DNAに刻まれた連帯感。同じ鍋をつつき合う
「赤から」ってお店を知っていますか。
愛知県名古屋市発祥の鍋物の全国チェーン店で、名物はその名も「赤から鍋」。特製の味噌と唐辛子をはじめとしたスパイスがぴりっと効いた味噌風味の鍋で、具材はホルモンやつくね、豚バラ、豆腐、ニラなど、鍋を楽しめる具材ばかり。
ちなみに、赤からの特徴はこの「赤から鍋」の辛さ段階が選べること。
0番は、ほぼ味噌鍋。そこからだんだんと数字が増えていき、赤10番が最高値で、10番ともなるとスープは真っ赤になる。店舗からのおすすめは赤3番とのこと。
私は大学生のとき、月に1回はこの赤からへ友達と赴いていた。
周りにいくつか大学がある学生街だったから、こういったワイワイできるタイプのチェーン店や食べ放題があるタイプのチェーン店、やっすい居酒屋などが多くあった。それらを週ごとにローテーションしながら、友達とご飯を食べるのが好きだった。
特に赤からは、みんなで鍋をつつき合って、最後に〆をリゾットにするか、味噌ラーメンにするかで毎回じゃんけんをしていた。私はチーズリゾットがたまらなく好きだった。ただ、じゃんけんの運はあまりなくて7:3ぐらいの割合で味噌ラーメンを食べていた。好きだったからいいけど。
少し辛い、だけど美味しい。食べるごとに身体が熱くなって、鼻水がじゅるじゅる出てくる。
「ぅあーっ!うまっ!」
「ね」はふはふとしながら答える。
赤からはメニュー構成もすごく良くて、スープをごくごく飲んでしまう寒い冬は、スープだけでおかわりができる。逆にスープを飲まずして具材ばかりが減ってしまったときは、各具材ごとに注文ができる。
「あー美味し」
何度言っても足りない気がした。
あのときの私は、友達と一緒にご飯を食べる時間が好きだったのだろうか。
それとも、「同じ釜の飯を食う」という連帯感が好きだったのだろうか。日本古来の共同体意識がDNAに刻まれていたのだろうか。
同じ鍋を最初から〆まで一緒に食べる。きっとそこにも連帯感があったことは間違いない。
”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。