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その場が「しのげる」循環作動薬の知識

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臨床で必要な知識は、その場をしのげる知識

 研修医がなかなか調整を任されたり、自分の判断で開始したりすることがめったにないのが循環作動薬ではないでしょうか。これらの薬剤が必要な患者さんというのは、(補液のときも述べましたが)重症なことが多いからです。

 だからこそ、いつか自分が使わなければならないときのために学びたい。そう思って熱心に勉強している人もいると思います。しかし、教科書に出てくるのはカテコラミンの分類、α刺激、β刺激、、、などなど。β1, 2まであって、「β1刺激は血管拡張で、、、α刺激は血管収縮、、、えーと、どっちだっけ?」みたいに混乱してしまいませんか?

 これらの知識はとっても大事です。が、もっと大事なことは、「細かいことはおいといて、まず目の前の(治療が必要な)患者さんにどの薬をどうやって使ったら良いか?」です。言葉は悪いかも知れませんが、臨床で一番必要な知識は、「とりあえずその場をしのぐにはどうしたらいいか?」が分かっていることです。これは、自信にも繋がります。

循環作動薬は、まずこの4つをおさえる!(グループ分け)

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 この4つをまずおさえましょう。左2つが、「強心薬」です。右2つが「昇圧薬」です。

 左2つ(強心薬)は使い方が難しいのですが、「循環動態が不安定で尿量が出ていない」ような患者さんに使うとイメージしておいてください。これについては、これまでの「循環の生理学」を復習してくださいね!(リンクは一番下にあります!)

 右2つ(昇圧薬)はシンプルに考えましょう。「血管収縮作用」があり、確実に血圧が上がる薬、と思って概ね間違いありません。そして、この2つで悩んだ場合は、できるだけノルアドレナリンを優先して使いましょう。
 現場ではたらいている人は分かるかも知れませんが、ドパミン(イノバン)のほうが、準備するのが楽です。ノルアドレナリンは、急場で準備するのが面倒という最大のデメリットがあります(吸って、希釈する、という面倒さがあります)。しかし、人手があって、準備してくれる人がいるならノルアドレナリンの方がショックにおいて有効であったというエビデンスがあります。

研修医が現場をしのぐのに大切な知識

 血圧が下がってただならぬ雰囲気の患者さんが目の前にいる。上級医をよんで、上級医が来てくれるまでになんとかしたい。火事場で消防車を呼んだけど、消防車が来るまでただぼーっと突っ立ってるだけは嫌だ。自分が出来ることは?そう、昇圧薬の準備です。

 イノバンしかない、あるいは人手が足りないなら、イノバンシリンジでも良いです。ノルアドレナリンが準備できるならノルアドレナリンを。「実は必要なかった」なんて場合はもあるかもしれませんが、そんなときはすぐやめれば良いだけです。

 追加ですが、血圧が下がっているときにもう一つ出来ることは?

点滴を全開で

でしたね。生食かリンゲル液か、手に入る何かしらの晶質液を全開で投与しましょう。初動はそれでいいのです。



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