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苦行ではなくノートを楽しむ 「歩くのがもっと楽しくなる 旅ノート・散歩ノートのつくりかた」を読んだ

大ヒットしたノート本「情報は1冊のノートにまとめなさい」の著者が送る、旅ノート作りのための本。

ノート術の本というと、たいていは生産性が上がり、仕事ができるようになり、年収が上がり、タスクが片付き、夢がかなうようになるのだが、本書では一切そういったキーワードは出ない。記録するだけで旅と散歩はおもしろくなる。楽しむためにノートを作ろう、というスタンス。

私的には、ノートを書く目的は、事業を成功させ、収入をアップすることなので、その視点から読んでしまうのだが、気づきが多く、おもしろかった。

歩きだから興味を持ったものの前で気軽に立ち止まれる

著者の言う旅や散歩は、電車やバス、徒歩で移動する。車やバイクや自転車は好きではない、と。

徒歩だと、興味があるものの前で気軽に立ち止まり、メモをし、写真を撮ることができるから。

旅の前 途中 後の3段階でノートを活用する

旅の前に行きたい場所をノートに書いておいて具体化する。旅に出たら、ノート作りの素材となるガイドマップやパンフレットを集める。道中のメモは「客観的事実」と「自分の声」を書く。

「客観的事実」とは時間、ルート、イベント(起こったこと、やったこと、感じたこと)。「自分の声」は発見、疑問、思いつき。

写真はメイン機とサブ サブカメラの写真を随時プリントしておく

写真は、メイン機とサブ(スマホやポラロイド)で撮り、スマホの写真を道中のコンビニなどで割り付け印刷してノートに貼る。

メイン機の写真は後でパソコンで管理。とにかく、ノート作りに必要以上の時間をかけない考え。

歩いたルートをノートにまとめると終わった旅をまた楽しめる

旅の後。時系列で集めた材料と書いたメモをノートに貼っていく。気づいたことを書く。

地図に歩いたルートを記入し、ノートに貼る。ネットからプリントしたもの、現地で入手したガイドマップなど。国土地理院の地図もつかえる。

気になる場所は、古地図や、国土地理院の航空写真(戦前からある)を調べてみるのもおもしろい。

苦行ではなく 楽しむためのノート作り

そもそもなぜ旅ノートを作るのか。

冒頭にも書いたが、本書のすすめる旅ノートは、収入や生産性をあげるのが目的ではない。タスクは片付かない。しかし、そういった「自己実現系」のノートは書くのが苦行となるときもある。

旅ノート作りは、純粋に楽しい。生産性などどうでもいい。自分の行きたいところに行く。興味を引く地形や史跡や建造物を観察し、メモし、写真を撮る。

帰ったら、それをノートにまとめる。なんと幸福な時間だろうか。地図を用意し、図書館で市史なんかも参照しつつ、歩いてみたい。

そして、そんなまったく仕事と関係のないノートが、結局は仕事の役に立つことが、ままある。自分の体験や考えを記録しておいて、後で読み返す、というのは脳に良い刺激なのだ。

ハッとするような、普通に仕事してたら思いつかないようなことがひらめいたり。

メンタルをやられているときでも、勇気が湧いたり。

だから、仕事のこともそうでないことも1冊にまとめてひたすら記録して読み返したい。

・2019-03-06初出
・2022-10-26noteに転載

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