受け継がれていく場所 きっとあたたかな人々が集うよ
テイスティングカウンターに
クローズ間際のご来店
30代半ばの男の子 「男性」というより
あえて「男の子」と
今は ビストロで修行中で
来年は地元に帰って
好きなナチュラルワインを楽しんでもらうお店を
始めようと思っているんです
まあまあ よくある話ではある
どんなスタイルのお店にするの?
料理のジャンルは決めずに
気軽に立寄ってもらえる感じにしたいんです
カジュアルなスタイルです
実はもう場所は決めていて
へぇ そうなの
おばあちゃんがやっていた「商店」があって そこで
それはいいね 素敵な感じ
立地や店構えや内装や広さ
考慮しなくてはならないことも
いろいろとあるだろうけれど
何が素敵って
おばあちゃんのお店を
孫が受け継いでいくという
あたたかな ぬくもりを感じる
循環
大切に過ごしてきた 人生の詰まっている
その場所を 可愛い孫が受け継いでくれる
商売の種類が変わったとしても
彼の好きなことを生業にして
その場所を 生かしてくれる
こんなに嬉しいことはないのではないかしら
と 心の中で勝手に盛り上がっていた
最初に彼のことを「男の子」と表現したのは
彼の中のおばあちゃんを想う
この優しい心を垣間見たから
おばあちゃんが商いをしていたころ
通ってきていたお客さん
取引先の人たち
もちろん ご家族も
その場所が この先も「在る」ことを
きっと すごく喜んでくれるだろうな
そして
彼のお店がオープンしたら
足繁く通ってくれるだろうし
あの日あの時の思い出を語りに
新たなお客さんにも 当時のエピソードを
聞かれもしないのにしやべるだろう
そんなあたたかな循環を
一気に想像してしまった 勝手に
きっと 彼は応援されている
と 感じる
おばあちゃんは すごく喜ぶだろうし
すごく応援してくれるよ
楽しみだね と伝えた
そうですかね と照れ臭そうに
いつかご招待できるように がんばります!
ありがとう 楽しみに待ってるよ
と 心の中で返事をした
気になるワインを一通り
テイスティングして
今日はこれをいただいていきます
彼が選んだのは
「夕陽 新潟カベルネ・メルロー2019」
優しいベリーの香りに やわらかな口当たり
あたたかな余韻が心地よい
仕事が終わって お家に着いて
疲れをほっと緩めてくれる 軽やかな赤ワイン
素敵なエチケットを眺めながら
心穏やかに ゆったりとたのしめる
エチケットの原画は
なんと 貼り絵なんです!
日本海の夕陽 佐渡の島影も✨