俳句を詠んでみた(夕青葉)
胡麻あたる手を休めたり夕青葉
(ごまあたる|てをやすめたり|ゆうあおば)
偶然通りがかりに覗いたクラフトの催しで 珍しい擂り粉木に出会った
早池峰山の麓でゆっくりゆっくり育った山椒で作られている擂り粉木
樹皮の肌そのままの素朴な造りで 木質は白く滑らかな手触り
ひとめ惚れしてしまった
山椒の木には防腐作用があるので昔から擂り粉木に使われているとのこと
作り手の方が岩手まで旅をして 譲り受けたという山椒の木
余すところなく使い切って 様々なサイズ・形状の擂り粉木が並んでいた
背景にある物語にも心惹かれる
好きで手元にお迎えする道具には ひとつひとつの物語があると思う
出会ったことさえ すでに物語の一部
山椒の擂り粉木のつかい初め
白胡麻を摺って春菊の白和えを作る
子どもの頃はよく母の擂鉢を押さえる手伝いをした
摺り胡麻も煎り胡麻もない時代だったから まずは鉄鍋で胡麻を煎るところから始まる
熱源は薪ストーブ
普段は一汁一菜にお漬物が基本だった
いまはやりの「汁・飯・香」みたいなものである
出来上がった白和えを口実に ちょっと日本酒もいただく
合わせたのは 福島の大七酒造の純米生酛
この擂り粉木に味わいがでるまで使い込むには 長生きしなくてはね
お酒も控えめにしなくてはね...と 一応は殊勝なことを思ってみる