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マンタ スクランブル。

今日、見れますかね。マンタ。
「見れると思うよ。9割は見れるから。ここ。」
期待っすね。

強い日差し。潮風。白い波しぶき。
エアタンクを固定したデッキが揺れる。
ポイントへ向かう船の上で、男性インストラクターが答えてくれた。

40歳くらいかな。
日焼けした肌に茶色い髪。サングラスが似合ってる。
沖縄の人じゃない。
埼玉、千葉、東京、神奈川。そのあたりの出身だろう。
イントネーションが、そんな感じだ。

好きなことを仕事にしたくて、好きな場所に来た。
街の暮らしと稼げる仕事を捨てて。
そんな横顔が、海を見つめている。

船が減速して、エンジン音が消えた。
船に当たる波の音だけ。
静かだな。

BCジャケットを着て、タンクを背負う。
船のへりに腰かけてフィンを履く。
レギュレーターを咥えて、インストラクターの合図を待つ。

アイコンタクト。頷いてくれた。
マスクの上側を押さえてタンクの重さに任せると、後ろ向きに海へ落ちる。
バックエントリー。

視界が一瞬、真っ青になって、石垣の海の透明度を感じる。
身体が回転して、海底が見えてくる。
真下を黒い物が飛んでる。
マンタだ!

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