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【大内家の野望 新生】 第0話:大内家が天下を目指したら

※この記事の本文部分は、どなた様も無料で全文読むことができます。どうぞお楽しみください。

メールマガジン『ビジネス発想源 Special』土曜版にて約8年、50章400回以上もの連載を続けてきた、歴史から経営やマーケティングのヒントを学ぶビジネスコンテンツ「歴史発想源」

これまでにも、Amazonのkindleストアにて電子書籍版になっています。

現在、最終章となる第50章を連載中の「歴史発想源」ですが、その番外篇として、ゲームを使って歴史の「if」を追ってみることにしました。

今年2022年7月に新発売となった、コーエーテクモゲームスの歴史シミュレーションゲーム『信長の野望 新生』

第1作の発売から40年が経ち、今回が第16作目ですが、早くもプレイしたユーザーからシリーズ最高傑作の声が上がっているほど、とても評判の高い名作ゲームになっています。

・コーエーテクモゲームス『信長の野望 新生』

そこで今回、「歴史発想源」の記念すべき第1章であった「大内二代篇」、その続編であった第9章「陶氏二代篇」の話を、この『信長の野望 新生』で実際に試してみることにします。

「大内二代篇」は中国地方の戦国大名・大内政弘と大内義興の二代が主人公で、「陶氏二代篇」では大内義興とその子・大内義隆に仕えた陶興房・陶隆房(陶晴賢)の二代が主人公。大内氏の全盛期から毛利元就に滅ぼされるまでを描きました。(この2つの章、諸事情でなぜかまだ電子書籍化されていません)

大内義隆は「大寧寺の変」で家臣の陶晴賢のクーデターに遭い、養子の大内義長が擁立されるも、同盟勢力から離脱した毛利元就に「厳島の戦い」で敗れた後に、大内氏は滅んでしまいます。

では、大内義隆が「大寧寺の変」を回避して、天下統一に向けて動いたとしたらどうなったのだろう、ということを筆者が『信長の野望 新生』にてプレイしていった様子を、気ままに連載したいと思います。

題して、『大内家の野望 新生』

気ままな連載です。気ままに読んでみてください。そして『信長の野望 新生』は本当に面白いので、ぜひ皆さんもプレイしてみてください。


▼第0話:大内家が天下を目指したら

■1546年、中国地方の大内家は「お薦め」勢力!

中国地方の有力勢力だったのに毛利家に滅ぼされた戦国大名・大内家で、『信長の野望 新生』を使って天下を目指してみよう、という誰得企画「大内家の野望 新生」。

『信長の野望』シリーズなら織田家を使おうと思うのが普通だろうが、大抵のプレイレポートは織田家を使っていてネット上にたくさんあるので、そちらを見ていただきたい。ここでは、恐らく誰も選ばない大内家である。

『信長の野望 新生』では「1546年 信長元服」「1553年 尾張統一」「1560年 桶狭間の戦い」「1570年 信長包囲網」「1582年 夢幻の如く」の5つのシナリオを選ぶことができ、1つでもクリアをすると「1618年 群雄繚乱」という仮想シナリオが増える。

大内義隆が存命だった「1546年 信長元服」を選択する。この頃は有名な戦国大名もほぼ全員が小粒の群雄割拠状態だ。

中小勢力が乱立状態の1546年

大内家など誰も選ばないと思っていたら、このシナリオでは北条家・斎藤家・六角家に並んで、大内家にもなぜか「★お薦め」マークがついている! 

1城しかない勢力も多々ある中で、大内家は山口館を拠点に8城も持っていて、この時はかなり大手の部類である。

多くのゲームでほぼゴミ扱いの大内家にお薦めマークをつけてくれるなんて、コーエーテクモゲームスさんの配慮は嬉しいなと一瞬思ってしまうが、これが実はやってみると意外に大変である。

実は事前に一度、操作を覚えるためにテストプレイをしていて、その時も同じように1546年から始めたのだが、めちゃくちゃ苦難の連続だった。

勢力別にみると、大内家は8城を持ち兵力数は14250で、最大兵力数でいえば全国2位の大勢力である。武将も32人というのは他勢力に比べるとかなり多い。

1546年時点での最大勢力数ランキング。大内氏は2位。

ところが、大内家はやたら面積が広い割に、能力値の高い使える武将がほとんどいない。それに対して、隣国である毛利家や大友氏は主君も家臣も有力な武将が勢揃いしていて、戦うと非常に苦戦を強いられてしまう。

隣国の尼子家が1位の勢力となっているが、尼子家にもあまり有力な家臣がいないので、放っておくとすぐに多士済々の毛利家に滅ぼされてしまう。だいたい史実に向かうような流れになってしまうのだ。

武将の能力値には「統率」「武勇」「智略」「政務」があるが、大内家にはそれらのトップ10に入るような能力値90クラスの武将が全くいない。

1546年時点の武勇ランキング。1位の長尾景虎は後の上杉謙信。

それに対して、例えば「武勇」で言えば能力値91で全国7位、さらには統率92で知略88という九州最強の猛将、戸次鑑連(べっき あきつら)が隣接勢力の大友家にいる。これは「歴史発想源」の「西国無双篇」で主人公として描いた立花宗茂(柳河藩初代藩主)の先代にあたる、後の立花道雪だ。大友家には他にも勇将や知将がたくさんいる。

さらに「知略」で見るならば、能力値100という全国最強の知将が、隣国の当主・毛利元就なのである。他の武将たちの能力値も高い。

そんな有能な武将だらけの毛利家と大内家に挟まれているので、テストプレイの時には大内家では最初から非常に苦戦した。

今作では最初に「地方統一エンディング」というのを目指すことになっていて、大内家だと中国地方の統一を目指せなどと言ってくる。そうなると毛利家や尼子家などと戦っていくわけだが、背後から強力な強力な大友家が攻めてくるからかなり大変で、不慣れなテストプレイでは毛利家を滅ぼすのに15年、中国地方を統一するのに25年近くかかってしまった。

「地方統一エンディング」を見終わった後は、いつしか大友家を滅ぼして九州を統一していた島津家と戦ったが、島津家を滅ぼしてようやく九州が統一できたのが35年後。

テストプレイ時。なんとか西日本を制圧してエンディング。

今作では畿内を押さえて全国の過半数の城を支配すれば「三職エンディング(関白・太政大臣・征夷大将軍のいずれかに就任して終わり。拒否して全国統一を目指してもよい)」となる。なんとか三好家など四国を統一できたのが40年後で、いつしか畿内を制圧していた織田信長と激闘を繰り広げてようやく畿内を支配してエンディングを迎えたのが1600年、つまり開始から54年も経っている。

テストプレイ時はよく分からなかったので慎重に行った結果、ものすごく年数がかかったので、今度は戦略を変えてスピーディーに行こう。


■大内家の武将を補強してみよう

問題は、大内家の人材の乏しさである。

大内家で使える武将といえば、統率も武勇も80台の陶隆房ぐらいである。「西国無双の侍大将」とまで呼ばれた勇将だが、そんな扱いである。軍師ヅラをしているのも知力も政務も70台の凡将である相良武任(さがら たけとう)だ。まあ相良武任が軍師的なのは確かに史実通りだけども。

軍師ヅラの相良武任。大内家にはまともな知将がいない…

大内家は西京山口の文化を花開かせ、中国地方に大きな勢力を広げた大大名で、きっとまともな人材はもっといたはずである。ということで「歴史発想源」の「大内二代篇」「陶氏二代篇」にも登場した大内勢力の武将を、オリジナル武将として作って参戦させてみることにしたよ。

テストプレイの時に人材で一番の問題は、武将の乏しさよりも、まともな後継者がいない、という根本的なところだった。

当主の大内義隆は1551年に、史実イベント「大寧寺の変」で陶隆房に殺されてしまい、冷泉隆豊(れいぜいたかとよ)などの中堅武将まで消え、武将数がいきなり激減する。史実イベントを無効にできるだが、そのことをこの時は知らなかったのだ。

そして後継者となるのが、隣国・大友義鑑の義鑑の子で次代の大友義鎮(大友宗麟)の弟である大内義長だが、能力値がゴミな上に大友家出身のくせに大友家との友好関係も上がるわけでもなんでもない。弱いから合戦でいきなり討死してしまい、いつの間にか大内義隆の娘として生まれていた架空の大内橘なる姫しか後継者がおらず、三職エンディングで女性が征夷大将軍や関白になれるという凄まじい話になってしまった。

そんなテストプレイの二の舞にならないようにと、後継者をオリジナル武将で作成しておくことにした。「大寧寺の変」が起こらなければ大内義隆が後を継がせようとしていた実子、大内義尊(よしたけ)を作ってみる。能力値はまあそこそこでいいだろう。念のため、大内珠光など実際にいた姫なんかも加えておいた。

大内義隆の実子・大内義尊を作成。大友義長よりはまともな能力値にした。

そして、8城もあるのに全然武将の数が足りないので、「歴史発想源」にも登場した大内傘下の実在武将もいろいろと作ってみることにしよう。

今作の大内家では、厳島の戦いの時に戦死する陶側の知将の弘中隆兼(ひろなか たかかね)という武将がいるが、智勇は60台で相良武任ごときに軍師ヅラされるほどの凡将だ。楽しくない。ここは80台ぐらいで弘中隆包(たかかね)という使える武将を作っておいて、弘中隆兼という人は別の一族の人ということにしておこう。

そして、弘中隆包の弟で後に毛利水軍の一翼を担う弘中方明(ひろなか かたあき)なんかも作ってしまおう。まあまあな能力を持たせておく。

大内水軍の将・弘中方明。陶隆房ぐらいの能力値は持たせたい。

他にも「歴史発想源」では登場したけれど、今作には登場していない武将をいくつも作ってみる。例えば、

堀立直正(ほたて なおまさ) 〜瀬戸内の海上商人で水軍を操る武人。大河ドラマ『毛利元就』では原田芳雄が演じていた。

冷泉元豊(れいぜい もととよ) 〜大内家臣・冷泉隆豊の息子で、毛利家臣となった後に大友家との戦争で活躍する。

白井賢胤(しらい かたたね) 〜陶晴賢の家臣である水軍の将。大内家滅亡後は弘中方明らと共に毛利水軍に加わる。

鶴姫(つるひめ) 〜大三島の大山祇神社の宮司の娘。大内氏と戦う人物だが、とりあえず作って山口に現れるようにした。後藤久美子が演じたTVドラマがあった気がする。

弘中武長(ひろなか たけなが) 〜弘中隆包の叔父。兄である弘中三河守興勝とともに大内家の東進を支える勇将。

弘中於紺(ひろなか おこん) 〜大内家家臣・二宮下総守の娘で、弘中隆包の妻。隆助や梅などを生む。

弘中隆助(ひろなか たかすけ) 〜弘中隆包の嫡男。史実では厳島の戦いで父とともに戦死。正しくは「隆佐」のようだが、なんとなくこの漢字に。

弘中梅(ひろなか うめ) 〜弘中隆包の娘。父の死後、九州の武家に嫁ぐ。弘中家関連の史料は彼女を通して多く遺されている。

堀立里(ほたて さと) 〜堀立直正の娘で、弘中方明の妻。「さと」の漢字は正しくは分からないが、一応この字にしておいた。

と、弘中家関連が多めではあるが、これで10人近くは大内氏の武将が増えたわけで、東に毛利、西に大友の強力勢力に挟まれていてもなんとか両方に対処ができそうだ。

これでなんとか、当時の「威光ある大内家」の体裁は整った気がする。この大内チームで、天下統一を目指そう!


■大内家の周辺の勢力を見ておくと

事前のテストプレイではよく分からないままに進めてしまい、西日本制覇だけで50年以上もかかってしまったので、今回はきちんと最初から戦略を練っておいて、もっとスピーディーに行きたい。

そこでまず、周辺勢力の様子をきちんと確認しておこう。まずは全国の地図から。

1546年の全国勢力図。ほとんどが中小勢力だ

山口県を中心に西は北九州まで8城を持つ大内家。他勢力はほとんどが中小で、たった1城という勢力も多い。これがどんどん淘汰されていくが、『信長の野望』シリーズは放っておくと東部を北条家が、中部を織田家が、西部を島津家が蹂躙していくケースが多い。今作も多分そうだろうから、早めに毛利家や大友毛との決着をつけて、織田家や島津家の巨大化に備えたい。

次に東側を見る。厳島近くの桜尾城(広島県廿日市市)までが大内家で、すぐ東の佐東銀山城(広島県広島市)が毛利家である。また山陰地方の山吹城(島根県大田市)が尼子家であり、尼子家とも領地を接している。

大内家と尼子家が中国地方の二大巨頭としてしのぎを削っているはずだが、テストプレイの時も毛利家がすぐに山吹城を攻め取ってしまい、大内家と尼子家はすぐに隣接関係ではなくなってしまう。今のところ尼子家は全国1位の兵力数だが、恐らくまた毛利氏にすぐ追いやられてしまうだろう。

次に西を見ると、門司城(福岡県北九州市)と立花山城(福岡県福岡市)は大内家の支配下であり、大分県が本拠地の大友家は岩屋城(福岡県太宰府市)まで勢力を伸ばしていて隣接している。

北九州にまで勢力を広げる大内家に、豊後の大友家の勢力が隣接。

南側の古処山城(福岡県朝倉市)には秋月家、城井谷城(福岡県築城町)には城井家という1城だけの零細勢力がいる。テストプレイの時はこの小さい勢力を大友家があっという間に奪ったことで、毛利を攻めている時にも西側の対処に困った。大内家と大友家に挟まれて大変そうな彼らを攻略するというスタートダッシュが必要そうだ。

同盟関係を見てみると、史実のとおり、大内家は毛利家とは同盟関係にあり、城井家は大内家に従属している。

城井家は大内家の従属勢力で、毛利家も同盟者だった

今作では同盟期間は1年間だから毛利とは1年後には戦えるが、従属関係は破棄しない限り続くので城井家は攻められない。そうなると必然的に、最初のターゲットは古処山城の秋月家となるか。

そんなわけで、大内家の野望がここから始まる。天下統一を目指して、いざスタートだ!

恐らく最大の難敵となる、毛利元就。

*       *

ということで、新発売の歴史ゲーム『信長の野望 新生』を使って大内家の天下取りを試してみる「歴史発想源」の番外篇「大内家の野望 新生」。準備を終えてここからがゲームのスタートです。

とりあえず、史実では大内氏を滅ぼす毛利元就の毛利家を滅ぼすこと、そしてできれば全国統一を目指します。

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そして皆さんも『信長の野望 新生』で遊んでみてください。歴史もよく分かって、すごく面白いですよ。

「大内家の野望 新生」、実験的な連載ですが、皆さんに少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。次回もお楽しみ!

「大内家の野望 新生」次回もお楽しみに!

(第1話へつづく)


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