「ズレズレなるままに」石川さんと青木さん

 海の向こうでは景気のいい契約かあったばかりですが、こちらはちょっと事情の違うお話です。

ヤクルトスワローズの石川雅規投手は減額制限いっぱいの2250万円ダウンで6750万円、青木宣親外野手は減額制限を超える59%ダウンで1億4千万円で契約更改したそうです。石川さんは球界最年長の43歳、青木さんも野手最年長の41歳。それだけでも凄いよね。

 さて、その石川さんについては記者を辞めた今でもちょっと思いがあります。
ある年のオフ、神宮の室内で自主トレしていた彼から「ボク、200勝したいんです! できると思います?」って聞かれました。当時、確か150勝を超えたくらいだったと思う。「それは石川ちゃんの頑張り次第で可能だと思うよ…」なんてボヤっとした答えしかできませんでした。どこかに「やっぱり厳しいかな」という本音か心の中にあったからだと記憶してます。
 それが、残り15勝です。今季も2勝、あれからたくさん勝ち星を積み上げられたわけじゃないけど、決して無理とは言えない理由もあります。
石川さん、ものすごい勝ち気な性格はよく知られるところ。例えば、投手がピンチになると野手がマウンドに集まる光景がありますが、以前、「あれ嫌なんですよ、だって投げるのはボクなんだから。任せてくれよって思っちゃうんです」と話してたっけ。身体が小さいし、イマドキの投手みたいな急速もない、むしろ“負けん気”で闘ってきた人なんですよ。だから限界まで抗い、闘ってほしい。彼が引退するとき200勝に届いているかは誰にも分かりません。
 ただあのとき、ちょっとでも「厳しいかな…」なんて思ってしまったことを、悔いている元担当記者なのです。

 青木さんも、少しスランプ気味だったころ黙々とマシン打撃しているのを見ていたら、「どこがおかしいと思います?」と聞かれました。えっ? どこっていわれても…。困り果てて「それ答えられたら俺が打撃コーチやるよ」って。そこでカメラマンに頼んでスイングを連写してもらい、その場でコマ送り見ながら「あ〜そうか」とか自分で納得していくのです。やっぱりプロは凄いなぁと感じたものです。
 メジャー1年目のミルウォーキーではお世話になりました。こちらは単に20年勤続休暇でハーレーダビッドソンミュージアムとか本社を観に行ったのが目的で、せっかくだから取材申請しておいただけなんだけど。
 青木さんには「メジャー担当になったんですか? いや違うな、ハーレー目的でしょ」とあっさり見抜かれました。試合後、ロッカーで取材のフリしていたら「どこに泊まってるんですか? 店も開いてないし」と選手用の食事をパッキングしてくれて、ダウンタウンのホテルまで送ってもらいました。メジャーリーガーに“お弁当”作ってもらったのは、今でもささやかな自慢です🤭

 さて、気になることを少し。「レジェンド」って言葉を安売りしてないですかね?  本人がまだ現役バリバリのつもりなのに「生きるレジェンド」とか、どうかな~と思うわけです。他の選手と争ってるわけだから、せめて引退するまではね。
だからこそ、そんなお2人には徹底的に頑張ってほしいと願う年の瀬です。


 

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