見出し画像

やまぶどうワイン (2019.02.13)

やまぶどうの世界は奥深い。

そもそもワイン用のぶどうとは種が異なる。ワイン用ぶどうが主にVitis vinifera種であるのに対し、やまぶどうはVitis coignetiae種である。ちなみに、日本に自生するぶどうは他にもリュウキュウガネブ(Vitis ficifolia var. ganebu)やサンカクヅル(Vitis flexuosa)などがある。

詳しいことは知らないのだが、日本に自生する葡萄という点で私は昔から高い関心を持っていた。ご存知の通り日本は高温多湿で梅雨や台風があり、ワイン用ぶどうの栽培には適していない。やまぶどうにも、ワイン用ぶどう同様ハイブリッド(改良品種)も存在するわけだが、「日本という厳しい環境で生き残ってきた君は何者!?」と思っている。

やまぶどうとワインぶどうの違いは多々あるが、一番の違いは酸味だ。やまぶどうは兎に角すっぱい。ワインになった後も顕著なままだ。多くの人が初めてやまぶどうワインを飲むと、きっと面食らうことだろう。

私はこれまで、白山ワイナリーの「白山やまぶどうワイン樽」や、マオイ自由の丘ワイナリー(旧マオイワイナリー)の「岩松」も飲んだことがあるが、正直なところ少々残念な気持ちになった。(岩松、高かったのになぁ…)

そういう訳で、ココ・ファームワイナリーの「のぼっこ 2016」を飲むことにしたのだが、期待と不安が半々だった。澤登晴雄氏が開発した「小公子」という品種が最近とみに注目を集めていることは知っていたが、果たしてそれが品質に裏付けされたものなのか、メイド・イン・ジャパンを応援したいがためのものなのか、分からなかった。そこで、今回自分の舌で確かめるべく購入したのだ。

結論を述べると、素晴らしいの一言だ。2,500円という値段だが、十分に元が取れるだろう。直ぐに売り切れてしまうのも納得だ。

生産者が「のぼっこ開栓時のご注意」という動画を上げているが、兎に角活きが良い!自分は開栓した瞬間2つのグラスに注ぐことで吹きこぼれを回避しようとしたが、敢え無く失敗し、相当量のワインを失った。素直に指示された通り、ボウルの中で開栓しておけば良かった。

ワインは小豆色で濁っているが、製法によるもので品質に全く問題はない。やまぶどう特有の香りや酸味は抑えられ、代わりにラズベリーやストロベリーの心地良い香りにあふれている。ライトボディだが単に軽いワインではく、旨味も十分に含んでおり、自分は和食と合わせたが十二分に愉しめた。泡も心地良く、口の中をリフレッシュしてくれる。

実は今回、値段が控え目なこともありもう1本購入したのだ。生産者は2017年内に飲むことをすすめているが、自分は2020年くらいまで寝かせておこうと思う。きっと何か新たな可能性を見せてくれるはずだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?