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NuRAD導入記02 behringer NEUTRONを鳴らしてみた

NuRADとbehringer NEUTRONとの組み合わせでいろんな音を出してみたというお話。MIDI + Breath CV。

 NuRAD導入記、01を追記すると書きながら全然追記せずずいぶん間隔があいてからの02となりました。NuRAD、導入当初はトラブル続きでしたが、どうするとトラブルになるかがわかってきて最近は落ち着いて使えてます。既にRoland SE-02で動画上げてたり記事書いてますが、昨年買ったbehringer NEUTRONと組み合わせるとどうかなーということで、いろいろいじってみました。
(2021.09.13初稿、2022.08.28追記)

概要と基本設定

 NEUTRONですが、正面のパネルにMIDI INがついてまして、これでnoteとBend信号は受けられます。あと設定すればMIDIのアフタータッチも認識するんですが、MIDIのアフタータッチでフィルター開閉しようとするとザラザラデジタルノイズが酷くて非音楽的(ちなみにBendでも少しザラザラノイズが出ますがこちらは許容範囲)。ということで、NuRAD側面のBreath CV出力をどんどん利用します。ヘッドホンスプリッターで出力を3つに分けて

1つ目はVCA CV(音量)へ接続。2つ目はNEUTRONのアッテネーター(ATT1)経由でFREQMOD(フィルターカットオフモジュレーション)へ。3つ目はアッテネーター(ATT2)経由でさらにもうひとつのヘッドホンスプリッターへ入れて3つに分岐し、PW2(OSC2のパルス幅)、OSC2(OSC2の音程)、RES(レゾナンス)につないだりつながなかったり、という接続。

NEUTRONの基本設定
・OSCのオクターブは「8」が基本でNuRADの広い操作音域に一番適応できる。
・2つのエンベローブのADSRは基本は全てゼロ。VCFのENV DEPTHも基本はゼロ。VCA BIASもゼロ。(なおVCA BIASを上げると音の出だしにフィルター開閉によるアタック感が出てくるのでお好みで上げて良いが、FREQをゼロにしないと音が鳴り続ける)
・OVERDRIVEはLEVELは最大、DRIVEとTONEはお好み。
・DELAYはとりあえずMIX=0。REPEATS値が大きいままMIXを上げるとハウリングみたいになって実質使えない。
・PORTA TIMEはゼロでよいが、音の切れ目がパツパツに感じる方は10%くらいに調整。
重要点として、LFOはあらかじめパソコンの専用ソフトを使ってLFO DEPTHをゼロにしておく(実質LFOを使わない)。(専用ソフトでなくLFOの"KEY SYNCボタン長押しの後にOSC1のRANGEボタンを押してゼロにすることも可能)

・以上の接続の場合、フィルターとレゾナンスの効き方は、ATT1(フィルター)とATT2(RESに接続している場合)とFREQとRESOとVCF MOD DEPTHのツマミで調節する。

ちなみに前試した、NuRADからピッチCVを出してフルCVで吹くことはできますが設定がとても面倒になる割にメリットが無い、ということで個人的にはMIDI+breath CVが良いかな、と思ってます。

これで別途ディレイやリバーブをかければ普通にウインドシンセできますが、NEUTRONの個性というのでしょうか、例えばRolandのSE-02と比べると、ツマミで音が変わる範囲が広く、極端な設定をすると音が鳴らなくなることもありますし、ツマミをほんの少し少し触っただけで劇的に音が変わることも多々あり、吹きながらつまみグリグリやってるだけでいつまでも楽しめちゃいます。一番美味しいスイートスポットが狭くもあり、いくつもあるとも言えますが、なにしろ音色メモリーが無いので、ちょっとツマミを動かしたらもう再現できない一期一会の音色。とっても楽しいけれど現代のプロの現場では困るだろうなぁとは思います。

というわけで、吹きながらパッチング、音色も含めて一期一会のライブ演奏ということで試しにやってみました。

こんな具合で素直なアナログシンセの音も出るしツマミを回すとすぐに凶暴な音も出るし、とにかく楽しいです。CV使った(セミ)モジュラーシンセの楽しさを手軽に楽しめるウインドシンセだというところはNuRADとNuEVIのメリットですね。

追記・TIPS

[以下すべて2022/8/28追記]
追加で接続の仕方をいろいろ試したので、基本は上記と変わりませんが、メモ。

[1] NuRADのCVから直接 VCA CVに入れると、最大音量までは到達しないので、ATT1を経由しても良い。ATT1の使用をFREAQ MODと兼用しても良い。つまりNuRADのCVからATT1、ATT1出力をヘッドホンスプリッタまたはNULT INに接続しつつMULT1 OUTをFREQ MOD INに、MULT2 OUTをVCA CV INに接続する。ATT1ツマミは最大、カットオフの最大値はMOD DEPTツマミで調節。

[2] ATT1はツマミを最大にすると、入力より出力を大きく増幅できるが、ATT2は増幅はできず、減少のみ。なのでATT1とATT2を直列につないでもATT1以上に増幅はできない。なお、ATT1 IN端子に何も接続されていない場合は内部的にATT2 OUTから ATT1 INへ接続される仕様になっている(ATT2 INの信号はATT2→ATT1を経由してATT1 OUTから出る)

[3] FREQ MOD端子に何も接続されない場合は内部的にLFOからフィルタのMOD DEPTH経由でフィルターのFREQに接続される仕様になっているのでLFOをかけたくない場合はFREQ MOD端子になにかつなぐとこの内部接続はキャンセルされる・・・はずなのだが、わずかに信号の漏れがあるようで、どうしてもわずかにLFOがかかってしまうことがある(時によってかかったりかからなかったりする謎挙動)ので、これを避けるために、専用パソコンソフトでLFO DEPTHをゼロにする。専用ソフトでなくLFOの"KEY SYNCボタン長押しの後にOSC1のRANGEボタンを押してゼロにすることも可能。詳細はマニュアル参照。

[4] VCA CVに何も接続しなくても、MIDI接続によるトリガーだけで演奏はできる(VCAは息でコントロールせず一定音量で、ローパスフィルターのカットオフをでコントロールして音量調節する)。VCA CV端子に何も接続されない場合はENVELOPE 1 のADSRが有効になる(VCA CV端子に何か接続されるとこのADSR設定は無視される)。VCA BIASはゼロにしておき、ENVELOPE 1のSを最大にする。AとRがゼロだとわずかに音の出だしがパツパツするので両方とも10%くらいにあげても良い。また、ローパスフィルターのFREQツマミがゼロであれば、VCA BIASを上げても良い。VCA BIASを上げると、音の出だしのアタック感に、フィルター開閉による「トン」という感じが加わるのでお好みで調節。

[5] 音の出だしにフィルターのADSRを追加したい場合は、例えばENVELOPE 2をA(20%)、D(20%)、S(0%)、R(0%)に設定しつつフィルターのMOD DEPTHを少し下げつつ、ENV DEPTHツマミを少しあげる。

[6] パッチベイ右下端の「ASSIGN」の出力にはベロシティ、アフタータッチ、モジュレーション(CC1)等がアサインできる(専用ソフトまたはハードの操作。詳細はマニュアル参照)ので、例えばNuRADの右手レバーの出力をCC1にして、ASSIGNの接続先を変調できる。アイデア次第ですが一番使いやすいのはレゾナンス(RES)に接続することでしょうか。ほかは結構使いづらい。

[7] Neutronは専用ソフトまたはハードウエア操作で、アフタータッチまたはモジュレーション(CC1)をフィルターカットオフ(FREQ)にアサインできるので、これを使えば息でフィルター開閉はできるのだが、この場合、フィルター開閉ノイズが発生し音が汚くなる。これを避けるためにはCVを使えば良いのだが、どうしてもCVを使いたくない場合は、[6]で書いたASSIGNに息の信号(アフタータッチまたはCC1)を設定し、ASSIGN OUTを、「SLEW」経由でFREQ MOD INに接続する。(ASSIGN OUT→SLEW IN→ SLEW OUT→REQ MOD)SLEWは信号のスムージングをする機能でありこの接続でSLEWツマミをゼロの場合はフィルター開閉ノイズが出るが、5〜10%くらいにするとノイズが消える。ただし息に対するフィルターの反応が遅れるので、あまり値を上げすぎると追従が遅く使えない。僕の場合はどうしても追従が遅いのが気になったので、MIDIのみはあきらめてCVを使っています。

[8] OVERDRIVEセクションはNEUTRONの特徴のひとつと思います。DRIVEを上げるだけでかなり音が太くなります。あげすぎるとキラキラした感じは減ってきますが、DRIVEがゼロのままだともったいない気がしますので使って積極的に使って良いツマミと思います。DRIVEを上げて音量が大きすぎると感じたらLEVELを少し下げると良いでしょう。

[9] パッチベイの[OD IN]に、OUTの [OSC1]、[OSC2]、[OSC MIX]を入れても良い。さらに音がぶっとくなります。また、裏技的に結構オススメなのはOD INにVCF2 OUTをつないで、フィルターモードをバンドパスにすると、バンドパスとローパスのミックスっぽくなって、結構良い感じの音色のフィルターになります。(実はNeutronのフィルターは2系統あって、本体内接続ではVCF1の1系統しか使っていないのだが、パッチベイからはVCF2も出力できる。本体表示(VCF1)がバンドパスの時、VCFはローパスモードになっていて、これをオーバードライブ(OD) INに入れると結果的にバンドパスとローパスのミックスの感じになる)

[10] パッチベイについては、「実は意外なINとOUTが内部で配線されていて、その端子に何も接続していない場合はその内部配線が有効になっている」ことがあって、挙動が変だなと思ってマニュアルを読むと、「なんでそんな接続になってるの?そんなのわかるわけないじゃん」ということがあります。ということでオーナーズマニュアルをよく読みましょう

Neutronマニュアル、専用ソフトウェア、ファームウェアアップデートはhttps://www.behringer.com/product.html?modelCode=P0CM5
の右側のSoftware、またはDocumentationから。

イニシャライズ音色パッチシート

ということで上記の情報をまとめて、ウインドシンセ用のイニシャライズ音色をつくってみました。Neutronは音色のデータとしての保存はできないので昔ながらのパッチシートです。(パッチシート書式はオーナーズマニュアルに付属してるものを使用)

クリックで拡大します。

とりあえずこの通り設定すればOSC1のSAW波でウインドシンセっぽく演奏できます。波形を変えたり、OSC2をMIXしたり、レゾナンスを少し上げたりするだけでも充分いろんな音が楽しめると思います。

感想

ウインドシンセ的に見て私が思う、Neutronの良いところ、イマイチなとこをまとめてみました。
悪い点:
・MIDIだけだとできることがかなり限られる上、MIDI(アフタータッチまたはCC1)によるフィルター開閉はザラザラノイズが乗るので好ましくない、つまり、EWIやAerophoneには向かない。ブレスCV出力のあるNuRAD/NuEVIなら楽しめる。
・音域が6オクターブと、少し狭い。(EWI/ NuRAD的には8オクターブ欲しいが・・)
・音色をメモリに保存できないので再現がめんどくさい
・初期状態で内部で意外な接続をされているパッチがありマニュアルをしっかり読まないと不明。マニュアルを読まないとわからない事項が多い。

良い点:
・音は太くて良い。特にDRIVEをかけた時の感じはとても好み
・VCA ADSRを使わないでも発音するような設定ができるので、音の出だしのパツパツノイズが全く出ない設定にすることが可能。
・ツマミをちょっといじるだけでどんどん音が変わって楽しい。
・モジュラーシンセ入門用にも良いと思う。ユーロラックに組み込んで使えるので将来モジュラーにハマってしまってもその一部として利用できる。

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