危険! ウィッシュリストを書いたらそのままにしてはいけない
夢、やりたいこと、興味があることを書き出すウィッシュリスト。「自分がやりたいことが見えてくる」「真の自分が理解できる」と言います。本当でしょうか?
私はかつて、ウィッシュリストを書いてみたものの、見返すのがいやになってしまったことがあります。同じような経験をした人、いるんじゃないでしょうか。
なぜウィッシュリストがイヤになるのか。そこには、明確な原因があります。そして、ウィッシュリストを、夢に近づく原動力とする方法もあります。
ウィッシュリストとは何なのか
Wish(ウィッシュ)とは「願い」です。つまり、ウィッシュリストとは、願事のリスト、という意味ですね。
ある程度の時間制限を設けて、できるできないかは考えず、夢や、やりたいことや、興味のあることを、大量に書き出す。
検索してみると、ウィッシュリストの書き方はこんな感じです。「ウィッシュリスト」と呼ばなくても、夢や、目標や、達成したいことを、手帳に書いている人は多いのでは無いでしょうか。
ウィッシュリストや、夢や目標を手帳に書き、ことあるごとに見返す。すると「自分がやりたいことが見えてくる」「本当の自分が理解できる」「書いたことが実現する」と言います。しかしながら、私はこれを疑問に感じます。少なくとも、私はそれを見返すのがいやで、手帳を開けなくなったことがあるからです。
ウィッシュリストなんて見たくない
ウィッシュリストを手帳に書き、毎日見返そう。夢を忘れず、一歩でもそこに近づこう。そんな思いからです。
当初は書き出した高揚感もあって、楽しく眺めていました。しかし、しばらくすると手帳を開くことがいやになるのです。なんとか開いても、ウィッシュリストは見ません。それならこんなリストは不要だろうと破り捨てると、簡単に手帳を開けるのでした。
でも、夢や願いはリストにしておきたい。また書いてみます。また手帳がいやになります。こんなことを何度か繰り返して、なぜウィッシュリストがストレスになるのかを、真剣に考えてみました。
欲望と怒りと妄想のリスト
あれが欲しい。あれがイヤだ。こうなりたい。私のリストはそんなことの羅列でした。これは原始仏教でいう「三毒」です。
・怒り
・欲望
・愚痴
という、3つの最強の負の感情を「三毒」と呼びます。原始仏教では、これらが増えると辛くなるよ、減らすと楽になるよ、と説きます。
私はライフハックとして原始仏教が好きです。修行者になる気はないけれど、楽に生きるためのコツとしてゆるく実践したい、ぐらいの位置づけです。
ついでに説明ですが、わざわざ「原始」を付けるのは「仏教」では広範囲すぎるから。日本で普及している大乗教は好きではないのです。
脱線しました。「ウィッシュ」というと聞こえはいいけど、実のところは自分の負の感情である三毒を書き出して、毎朝確認する。それはストレスになって当然ですね。そこに気づいて、リストを破り捨てようとしました。
重要ですぐやれることは「ウィッシュ」ではなく「タスク」
しかし、何かが引っかかって手が止まります。私は、もう少しだけ「三毒リスト」と向き合ってみることにしました。まず、重要なことで、すぐにでも取りかかれることは、タスクリストに移します。
たとえば。
・歯を治す
・調子の悪い洗濯機を買い替える
などです。これらはウィッシュというよりは、すぐに取りかかるべきタスクです。
手に入らないものは忘れよう
次に、欲望によるウィッシュに線を引いて消していきました。
・家が欲しい
・車が欲しい
・いい万年筆が欲しい
・いい家具が欲しい
・大きなテレビが欲しい
・あれが食べたい
・海外旅行に行きたい
などです。ウィッシュリストは、ほとんどが「欲望」によるものではないでしょうか。
現実には、望むものは手に入りません。そんなものは忘れてしまったほうがいいのです。
ケンカするなら忘れよう それがイヤなら急いで仲直りしよう
次に、怒りによるウィッシュを消していきました。
「怒り」は「欲望」よりも判定が難しいです。ウィッシュであるからには、リストには欲望が多くて、怒りは少ないはずだから。でも、たとえば
・会社を辞めたい
・母と仲直りしよう
・友人のAと仲直りしよう
などは、怒りによる反発かも。
母と顔を合わせるといつもケンカしてしまうなら、母のことを忘れて距離をおいたほうがいいのです。あるいは、母の老い先が短くて、それでは後悔しそうだったら、仲直りを急がなくてはなりません。いずれにしても、こんなことはウィッシュリストに書いて眺めていてはいけません。
現実からの逃避は集中力を削ぐ
次に、愚痴のウィッシュを消していきました。
これも判定が難しいのですが、現実からの逃避は、だいたいが愚痴です。
・ダイエットしてお腹を引っ込めたい
・筋トレしてカッコいい体になりたい
・ヨーロッパに移住したい
・小説を書いて作家になりたい
・起業して自由に生きていきたい
・資格を取りたい
・英語を勉強したい
すべて、現実の自分がいやで、その苦痛から逃れるための逃避です。私の経験ですが、妄想への逃避がクセになると、現実世界での集中力が衰えていきます。
夢を選別する
タスクを除く。「三毒」のフィルタにかける。それで、私のウィッシュリストはすべて消えてしまいました。スッキリしました。怒りと欲望に身を任せ、現実から逃避する。そんなリスト、見返すのがストレスとなって当然です。しかし、どうしてもあきらめきれないウィッシュがありました。
・会社を辞める
・起業して自由に生きる
です。
本当に、この夢を捨ててしまっていいのだろうか。挑戦しなくていいのだろうか。これがかなえば、どんなに素晴らしいだろうか。
私はよく考えました。
お客にウソをつくような仕事はもうたくさん(中小のブラック企業ならよくあることでしょう)。他者の役に立つ仕事がしたい。仕事とは、本来そうなのですが。
会社を辞めたら、職場での人間関係による怒りは消えます。愚痴も消えます。うまくいけば、家も車も買える望みも出てきます。
この夢は、他のさまざまな悩みを解決するカギです。三毒のフィルタにかけても、引っかかって残った、本当のウィッシュです。
本当のウィッシュに集中する
私は、会社を辞めて起業する、という夢に集中して取り組むことにしました。
数年後、それを実現しました。今は、会社を設立して8期目です。経営環境は厳しいし、そんなに儲かっているわけではありません。でも、満足しています。ちょっと古いけど、広くて眺望のいいマンションに住んで、かなり古いけど車も所有できたのですから。
以前から比べると「三毒」は激減して、穏やかな毎日を過ごしています。
ウィッシュリストを書いたけど、気が重くて見返せない。あるいは、見返すだけで全然前に進んでいる気がしない。だったら、書き出したウィッシュから、すべてを解決するカギとなりうる本当の「夢」を選別してみてはどうでしょうか。
これさえかなえば、すべてを解決するカギだ。そんな夢が発見できたら幸いです。あとは、それに全力で取り組めばいいだけですから。
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