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ネクスト Netflix!? 日本発
ショート映画ストリーミング・サービスSAMANSAの挑戦!

”10分で人生が変わる映画を世界に”――。そんな事業ビジョンを掲げ、世界中から良質なショート映画を発掘・他言語化したショート映画を配信するサービス『SAMANSA』。同サービスは21年7月のテストリリースからわずか数か月でTikTokフォロワー数5万人を達成、隙間時間に見れるショート映画(短編映画)の利便性が受け、Z世代を中心にあらゆる世代で支持を広げています。”動画コンテンツの国境をなくし、誰でも楽しめる世界を作る” SAMANSAを運営する株式会社Samantha 代表取締役の岩永祐一氏と共同代表の遠山孝行氏にお話を伺いました。

日本発!ショート映画界のNetflixを目指す!

――Samanthaが手掛けるサービスについて教えてください。

岩永:Samanthaは世界中から良質なショート映画(短編映画)を集め、多言語字幕で作品を配信するプラットフォーム『SAMANSA』を運営しています。分かりやすくいうとNetflixの短編映画版ですね。カンヌ映画祭やサンダンス映画祭など、各主要映画祭で受賞あるいはノミネートされたものを中心に配信しており、月額250円という手軽な料金で、他の国内VODサービスでは観ることのできないクオリティの高い作品を多数揃えています。

――”ショート映画”を軸にした理由は何なのでしょうか?

岩永:現在、8兆円といわれる世界の動画配信サービス市場ですが、特にアジア地域での成長はめざましく、年間19%の成長を続けています。また、世界のインターネットユーザーの65%は何らかの動画配信サービスに登録、そのうち22%の7憶人が『15分以下の短編コンテンツ視聴』を目的としています。中でも10~19分の短めの動画が最も視聴されている状況ですが、その多くは英語圏に向けたもので、日本語のシェアはわずか2.8%しかありません。”短編動画” ”娯楽目的”を求める層に向けた魅力的なプラットフォームの数はいまだ少なく、特にアジア圏では映画に関しては皆無と言ってもいい状況です。そこで、この22%のうちプラットフォームが圧倒的に不足しているアジア圏をターゲットに、新しいエンタメを生み出すことに注力することにしました。SAMANSAで「短い映画」というトレンドを作り出し、アジア圏のショート映画ムーブメントを起こそうと考えたのです。

遠山:日本ではあまり認知されていないショート映画ですが、実は欧米ではすでに根付いています。というのも、ハリウッドを筆頭にヨーロッパ各国では才能ある若手や業界のトップクリエイターたちが日々競うようにショート映画を製作しているのです。当然、彼らは自身の作品をアジア圏にも届けたいと熱望していますが、残念なことに非英語圏、特に日本をはじめとするアジア地域でその作品を楽しむサービス・環境がない。つまり日本のユーザーや非英語圏のアジアにおいて配給の”プラットフォーム”が圧倒的に不足している状態なのです。そこからSAMANSAという発想が生まれたという流れです。

ハリウッドで出会った2人が会社とサービスをローンチ!

一番左:岩永(監督)右から2人目:池田直之 氏(主演俳優) 短編映画『STRING』にて   

――お二人はハリウッドで出会われたとお聞きしたのですが。

岩永:はい。僕は当時LAで映画を学んでいたのですが、自主映画の製作費を賄うためにクラウドファンディングを行ったことがありました。ちょうどその頃ロサンゼルスの映画製作会社で働いていた遠山が、僕のプロジェクトがSNSでシェアされているのを発見し、連絡をくれたのが出会いのきっかけです。その出会いを機に二人で一緒に映画を作るようになったのですが、製作だけでなく、映像業界を良くするために自分たちに出来ることが何かないだろうか、という思いが共通してずっとありました。そんなこともあり、一緒に起業しようと誘いました。

中央:遠山(プロデューサー)短編映画『STRING』はLAで撮影

――SAMANSAで配信されているショート映画はどの作品も魅力的で面白いですよね。かなり厳選されていると思うのですが、発掘はどうしているのですか?

遠山:初期の頃はweb上でとにかくしらみつぶしに作品を見つけて、配給会社やクリエイター1人ひとりに直接コンタクトを取って交渉していました。「面白いな」と感じる作品は最低10本観て2本ぐらいが経験則。ですがSAMANSAで配信するために1日2本は先方に連絡を取りたいと考えているので、場合によっては1日20本以上の作品を観ることもありますね。現在は配給会社とのコネクションもかなり広がってきたので、彼らの所有するリストからチョイスして直接買い付けることが多いです。

――すごいですね! 実はSAMANSAで初めてショート映画を観たのですが、正直そのレベルの高さに驚きました。もっと早く知りたかったなと。

遠山:そういっていただけると嬉しいです。この瞬間にもショート映画は世界各国で作られているので、本当にたくさんの作品があるのですが「途中までは良かったのにオチが微妙だったな」みたいな鑑賞の余韻を残してしまってはショート映画の魅力を伝えられない。皆さんの日常を豊かにするような作品を厳選、選びに選んで作品を配信しています!

岩永:僕らの事業はエンタメなので先の見通しがつきにくいのですが、そこを分かってくださるVCさんからの資金調達が一番理想的。エンタメ系に強いW venturesさんからご支援いただいたのはものすごく嬉しかったですね。SAMANSAは昨年12月にブラウザ版をリリースしたのですが、約95%にあたるユーザーの方がiPhoneからのご利用という背景もあり、今年2月にiOS版アプリをリリースしました。長編を観る場合は時間の確保や環境づくりが大変ですが、SAMANSAであればスマホを片手に好きな時に好きなものを楽しむことが出来ます。ショート映画に馴染みがない方がほとんどかと思いますが、是非一度うちの人気作品を見て見て頂きたいです。『SAMANSA』の良さは一度体験してもらえれば必ず分かってもらえると自負しています。

さまざま賞を獲得しているショート映画を厳選しています!

会社の危機!?にアップしたTik Tokがバズる!

――”ショート映画”はじわじわと市民権を得つつありますね。

岩永:僕たち自身もSAMANSAを通じて10、20代の人たちを筆頭に映像コンテンツを見る人たちの興味関心がますます短い動画に向いてきているなと強く実感しています。 ユーザーからのコメントを見てもそれは明らかで「長編映画は観られないけれど、この長さ(10分ほど)なら観られます!」というような方がすごく多いです。30、40代の方々はまた理由が変わって、仕事や家庭が忙しくてなかなか長編を観る時間が取れない代わりに、ショート映画を娯楽として選択する人が多い。その背景にはちょっとした隙間時間に動画を観ることができるスマホの存在が大きいのでしょう。今後は長編、短編、また映画にかかわらず”動画を見る”ということがより増えていくと思いますね。

――SAMANSAの公式 TikTok アカウントでは動画がよくバズっていますよね。開設当初から順調だったのですか?

遠山:全くそんなことはなく、最初はTikTokに投稿しても全然、反応がなくて更新をストップしていたくらいだったのです。でもシードの資金があと数ヶ月で尽きてしまう……という状態に陥り、とにかくチャンスを掴まなければと思って再度、TikTokをやってみたんです。ただ、今までと同じように映画の予告編を配信するのは意味がないなと。あえて『ザ・プロシージャー(謎の実験室)』という作品の1番盛り上がっているワンシーンを切り取る、といった新たな手法で編集した予告を載せてみました。するといきなり1日で70万回再生を達成してフォロワー数も一気に伸びたのです。本当に想定外でした。当時のことで鮮明に覚えているのは、ちょうど次回の資金調達のために投資家さんとオンラインでお話している最中に、会員登録通知メール音が鳴り止まなかったことですね。鳴り止まない通知音を聞きながら「SAMANSAはいけるかもしれない」と。実際そこが転換点となり、現在もTikTokからの流入がどんどん増えている形です。でもあのTikTokのバズりがなかったら……と考えるとちょっとこわいですね(笑)。

――予告映像は全て自分達で作られているのですか⁉ 自社制作できるのはすごい強みですね!

遠山:はい。実はSamantha設立の1年前に映像の制作会社を設立していまして、映像制作はそちらで請け負っています。SAMANSAで配信する作品の予告映像と翻訳は僕一人で担当していますが、岩永も映像の制作・編集ができるのでこれは僕たちの強みかもしれないですね。皆さんが「どの映画を観ようかな」と考えるときに予告の面白さも指標の1つに加えることが多いと思うのですが、残念なことにショート映画に関しては本場のアメリカでも予告を作る文化がありません。クリエイターの方でもショート映画予告を作る人がほぼいないので、SAMANSA側で作って各SNSで日々告知を行っています。

これからはショート映画が世界の主流になる?はず

――今後の展望を聞かせてください。

岩永:今後はオリジナルシリーズの製作や、アジア展開を見据えた動きを加速していく予定です。SAMANSAは去年のインドネシアに続き、韓国を対象にテスト配信をしているところです。スマホの普及やデジタル化が進む中、これからはショート映画が長編と同等、もしくはそれ以上の存在になる可能性が高い。だからこそSAMANSAを、Netflixを超えるブランドに成長させ、現状欧米圏から遅れをとっているアジア圏のエンタメ業界を盛り上げたいと考えています。後々は欧米にも進出していきたいと考えています。

遠山:ショート映画がメジャーになる世界を目指したい……といいつつも、実のところもうすぐそこまで来ていると感じています。だからこそ、SAMANSAというサービスの存在は今後ますます輝きを放っていくはず。数年前、アメリカでもショート映画で世界を席巻しようという動きがありましたが、ユーザーのニーズ吸い上げがうまくできていないなどの理由で失敗してしまい、結局未だ誰もその領域で成功していません。これはある意味ものすごいチャンスだといえます。今まで誰も成し得なかった成功を僕らが成し遂げたいという強い想いが我々のモチベーションに繋がっています。映画は”その人の人生を変える”と思っていますし、映画の素晴らしさも僕らは身をもって知っています。SAMANSAを人々の人生に何かしら豊かな影響を与えられるようなサービスにしていきたいと考えています。

岩永:僕らが目指すのは「国境の無い世界」です。それを担うのは「エンタメ・映像の力」だと信じています。国境を越え、海を越え、観る人の心に響く映像作品を届けたい―。Samanthaはそんな理想と情熱を共有しながらフラットに働ける会社です。エンジニア、翻訳、編集など、新しい挑戦を共にしてくれる仲間を幅広く募集していますので、興味や関心がある方がいらっしゃいましたらぜひ、こちらにご一報ください!

——今後の展開から目が離せませんね! これからも、我々W ventures は、Samanthaを応援していきます!

岩永祐一
株式会社Samantha 代表取締役
慶應大学理工学部卒。新卒でリクルートに入社して営業に従事。
その後映像製作を行うCrevo株式会社でスタートアップ・大企業向けに数々
のWeb CM制作を経験。その後LAに渡ってUCLA Extensionの映画学科を卒業しアメリカで 数々の作品を監督・プロデュースする。
2019年帰国して以降はフリーランスで映像監督・プロデューサーを務め、Web CM、映画、MVを中心に活動。2021年4月Samantha創業。
個人サイト https://yuichiiwanaga.mystrikingly.com/

遠山孝行
株式会社Samantha 共同代表
慶應大学を1年で中退後、映画製作を学ぶために2014年に渡米。
2018年にテキサス大学オースティン校を卒業し、映画製作の中心地であるロサンゼルスに移住する。ハリウッド大作映画を手がけるFilm 44/45でインターンを経験後、大手日系の製作会社での勤務などを経てフリーランスのプロデューサーとして活動。
2018年にプロデュースを手掛けた MatchstickWillieはアメリカ国内の映画祭で数々の賞を獲得しているほか、イタリアの映画祭などでもノミネートされている。 2020年8月 Le Merlin創業。

W ventures パートナー 新 和博

ショートフィルムは一見ニッチな印象を持たれるかも知れませんが、実はスマホ・SNSが普及した今、マスユーザーに一気に受け入れられるポテンシャルがあると感じています。場所を問わず気軽にアクセスして隙間時間内に見終わる高品質なコンテンツは競合があまり存在していません。また、SAMANSAを通じて多様な価値観や才能あるクリエイターに出会えるというのも大きな魅力です。是非一度SAMANSAにアクセスしてみてください。

取材・構成 株式会社TEA.M

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