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赤色はアカなのか

私が見ている赤色は、あたなが見ても同じ赤色なのか。
禅問答ではありません。私が小学校1年の時、真剣に考えていた疑問です。

赤いといえばリンゴですが、同じリンゴを見てる状態で、私とあなたの目を入れ替えると、「あ、私の目より鮮やかに見えてる」ってあるんじゃないかと...w

目を入れ替えることができないので、言葉で説明しようとすると・・・できません、無理です。言葉で表現できる限界を超えてます。

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【色ってなんだ?】

電磁波です。
ラジオやテレビ、スマホと周波数は違いますが電磁波です。
目は、100テラHz付近を受信できるアンテナです。

初めてこの事を知ったときは驚きでした。

「見たのと違う」で目のことについて書きましたが、錐体細胞が光(色)のアンテナです。赤錐体、緑錐体、青錐体が 光の三原色に相当する電磁波を捉えます。

もう少し突っ込んで書くと、赤錐体(L)、緑錐体(M)、青錐体(S)の波長は下の図(Wikipediaより)のとおりの特性です。Rは桿体細胞です。
LMS色空間といい、横軸は波長(nm)、縦軸は正規化された吸光度(錐体細胞の応答スペクトル特性)です。
つまり、赤錐体(L)の感度の良い564nm付近の電磁波を目が捉えると「赤」に見えるのです。

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【色は数値で表せる】

色を定量的に表したのがCIE色度図です。
下の図(Wikipediaより)を見たことありますよね?

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CIE色度図なんですが、変な形(馬蹄形や舌の形とか言うらしい)の中にが色づいている意味が分かりませんでした。
y軸の数値が大きくなると緑に、x軸の数値が大きくなると赤になってます。
周囲に青字で書かれている数値は波長です。460nmから620nmに沿ってなぞっていくと虹の色です。そう、色相環です。

x軸は赤錐体(L)、y軸は緑錐体(M)と関係性がありそうです。
では、青錐体(S)はどうなった?

CIE色度図は、x+y+z=1 となっているので、z=1-x-y です。
そう、青錐体(S)(z軸)は暗黙的に決まります。

x=y=zとなる 0.33333・・・が白ですね。

【パソコンの色】

パソコンでは、色を光の三原色(RGB)で表現します。
Excelなどで、色設定するとき、赤、緑、青のそれぞれに 0から255の数値が設定できます。コンピュータ的に表現すると赤緑青それぞれ2の8乗(8bit)段階の表現ができます。
色数にすると、1677万色(24bit:2の24乗)の表現となります。
人間が識別できるのは1000万色ですので、24bitフルカラーって呼称されます。

24bitフルカラーといいながら、実はCIE色度図の全範囲を表現できてません。下図(Wikipediaより)の黒線はsRGBを、白線は印刷で使われるCYMで、この範囲内の色にとどまります。

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パソコンで扱う色空間は、sRGBとAdobeRGBの2種類があり、AdobeRGBのほうが範囲が広く、特にG(緑)が広いです。

一般的なパソコンのディスプレイはsRGB です。
AdobeRGB未対応のディスプレイで、そのままAdobeRGBの写真を表示すると彩度が落ちたようになります。(特に緑色)

デジカメのmenu設定で、色空間の設定がありますが、パソコンなどの機材に合わせておきましょう。

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【客観的な色】

色が数値化できるってことは、定量的に調整できるってことです。

白い紙を見て、白と認識できますが、その場所の光によって青味がかってたり、赤味がかってたりしてます。
それじゃ、どの白が正解?

パソコンに複数のディスプレイを繋げると、ディスプレイどうしの色が違いうことがわかります。
右のディスプレイで見る写真と、左のディスプレイの写真で雰囲気が違います。
どっちが正解?どちらも間違ってるの?
まさしく、時計屋の時計状態w
(すべての時計が少しずつ時間が違っていて、どの時計が合っているかわからない。今の時代は、正確な時刻は直ぐにわかりますけどね。)

これらの問題を解決するのがキャリブレーション。
プロは昔から常識、アマでも最近は常識になってます。

最低限ディスプレイのキャリブレーションは必要ですし、写真をプリントするならプリンターのキャリブレーションも必要です。

私は、昔は目視で合わせてました(本当に合ってるかは別として)が、最近はキャリブレータも安くなったので定期的に使ってます。

ディスプレイの調整限界があるので、まぁまぁ合ってるなってとこまで調整できます。
なにより、本当にこの色で正解なのか? と疑いながら写真を調整することを考えると精神衛生上いいです。
キャリブレータでの調整をお勧めします。


【私が見ている赤色は、あたなが見ても同じ赤色なのか】

長い前置きでしたw
やっと本題に入ります。

目は個人差があります。
目はキャリブレーションができないので、私が見ている赤色は、あたなが見ても同じ赤色ではないってこと。
女性は男性に比べて色の識別能力が高いって言われてます。

さらに、違いが出る事象があります。

老化すると、目の水晶体が黄色がかってきて、程度の差はあれど黄色フィルターを通して見ています。
黄色のフィルターを付けたように見えているはずですが、脳が経験に基づいて補正して見えてます。
黄色フィルターを通して見ていても、誰もが正常に見えていると信じていると思いますw

脳内補正がなければどう見えているか、簡単なシミュレーションをしてみました。

左が元の写真、右が黄色をかぶせてみました。

老いた目

全体に黄色のフィルターをかけてますので、白いチューリップは黄色がかってます。

最も影響を受けるのが、黄色の補色の紫です。
紫は茶色がかって見えます。
だいたい、青あたりから赤紫ぐらいまでの影響が目立ちます。
赤も影響を受けているのが判ります。

脳内のキャリブレーションが経験によって正常に働いていれば問題ないと思いますが、元の色を知らずにLightroomやPhotoshopで写真を補正すると、色味をおかしく調整する可能性があります。

時々、青味が不自然に強い写真を見ることがありますが、黄色フィルターの目の補正ができていないのかもしれません。

また、目の老化は、コントラストがないと見えにくくなるため、LightroomやPhotoshopでコントラストも強めにかける傾向があると思われます。

雑誌の投稿写真で、選者がコントラストや彩度が強いと書かれていることがありますが、もしかして、目と関係があるのかもしれません。


【うんちく度UP:動物はどう見えてる】

動物はどう見えてるのか。

犬:光波長429~435nm(紫青)と555nm(黄緑)周辺しか感受できない。
  緑と黄緑、黄色、オレンジ、赤の区別ができない。
  視力が弱く、近くのものしか見えない。

猫:犬と同じ。弱視。
 視力が弱いため、5~6mより近くならないと見分けられない。
 5m前後まで近づくと逃げるネコがいるが、目による見分けができる距離と一致する。

猿:ニホンザル、チンパンジー、ゴリラなどは人間と同じ。
  猿の種類によって差がある。
  オスの猿は、色盲、色弱が多くみられる。

※犬、猫、鹿など、暗闇でライトを当てると目が光る動物は、タペタム(輝膜)により光を増幅し、弱い光でも見える。
※哺乳類は、2つの錐体細胞を持つものが多く、人ほど色を見分けられない。

魚:魚眼レンズで見たように見える。
  鯉は人と同じ3種類の錐体細胞がある。

鳥:明るいところでは人間を格段に超える。
  可視光に加え、紫外線域まで見える。
  視力も格段に良い。

虫:紫外線域が見えるが、赤外線付近は見えない。
  複眼により識別能力が優れている。
  紫外線を好む。(花は紫外線で見ると、雄しべ、雌しべのあたりがよく見える)

蛇:色を見分けることはできないが、赤外線域(熱)が見える。
  赤外線域を見るため、夜間でも見える。

動物の見え方の映像があったので貼り付けておきます。

【まとめ】

私が見ている色は、あなたが見ている色と同じではありません。
青から赤紫あたりが、特に紫は年齢で異なる可能性があります。

ディスプレイはキャリブレーションしましょう。

最後に自分の目は労りましょう。
目の老化には注意ですね。

番外:ネコは風下からそっと近づいて、5m以上離れた距離から撮影すると逃げられにくい。

<Neoうんちくオジサン>

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