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飲み残しのワインを長持ちさせてくれる便利グッズ


本稿はワインを飲み残してしまったときに活躍する「ワインセイバー」のレビューです。
全文無料公開ですが「投げ銭」制も採用しています。


まとめ

・バキュバン VACUVIN: 手動ポンプでシュコシュコして真空に近づけるタイプ
・アンチオックス ANTI OX: カーボンフィルタが酸素をモゴモゴする(後述)タイプ
・コラヴァン CORAVIN:ボトルのスペースをアルゴンガスで埋めて酸素を追い出すタイプ

・ワイン長持ち度:コラヴァン>アンチオックス=バキュバン???
・簡単さ:アンチオックス>バキュバン>コラヴァン
・庶民でも買える度:バキュバン>アンチオックス  >  コラヴァン
・番外編:ガラス小瓶にひたひた詰め替え作戦

結論:

ワインビギナーの方にはバキュバンかアンチオックスの2択をおススメ。


こんばんは、じんわりです。

 ワインを買っていざ開けてみたものの、1本飲みきれずにコルクを指して次の日まで保存という経験は誰にでもあるかと思います。抜栓後2日目以降に飲んでみたらワインが初日より美味しくなくなっていたということもまたよくある話ではないでしょうか。これはワインという飲み物が非常に酸素に弱いために起こる現象ですね。


 お酒に強くない方、飲み過ぎによる酒乱、二日酔いを心配される方や、家飲みで一晩に違う種類のワインをいくつか楽しみたいという方は「ワインを無理に飲みきることによる二日酔い」と「ワインを残すことによる酸化劣化」という二律背反で夜ごと悩ましい思いをされているのではないでしょうか。まあどっちにしても後悔はしますね。

 本稿では飲みかけのワインを翌日に持ち越すという賢者の選択をされた皆さんためのお助けグッズ、「ワインセーバー」の選択肢について私のお勧めを綴ります。

バキュバン VACUVIN

 ワインセーバー/ストッパー(開封後のワインを長持ちさせるための栓)の草分け的存在でしょうか。Google Patentを一瞥する限り大昔に特許がとられていて今は期限切れしているようです。当時は革新的で便利な道具だったんだろうと想像できます。実際私も昔愛用していました。価格はEコマースで¥1,500くらいでしょうか。ストッパーを瓶に挿して手動ポンプでシュコシュコ瓶内の空気を抜いていく操作です、製品名の通り「ワイン瓶をバキューム」ですね。プラスチックとゴムでできていますのでお手入れも簡単です。


アンチオックス AntiOx

 スーパー便利なワインオープナー/ソムリエナイフのメーカーPULLTEX社が放つワインストッパー、「曲者」アンチオックス。何が曲者かというと魅力的な売り文句の反面、なんか胡散臭いのですね・・・(笑)。

 抜栓後の瓶口にシリコンキャップを被せるだけという簡便さや、「スペインソムリエ協会推薦」や「キアンティクラシコ協会が販売」といった魅力的なストーリー、そして面白い製品特性をウリにしています。
 以下、某eコマース業者さんの売り文句を引用します。厳密に言うとメカニズムの説明に科学的な誤りがありますが、期待される結果は同じですし、話をややこしくしないためにもスルーしておきますね。

 「酸化防止カーボンフィルターが内臓されており、ワインの酸化原因となる揮発性成分と酸素の接触を抑制し、ワインの酸化を大幅に遅らせる事により高い保存性能を実現しています」

 とのこと。エビデンスを調べてみたところ、インターネットレベルでは製品特性=想定メカニズムの客観的証拠となるもの=特許、論文等に掲載されるガチな試験データは一切見つけられませんでした。
 活性炭が酸素を吸着するということなのでしょうか。アンチオックスのメカニズムに詳しい方がいらっしゃったらぜひ教えて頂きたく。私はアンチオックスユーザーなので興味津々です。胡散臭いとか言っときながらちゃっかり使ってますね(笑)。PULLTEX社はソムリエナイフで非常に良い印象をもっているので、信用して全力買いしてしまいました。

 せっかくなので使用感を報告しておきますね。のべ使用歴は6~7年です。特に白の場合はコルクぶっ挿しより開封翌日の品質が保たれるような気がします。香りの成分を機械で分析したり同じワインを2本買って複数人数で同時並行のテイスティングをしたりしていないので、「気がします」と言っておきますね。赤の場合も翌日酸化劣化を感じることはほとんどなく、ワインによっては初日より良くなっているように感じます。・・・と信じています。歯切れ悪いですね(笑)客観的なデータがあるともう少し強い語気でお勧めできるんですが。

 お値段は¥2,000強で最長耐用年数5年。中のカーボンカートリッジの機能が何等かの影響で劣化していくんでしょうね。中のカーボンカートリッジ部分は水濡れ不可なので、お手入れはカーボン部分に触れずにシリコンキャップの内側を清潔な濡れ布巾で拭く程度でしょうか。他の2品と比べてコンパクトなので保管もストレスなしです。

 最近では年飲食店やワイナリーでも目にする機会が多くなってきました。キャップにアナログカレンダーがついていて抜栓開封日がわかり、瓶口に被せるだけという使いやすさや作用メカニズムの面白さも相俟って、バイザグラスでワインをサーブ、管理するワイン業界の人たちにとってウケの良い製品なのかもしれません。売れているのでしょう。


コラヴァンCORAVIN

 電動式のガス置換型ワインセイバーですね。「ガス置換」はフレッシュな白ワインなどを製造する際、製造中の果汁やワインが入った(入れる前の)タンク内の酸素をヒトとワインに無害なガスを吹き込んで追い出す技術ですが、それを瓶内でやってしまおうというデバイスですね。結果ワインの酸化劣化が劇的に遅延され、数日にわたって品質の維持されたワインが楽しめるのですね。

 2017年から日本市場向けの窒素ガス仕様=国内合法仕様(当時)が発売され、そしてついに、2019年6月アルゴンの食品添加物指定(=合法化)が完了し、海外で標準だったアルゴンガス仕様品も国内で流通できるようになりました。窒素ガス仕様でも一定の効果は期待できると思われますが、アルゴンは窒素より重い気体のようなので窒素よりも酸素追い出し効果が高いのでしょうか。スクリューキャップ対応用のキャップデバイスも別売りされているようで、コラヴァンに期待と興味と信頼を寄せるワイン愛好家の方や小規模飲食店さんは少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
 以下のコストシミュレーションから、プライベートユーザーさんより飲食店さんなどのある程度の数のワインを捌けるプロに好適な道具ではないかと考えます。飲食店さんでも利益率に響きそうな気もしますが・・。

価格が約¥70,000、アルゴンガスカプセル1本約¥1,500でワイン2~3本分。

 毎週末に1本ワインを開けるワイン好きでも年50本=一本当たりのコラヴァンコストは¥1,900。・・・年50本飲む方でも¥2,000ワインを1本開けるごとにほぼ同じコストが同時に消えていくのですね。

 Google Patentを見ると特許もいくつかあるようですし、コルク低侵襲+不活性ガス充填という安心の酸化抑制メカニズムが一番の魅力ですよね。サーブ都度の抜き挿しですから「おひとりさまおふたりさまが家飲みバイザグラスで一晩3銘柄を」というような「おうちタパス」が実現できます。夢ですね。欲しいですね。私は買えません(涙)いつかは欲しい・・・。

 コスト以外のデメリットを挙げるとすると、機械ものなので苦手な人はストレスですし、お手入れ、メンテ、カプセルの補充購入などが面倒な部分でしょうか。

ワイン長持ち度はどれが一番なのか?

 わかりません。
 すみません、真面目に答えるなら「わからない」です。中立的な立場の人たちが全く同じ条件(同じワイン、同じ部屋、同じ試験者など)で3製品を比較して、それを公表した資料が出てこない限り、どれがいいかわわからないので。圧倒的な大差がつく可能性もあるでしょうし、意味のある差が出ない可能性もあるでしょうし。AntiOxの「主張」は面白いのですが酸化抑制効果とその詳しいメカニズムについての客観的な拠り所が見つけられませんでした、おしいです。

 個人的にはコラヴァンの酸化抑制メカニズムに最も腹落ち感を覚えます。フレッシュなタイプの白ワイン製造現場で使われるのと同じ不活性ガスを吹込む原理であること、コルクを抜かず侵襲も最小限であることから、最も科学的な安心感を持ちます。問題はコストです。ワインビギナーの方はもちろんのことワイン常習者の方にとっても7万円+単価¥1,500のアルゴンカートリッジの購入代金(しかもワインではなく周辺機器への支出)は敷居が高いように感じます。ワインヘビーローテーターかつ裕福な方にとっては選択肢となり得る逸材ではあると思います。


番外編:
 飲み残したワインを小さな空き瓶にヘッドスペースをできるだけ残さない「ひたひた」に近い状態でスクリューキャップする方法もあります。ガスで置換するかワイン自体の容積で酸素を極力追い出すかの違いですね。詰め替えの労を惜しまず、空き瓶と冷蔵スペースさえあれば効果的な方法ですね。特に赤ワインの場合は有効な手段のように思います。


結論:
ワインビギナーの方にはお手頃な価格帯のバキュバンかアンチオックスの2択をお勧めします。

さんて!

じんわり

関連稿:

私がお勧めするソムリエナイフについてです。

私がお勧めするワイングラスについてです。


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