカル市場では、人種的な親近感があまりないので、広告訴求力はローカルタレントに比べて劣っているという問題がありました。

しかしBTSは韓国というローカリティーを越えて、ニュートラルで無国籍なアイコンになっています。それでいながらアジアという背景を持っているので、ローカル志向のアジア人のDNAにもアピールするわけです。こういう逸材は、これまでの歴史の中でほとんどなかったんではないでしょうか?


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