後藤南斗@TRAILHEADS

空間デザイン/マーケティング/衣食住・旅 大学卒業後は外資系IT企業でデジタルマーケテ…

後藤南斗@TRAILHEADS

空間デザイン/マーケティング/衣食住・旅 大学卒業後は外資系IT企業でデジタルマーケティングソリューションの代理店営業を担当。 その後は空間設計を手がけるトレイルヘッズに転職して、PMとしてオフィスや店舗の空間デザインを手掛けています。

最近の記事

「真摯に遊ぶ」ということ

はじめに久々の投稿です。いや、せっかくなので自分を励ますためにも、久々の"執筆"です、とここでは表現することにします。 何か物思いに耽けたり、自分の思考に余裕を作る目的で、noteで物書きをするという行為を2024年は増やしていこうと考えています。 そして最初に何を書くか考えを巡らせましたが、自己紹介の意味も含めて僕が掲げた今年のコンセプトについて綴ることにします。 今から一年経った時にこの文章を構成する文字を見て自分が何を思うのか、そんなことに胸を膨らませつつ、僕が発信す

    • 「日本人にとって成功は何ですか」とトルコの学生に聞かれた

      旅と就職活動は別物のようで意外と似ている。自分が知らない世界を見て、新しい人と出会い、そして予期もしない質問に悶々と頭を回し続ける。そんな非日常な出来事が断続的に起こる機会は日常にはなかなか転がっていない。 旅で直面する海外のカルチャーショックと就活のインターンシップで垣間見える「企業」の生態はどちらも僕の知らない世界を見せてくれたし、就活を通して出会う企業の人事や社員の方々はそれまで僕が抱いていた「会社員」への負のイメージを払拭してくれた。共に就活をする学生の中にはいわゆ

      • 上手なnoteが書けない

        どうして自分の文章はこんなに稚拙なんだろう。 note運営部からのオススメに目を通すとキラキラとした文字が楽しそうに踊っていて、僕を含めた読者をきっと喜ばせているのだろうなと想像する。 僕は大学卒業までに50カ国を訪れることを目標としていた。大学2年次に単独で30カ国を訪れる世界一周をして以来、旅の持つパワーと言うか、発見に感銘を受け、訪れた国が多ければそれだけ自分の視野が鮮やかになるとその目標を立てた。しかし世界的なパンデミックの到来によって、国境を越えるという今まで当

        • イスタンブルマラソン大会中に走りながら考えていたこと

          思い返せば、とても変なこだわりだった。 僕はサンダル一つで世界を旅した。砂漠も雪山も密林も。サンダルと言ってもKEENの編み込みのサンダルはスニーカーのように足にフィットし、通気性を確保してくれる優れものだ。その機能性や質感といい、金額も¥10,000近く文字通りの高機能性サンダルだった。もともとスニーカーを履いて旅をするつもりだったのだが、出発直前に幼馴染が餞別として渡してくれたそのKEENのサンダルは当時でも画期的なデザイン性を誇っており、僕は嬉しさのあまり「このサンダ

        「真摯に遊ぶ」ということ

          マラケシュで僕の身に起きた小さな奇跡の話

          モロッコという名前はマグリブというアラビア語が由来になっており、それは日の没する処と日本語で訳される。名前の通りモロッコの夕陽は格段美しいのだ。 カサブランカから長距離列車に揺られて降り立ったマラケシュという街は、街中の建物がほんのりとピンクがかった褐色の赤土で彩られ、夕暮れ時に街にはオレンジいろの夕陽が優しく街を照らす。 街の中心に位置するフナ広場は陽が沈む頃にテントが組み立てられ、夜市が開催される。100を超える飲食店が仮設テントで軒を連ねる。僕は毎晩そこで食事をとっ

          マラケシュで僕の身に起きた小さな奇跡の話

          おしゃべりモロッコ人との共同生活

          Khalidはおしゃべりが大好きだ。初めて駅で出会った日から3日経っても彼の言葉のマシンガンは常に銃口を露わにしていて、ネガティブに表現すれば心を休める暇も無かったが、総じて賑やかで楽しかったし、何よりも彼に教わったフランスパンとオリーブを一緒に食べる朝食は味とコストパフォーマンスの両方で傑出しており旅の財産をも得たとも言える。 彼はエンジニアの仕事をしており、昼間は会社に出勤し家を空ける。そして僕は一人の時間を使って自由にカサブランカの街を散策する。 メディナと呼ばれる

          おしゃべりモロッコ人との共同生活

          変哲の無い風景が好き@カサブランカ

          カサブランカに到着したその日の夜に、Khalidというモロッコ人の男と《Casa Voyageurs》駅で落ち合う約束をしていた。彼はこの身寄りのないアジア人の旅人を自宅に泊めてくれる優しい男だ。空港線の鉄道で身を揺らしてこの駅に到着するなり、僕は慣れた手つきでiPhoneと微弱な公式Wi-Fiを接続する。彼からのメッセージを確認すると「遅くなる」と残っていたので「問題ないよ」と返し、僕は駅の周りを散歩することにした。 街に佇む標識や看板は全く意味不明なアラビア語で表記がさ

          変哲の無い風景が好き@カサブランカ

          モロッコに向かう飛行機の中で

          ポルトガルでワインを堪能した僕を乗せた機体は、カサブランカ郊外にあるムハンマド5世国際空港へと向かった。モロッコを独立へと導いた国王の名が元となっている。 そんな華麗な背景とは裏腹に過去に例がないほどギシギシと音をたてた機体は上空を舞うように飛んだ。ここまでほとんどの空の旅を格安航空会社で済ましてきたが、この時LCCに搭乗したことを初めて後悔した。 大袈裟ではない「死」が頭をよぎる。父よ、母よ、育ててくれてありがとう。機体は何とか着陸態勢に入り、アラビアンな制服を身に纏っ

          モロッコに向かう飛行機の中で

          もしも愛知が日本から独立するならば

          僕がスペインを訪れた頃、バルセロナではカタルーニャ独立運動が熱を帯びており、赤と黄色のストライプが特徴的なカタルーニャの旗が至るところでなびいていた。バルセロナのような大都市とは言え、一つの自治体が国から独立するってどんな感じなんだろう。僕が暮らす愛知県が明日から日本国ではなくなると知ったら、僕はどんな感情になるのだろう。そんなことをぼんやりと考えながら、風に揺れる旗を見ていた。 旅をしていると、自国への愛国心や帰属意識を感じる機会が驚くほどに多い。グローバリズムが浸透して

          もしも愛知が日本から独立するならば

          食べて、踊って、そして歌うのだ

          マドリッドの夜は賑やかだ。 ほっつき歩いて適当にたどり着いたバルでイベリコのハムとスペインビールをたらふく腹の中に入れて、店内で流れていた音楽チャンネルを眺める。常連客と店主は楽しそうにテレビを見つめて、店主は時々ハミングをしていた。そのハミングの音程は半音低いように聞こえたが店主が満足しているのだからそれでいいのだ。 店を出て、また歩く。スペインビールを勢いよく飲んだからか、いつもより酔いが回るのが早いなぁなんて思っていると、ちょっと小洒落た内装のお店を見つけた。開いて

          食べて、踊って、そして歌うのだ

          無宗教の僕がサグラダファミリアのミサに参列して変わったこと

          生誕のファサード前には既に多くの人が列を成しており、僕は最後尾に並ぶ。鼻が高く顔の彫りが深いヨーロッパ系の人々の中に一人という状況に少しながら不安を覚えた。正確には人種の違いというよりもカトリックにとって大切な宗教儀式に異教徒である僕が参列することが彼らに対して侮辱的な行為として見做されるのではないかという不安だった。事実、僕以外に観光客らしき人間は一人もいなかった。今ならまだ引き返せると頭を過ったが、ミサという宗教行事をサグラダファミリアで執り行うことの意義の大きさは異教徒

          無宗教の僕がサグラダファミリアのミサに参列して変わったこと

          旅の休日

          「ヨーロッパ」と聞くだけで洒落た街並みを想像してしまう。全てが洗練とし、古き良き伝統を残しつつも新たな時代を進んでいるという印象だ。 予定がなかった日曜日、僕は散歩に出掛けた。コーヒーを片手に何の予定も無しに文字通り街をぶらぶらと歩く。観光地に行くことは旅人にとって義務みたいなもので、だったら行かなければいいと言う言葉を以てやめることもできない。仕事や学校に行きたくないけど行くのと同じように代表的な観光地に行くことが体にプログラミングされているのだと思う。その一方で、旅の休

          この日を境に僕は星が好きになった。

          星がそんなに好きではなかった。正確に言うとあまり興味がなかった。もちろん星が綺麗なら清らかな気持ちになるのだけど、裏切られ過ぎた。僕の生まれ育った地域は田畑に囲まれて、街で一番高い建物といえば小学校の隣に在るマンションくらいで、山川にも恵まれた地域だった。かつてはお米の生産が有名で昭和天皇の大嘗祭で献上されたこともある。けれど星は綺麗ではなかった。街の真ん中に大きな産業道路が走っており、昼夜問わず無数の大型トラックがそれぞれの責務を果たしている。 子供の時、意識的に天体観測

          この日を境に僕は星が好きになった。

          ウユニのジレンマ

          僕がボリビアのウユニ塩湖を訪れたのは乾季の9月だった。ウユニに連想される空中の鏡張り風景は雨が多く降り注ぐ雨季の景色だから、せっかくならベストシーズンに訪れたかった。しかし、そのベストシーズンというのはどうやら日本人を始めとする東アジアからの旅人にとってのもので、世界基準だと乾季の方が旅行客が増えウユニの街が賑やかになる。 美的の価値観が国や文化によって異なることは旅を通じて徐々に学んでいる最中であったが、ウユニの鏡張りは世界共通の絶景だと思い込んでいた僕は面を喰らった。日

          ウユニのジレンマ

          「好きなことを仕事にする」だけが正義じゃない

          「お前は好きなことを仕事にしろよ。サラリーマンはやめておけ。俺がうちの家系で最後のサラリーマンでいい。」 車の部品メーカーに勤める親父は、僕の将来の話になるといつも口癖のようにそう言っていた。 少年時代、格段好きなことはなかった。漫画も読まなかったし、ゲームは友人付き合い程度で寝る間も惜しむほど熱中はしたことがない。週末はずっと野球をしていたから、相対的に野球ぐらいしか好きなことは思い浮かばなかった。 だから、好きなことを仕事にしろよという親父の言葉は、好きなことが野球

          「好きなことを仕事にする」だけが正義じゃない

          ラパスが教えてくれた「無知の知」

          世界で一番標高の高い位置場所に首都として旅人に知られているラパス。 世界一〇〇と言うのは、所詮人間のこじ付けであって、何かと常に比較をしなければ気が気では無い人間の愚かな一面だと考えてしまいます。旅を長くしていると世界一〇〇というのは頻繁に遭遇するもので、その感覚は「10年に1度の逸材」が毎年現れるような矛盾と似ている。そんなことを思っていてもやはり「世界一」という言葉に身構えてしまって、どこか期待している自分もいた。 ところが南米の街並みは正直言って退屈になる。どれもコ

          ラパスが教えてくれた「無知の知」