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ココ・ファーム・ワイナリー (2019.03.09)

念願のワイナリーを訪問した。

ここでも紹介した「のぼっこ」や「甲州F.O.S」等、これまで幾つかの銘柄を飲み、是非訪問したいと思っていたが、12月~8月の第2土曜日のみ開催される「ワイングロワーズセミナー」に参加することが出来た。

まだカフェが開く前の10時30分にも関わらず、ワインショップには10名程度客が集まっていた。彼らも参加者だとばかり思っていたが、結局は私だけで、製造部のSさんからマンツーマンの個人レッスンを受けることができた!

前日の夕方申し込みの電話をした際、暫く待ってからOKの返事を貰えた。私はてっきり人数が一杯で無理なのかと思っていたが、実は「1人申し込みが入ったけど、どうする?」的な調整が行われていたのかも知れない。

1人でも開催してくれたことに、本当に感謝している。この間のクライストチャーチのときもそうだが、参加者が自分1人で、こっちが日程を変えたり、断念したこともあったからだ。ありがとう、ココ・ファーム!

セミナーは、初めにこころみ学園も含めたワイナリーの歴史を説明して貰い、最大傾斜38度の急斜面の畑に移動して栽培の話を聞き、醸造施設を見学した後に、最後にテイスティングという流れだった。栽培や醸造の話で特に印象に残ったのは以下の4点だ。

● 昼夜の寒暖差が少なく多湿なエリアに適した葡萄を植樹
 ☛元々カベルネやメルロー、甲州等を植えていたが、色付きが悪かったり、十分な酸が得られないことが判り、リースリング・リオンやノートンなどの品種に植え替えた。
葡萄棚はカーテン方式
 ☛X字型剪定は、仕立てが難しく、こころみ学園の園生が作業するのにも適さない。スマート・マイヨルガー方式を試した時期もあったが、栄養成長から生殖成長にうまく切り替わるカーテン方式に落ち着いた。
● 下草の処理に山羊を利用
 ☛これはNZのワイナリーで得た知識とのこと。NZでは除葉に羊を使っているが、Sさんもご存知だった。因みに、現在山羊は1匹だが、昔はパートナーと2匹で作業をしていたとのこと。(寂しいだろうな...)
グラヴィティー・フローの採用
 ☛偶然とのことだが、Grape Receival Area とプレス機のエリアの段差を利用し、マスト・パンプしていない。(日本語にするの難しい...)

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ワインショップに戻り、カウンターでお楽しみのテイスティングがスタート。とその前に、マダムと思しき女性から原木栽培椎茸をプレゼントされた、ありがたし。ちなみに、この椎茸を栽培する際に使用するマシンを用いて、「ロバの足音」という名のヴィンセント(デザートワイン)用の葡萄を乾燥させているとのこと。全ては繋がっているということか。

自分1人だけだったせいか、10Rワイナリーに行った話やこれまで飲んだワインの話を持ち出したせいか分からないが、恐らくだが通常よりも多い、10種類以上のワインを試飲させてくれた。

「第一楽章 2016」、「第二楽章 2017」は共に素晴らしかった。マスカットベーリーAは、これまでの経験から風味が甘ったるいという先入観があったが、第一楽章からはそれが全く感じられない。ブラインドで品種を当てられるは自信はない。バランスが取れた、優しくも存在感のある最高のマスカットベーリーAだった。第二楽章は綺麗な酸と旨味を感じられるワインで、どことなく金井ワインのマスカットベーリーAに似ていた。その話をしたところ、個人的に大ファンというSさんは喜んでくれた。

その他、はっきりとムスクの香りがする「山のタナ 2016」や、「風のルージュ 2017」と「ツヴァイゲルト 2016」のツヴァイゲルト飲み比べも面白かったが、自分が一番感銘を受けたのは「月を待つ 2017」だ。

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このワインはケルナーというドイツ原産の白葡萄から作られている。これまでケルナーを語れる程飲んだことはなかったが、このワインが素晴らしいことだけは分かった。ボディに厚みがあり、何より瑞々しい豊かな香りが向こうから語りかけてくる、そんな感じのワインだ。これは良い発見をした。

約2時間のセミナーを満喫した後は、併設するカフェでランチをご馳走になり帰路に着いた。都会から行くには少し遠いが、寒さも和らいだこれからの季節、遠足気分で小旅行するにはもってこいの場所だ。また機会があれば、今度は家族と訪れたい。


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