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モータルコンバットをミリしらで観たらブレーメンの音楽隊だった

『ブレーメンの音楽隊』面白いですよね、今でも大好きなお話です。フィッシャー版(瀬田貞二訳)のこれ…これが好き……。

というわけで2021年の映画【モータルコンバット】を観てきました!

TL上で感想がいっぱい流れてきて気になったのがひとつ、もうひとつはイオンシネマしかない地方でも上映してくれたからです。重要。今や地方民はマイノリティですからね! 東京23区の人口より、東北6県を合わせた人口の方が少ないってご存知ですか? まあ悲しいお話はひとまず忘れて、モータルコンバットのお話をしますね。


※以下ネタバレあるのでご注意※


前知識ほぼゼロで観にいく

驚いたこと。

モータルコンバットが開催され……ない!?

……開催されないまま……終わってしまったのでは?
なんかあの、悪魔(?)側がめちゃくちゃルール違反してきて「大会前に資格のある戦士を全員暗殺しろ!そうすれば俺たちの勝ちだぜ!」理論で襲いかかってきたのを撃退した結果、悪魔側の戦士が全員死んだ⇒「これで魔界の支配は遠ざかった……(超かっこいいエンディングロール)」っていうお話じゃありませんでした? 戦術的な問題で、結果的に1vs1のバトル形式を取りましたが、結局、試合の形式をとってはいませんでしたよね?

すごいびっくりした。いいのでしょうか。『ブレーメンの音楽隊』(※ブレーメンの音楽隊に入れてもらおうと旅をした動物たちが、ブレーメンに辿りつく前に敵を倒して物語が終わる)方式だったような……

 まあカッコいいからいいか!!

そうなんですよね、かっこよかったです。

最後のバトルなんてもはやモータルコンバットというか襲ってきたやつを撃退して妻子を取り戻そうとしたら冥界から知らん奴が蘇ってきて倒してくれたという流れになっており魔族と人類の支配権をめぐる試合はどこへいったんだよ!と冷静に考えてみれば思えなくもないんですが、遥か昔に赤子の泣き声にたどり着けなかった男が、生き延びた赤子から血脈を受け継いだ子孫の目の前で、超かっこよく仇敵を倒して子孫の妻子を守り抜くんだからこれでいいんですよ……他には何もいらないでしょ……パーフェクト……という気持ちにさせるところが魅力的な映画だったなと思うのです。

そうです。かっこいいのです。


戦闘シーンがめちゃくちゃカッコいい

冒頭からすごい昔の日本。

ハサシ・ハンゾウと呼ばれた侍?忍者?は顔が真田広之なのでめちゃくちゃ強いんですけど、氷の戦士がやって来て妻子が殺される。

この「氷の男」が非日常感あふれててすごい。確か名前がサブゼロ。すごい強いのに驕らないで淡々と殺してくる。でも目の奥に激情があるのでターミネーターみたいな会話できない怖さじゃなくて、会話できる奴が意志をもって圧倒的な実力で殺してくる感があって、怖い。

妻子の仇に震え、殺しに来た氷の戦士に立ち向かう、練達のサムライ……彼が縄に括り付けたクナイを縦横無尽に操って敵を翻弄する姿、マジでカッコいいです! 冒頭から釘付け! 殺陣がかっこいいアクション映画は名作!! かっこいい!!

私はニンジャスレイヤーという主にnote で連載されているWEB小説が大好きなんですけど、現行連載シリーズの主人公がフックロープを操って戦うニンジャなんですね。

これまであまりイメージ沸いてなかったところも、すごく解像度が高くなった感じがします! 空中回転して蹴ったりとかする! かっこいい!

あと、お話の途中から「モータルコンバットの戦士は特殊能力(多分格ゲーが元ネタだからなんかそういうやつ)を目覚めさせる」というお話になるわけなんですが、最初の戦闘だけは超強敵サブゼロの氷攻撃に対して、真田広之ハンゾウが(特殊能力なしの)物理攻撃のみで接戦を演じるのでハラハラするし、刺されるたびに口を押さえてあああああああ~~~~~~~!ってなるし、全編見終えた後に振り返って、ハンゾウは強かったんだ……シライ流すごいよ……ってなります。かっこいいです。


魅力的な悪いやつ

時代が飛んでアメリカ育ちの主人公(妻子持ち)に場面が移ります。

娘のミサンガとか、小技が要所要所でうまく効いていて、脚本上手いな~!って思いました。突然魔界が出て来たりするので(お、おう)となりますが、キャラクターの登場や立て方が上手いので(なんかそういうものなんだな!)と思えてしまうのもいいですね。ミニ四駆で世界が征服されるみたいなものだと思えばいいやつです。

で、途中で出てくるカノウという犯罪者野郎が倫理観ゼロだし下品だし性格悪いし、でもめちゃくちゃ強くて突然襲ってきたトカゲモンスター相手にも動じずにガッハッハと高笑いして心臓掴みだしたりするし、(こ、コイツはクソ野郎だぜー!!)って思いながらも見ていて好きになっちゃうのでほんとにズルいんですよねカノウは。

こいつ……クソ野郎だが……悔しいけど魅力的だ……死なせるのには惜しい! と思いつつ僕らの大好きな超かっこいい軍人ソニア姐さんを言葉で侮辱する(なおソニア姐さんは美人でめちゃ強くクソ野郎カノウを体術で地に這わせたりするカッコイイ!)ので(やっぱ死なねえかな……)と思わせてくれるこのキャラクターとしてのバランス感覚がすごくよかったです。


顔が良い男はムキムキ

なんやかやあって主人公たちは修行する寺院に辿りつくのですが、手から炎を飛び出させる顔のいい男がいてあざとい。

髪がフワフワのウェーブでいつもちょっとハの字になった眉がアンニュイだし、フリスビー殺人帽子をかぶった兄弟子っぽい人を「いとこ」と呼び慕っている。

でも脱ぐと体がバキバキに仕上がっており肩にちっちゃい重機載せてるし腹筋が6LDKだから俳優さんがすごい。


観てて悲しくならないのがいい

これは本当に助かったですわね……

魔物側は、モータルコンバットの戦士の資格である「マーク持ち」を殺そうとする。でもってハンゾウの子孫である主人公にもマークが受け継がれている。彼には妻子がいて、奥さんは不屈でタフで美しくて最高の妻だし、娘はけなげで良い子なのです。そして彼らに危機が迫る。

主人公家族を身を挺して逃がしてくれた軍人さん(超いい人)もサブゼロに両腕をあわわわわ……そんな……

とにかく過酷なスタートを切る映画なのですが、観てて悲しい戦いにならないのがすごくイイです! 絵的な残虐描写には遠慮がないので苦手な方は大変かもしれませんが、それはそれとして、心を残虐に突き刺してくる闘いがないのですごく安心して(カッコイイ!)(やっつけろー!)(そこだ!負けるな!諦めるな!立て!!)と応援できます。それがよかった。良いエンタメでした……。

遥か昔、もはや変えられない過去として、冒頭でハンゾウの妻子が死ぬ。それだけがやりきれませんが、仇討ちに蘇った男が超かっこよく戦うし、戦った果てに別の形で妻子概念を守るのでこれまた無念が成仏するんですよね……観客の感情を守ってくれる……。


ミリしらでも面白かったです

と、いうわけで、「格ゲーが元ネタらしい」という知識のみでフラっと観に行った映画でしたが、とてもとても楽しめました!

1995年版も今度観てみたいです。


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