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万年筆でただ丁寧に字を書く朝。40年前に母に叱られたことを思い出し。

字を丁寧に書きなさいと叱られ、しかしそれに本気で取り組んだことなどない幼少期だった。

叱ってくれた母は、繊細で右肩上がりで神経質できれいな字を書く人だった。

勉学においてノートを取るようになって、なぜ私はこれほど字が下手なのだろうかと疑問が湧いた。うまく書こうとした。できなかった。

大学を出て社会に出るとワープロを貸与された。Windows95のブームが訪れた。字を書かなくてよくなるのだ、と安堵した。

それから30年ぐらいたった。毎朝無心で字を書いている。

万年筆のおもしろさに気づいてしまった。そして、集中して字を書く気持ちよさにはまってしまったから。

習字が高レベルの友人が「うまく書こうとしてはいけない」といつか言ってた気がする。ただ丁寧に書く。

あのころ母に叱られたことを今やっているのだった。

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