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「インドネシアン・ドリーム!?」     Wのインドネシア投資戦略を大解剖!

W fund(以下、W)は、2023年7月より「インドネシア投資」に力を入れており、2024年6月時点で7件の投資を実行してまいりました。また、インドネシアのスタートアップへの資金提供だけではなく、日系企業に対して「ノウハウ・ネットワーク」を提供すべく活動中です。これからインドネシアに進出したい、展開したい、投資したいとお考えの企業の皆様へ、W 新とアマンダがインドネシアの魅力をお伝えします。

Wがインドネシアを選んだ理由

――インドネシアの魅力を教えてください。

インドネシアと日本を比較した際に、インドネシアに大きなポテンシャルを感じたことです。例えば、日本は人口約1.2億人に対し、出生数は年間約73万人。今後も出生数は下がっていく一方だと言われています。一方で、インドネシアの人口は約2.7億人、年間出生数は約450万人。人口ベースでは現在2倍の差ですが、今後大きく人口の差が開いてくると考えます。
平均年齢で比較しても、日本が49歳であることに対し、インドネシアは29歳。GDPの成長ももちろん魅力的ではありますが、今後の消費傾向の向上やインフラ整備等々、ポテンシャル溢れる市場だとみています。
我々Wは、日本において「コンシューマーサービス」に特化したスタートアップに投資をしているファンドです。中長期的に考えると、日本のコンシューマー数は必ず減少していくため、グローバル(海外)市場に進出する必要性があります。前述した理由の他、インドネシアから数々のユニコーン企業が誕生していることも踏まえ、インドネシアにて投資活動を始めることに決定しました。

――インドネシアにおける「Wの投資戦略」を教えてください。

市場環境や文化等の理解を深めていくことを優先し、少額出資の方式で投資活動を行なっています(とはいえ、長らく続いている円安に大きく影響は受けていますが…)。さらに、一番重要視していることは、現地で活躍しているVCのインナーサークルに入っていくことです。他にも、現地インターンの採用に力を入れたり、TikTokを介してコンシューマーとの距離を縮めたりと、様々な方面からインドネシアを理解できるように努めています。

――インドネシアのスタートアップのエコシステムの特徴を教えてください。

オフラインがまだまだ根強く、オンライン×オフラインを上手く掛け合わせることが重要だと感じています。他にも、日本では新規参入できる余地がないような産業に対しても、インドネシアでは第一次産業をはじめ、流通などの領域にスタートアップが挑戦できる点は非常に興味深いです。一方で、SaaS等の月額課金型のサービスは全く根付かないのがインドネシアの特徴です。画期的なDXサービスであっても、インドネシアの市場で受け入れられるかはまた別の問題であるため、常にインドネシアの市場の理解を深めていかなくてはと感じています。

インドネシアのインターンSam

――Wが投資しているスタートアップの概要と推しポイントを教えてください。

ぜひご紹介させてください!

Slice

インドネシアにおけるインフルエンサーマーケティング単体の市場規模は近年$500M USDまで成長してきています。しかし、現在のクリエイターエコノミーでは報酬の支払いサイクルに課題があり、多くのクリエイターが報酬を得られるまでには期間を要しています。Sliceでは、インフルエンサー・ペイメント・ゲートウェイを提供し、クリエーターエコノミーの革新を目指します。

<推しポイント>
インドネシアでは、インフルエンサー業が非常に活発です。インフルエンサーもどんどん細分化されていくため、広告代理店側の工数増加が想定されています。Sliceでは、インフルエンサーと広告代理店の両者にとって、作業効率化ができるプロダクトの提供や、現在課題となっているファイナンス部分の課題解決を目指しており、市場の追い風をはじめ魅力溢れるスタートアップだと感じています。

Opaper

インドネシアでは400万店舗以上の飲食店が存在するとされていますが、メニューやオーダー、在庫管理、予約機能など、飲食店全体フローにおけるデジタル移行は、いまだに時間を要しています。そこで、2022年に設立されたOpaperは、飲食店向けにAll-in-Oneプロダクトを提供し、エンドユーザーとレストラン双方へ体験価値を高めることを目指します。

<推しポイント>
アメリカでToast(トースト)という、レストランに特化したAll-in-One型のプラットフォームを提供しているテック企業がありますが、上場時$20B USDの時価総額がつきました。アメリカで成功事例が出ているサービスをインドネシアで挑戦していることは大変興味深いと感じています。

Noctua 

Noctuaは東南アジアを中心に展開しているゲームパブリッシング企業です。日本をはじめとする海外コンテンツIPホルダー企業からIPやコンテンツを仕入れ、言語やマネタイズ手法等、中国や東南アジア各国でローカライズし、ゲームを提供しています。

<推しポイント>
大手だけでなく、個人や独立系のゲームディベロッパーへも寄り添うのがNoctuaの魅力だと感じています。今後もモバイルゲーム市場がどんどん伸びていくことは、間違いないと我々Wは推測していますが、東南アジアにおけるデジタルエンターテイメントの発展に貢献できるよう、Wとしてバックアップできればと感じています。今まさに爆伸中のNoctuaですが、日本コンテンツIP・ゲームディベロッパーとのコラボにも積極的なので、ご興味ある方はぜひWまでご連絡ください。

Jendela360

Jendelaは、簡単に言うと日本のSUUMOのようなサービスを提供しています。基本的に不動産事業に免許等を必要としないインドネシアでは、仲介業者のサービスレベルに差が大きく生じる他、詐欺のリスクが顕在しています。そこで、2016年に設立されたJendelaは、エージェントの派遣や契約書のサポートなど、入居希望者と不動産所有者の両者にとって透明性と利便性の高いサービスの提供を行っています。

<推しポイント>
インドネシアの不動産市場は、2028年には$81.2B USDまで急成長すると予想されています。家を借りる・買うという行為は生きる上で必要不可欠ですが、インドネシアの不動産業界には、ミスや詐欺が起こりやすいという大きな負を抱えています。この負へ解決の一歩となるサービスを提供できれば、大きい市場になる可能性が有ると考えています。Jendelaの不動産流通量は、年間$90M USD。インドネシアの不動産市場からするとまだ小さな量ですが、伸び代は未知数。大きなチャンスを狙っています。

Edukita

Edukitaは、ネイティブ講師をオンラインで派遣、生徒はオフラインで集まることでハイブリット式英語学習塾の提供を行っています。これにより、地理的問題・英語講師の不足・価格高騰を無くし、首都圏と地方の教育格差を埋めるよう努めています。幼稚園児から高校生までの幅広い層がターゲットですが、多くのユーザーは小学校低学年層です。

<推しポイント>
現在インドネシアでは、子供の放課後学習領域が伸びており、習い事の1つとして「英語」が注目されています。一方で、インドネシアでは英語教育は必修化されておらず、講師側の人材育成・人材確保が課題となっている他、島国であるが故に地理的な問題から英語講師を派遣できない課題があります。そこへ解決策を見出したのがEdukitaです。何より、実際のクラスでは「学習」というよりも「楽しい時間」として子供達が和気藹々としているのが大変印象深いです。人口増加、グローバル化、そして元「GoPay」メンバーが集まるマチュアなチームである点、様々な角度から魅力溢れるスタートアップです。

BroilerX

BroilerX は養鶏のスペシャリストが集まり、養鶏農家へIoTデバイスと食品流通ソリューションを提供しています。日々変動する餌代や鶏肉価格の価格保証を行い、鶏肉の生産から出荷まで一元サポートを可能にするプロダクトを開発・提供しています。

<推しポイント>
インドネシアにおける鶏肉消費量は2012時点で年間一人当たり3.49kgでしたが、2023年には8.38kgと鶏肉の需要が急増しています。豚肉は宗教上好まれず牛肉は高価な他、GDPも年々成長していることから、今後も鶏肉の消費が増加すると予想されます。毎月凄まじい勢いで成長しており、期待大のスタートアップです。

BroilerXの皆様と

Dagangan

Daganganは、インドネシアの農村部コミュニティに手頃な価格で生活必需品へのアクセスを提供する、テクノロジーとオフラインを上手く活用したコマースプラットフォームを運営しています。農村地域では、都市部と比べ物流の観点から商品価格の高騰や生活必需品における品数の薄さ等の課題を抱えています。

<推しポイント>
インドネシアのTier3・Tier4都市は、$86B USDという巨大な小売市場を持っているにも関わらず、流通事業者の不在により、ブランド・小売事業者・エンドユーザーそれぞれが大きな負を抱えている状態です。そこで、Daganganでは農村地域と都市部のライフスタイル格差の解消すべく、農村部コミュニティを活性化し、すべての人に大きな経済的機会を提供することで、インドネシア経済を加速させます。インドネシア農村部での販売チャネル確立等、ご興味あります企業様はぜひWまでご連絡ください。

――スタートアップへの資金提供以外にもインドネシアでやりたいことがあるようですね。

これからのWでは、インドネシアで活躍している・インドネシアに関心のある日系企業とインドネシアのスタートアップの橋渡しになることを目指し、コミュニティを作っていきます。。ゆくゆくは日系企業とスタートアップのマッチングだけでなく、日系企業がインドネシアに進出する際の情報収集や進出支援など行っていけたらばと考えています。

――最後に、Wとしてインドネシア投資への未来について教えてください。

Wとしては、グローバル進出が必須の中で、最初に基盤を作るのはインドネシアと決めています。インドネシアのコンシューマー領域の主要なプレイヤーに投資をすることで、日本の投資先がインドネシアを始めとする東南アジアに事業展開する際の橋渡し役になりたいと強く思っています。また、日本の大企業がもっとインドネシア市場に興味を持っていただけるような「ハブ」となることを目指して、邁進していきます。スタートアップ投資だけではなく、日系企業の皆様と一緒にインドネシアでさまざまなことに挑戦していきたいので、ご興味がある企業様はぜひ、新、アマンダまでご連絡ください。

――ありがとうございました。これからもWは、積極的にインドネシアに投資をしていきます!

【お知らせ】東南アジアにご興味ある事業会社・CVC・VC・スタートアップの皆様

不定期でインドネシアの調達状況をご紹介いたします。ウェビナーやオフラインでの交流会も企画しております。 ご希望される方はこちらの簡単なアンケートにご協力ください。





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