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一人暮らしの独り言と絆創膏

ご飯を作っているとき、超絶久しぶりに指を切ってしまった。ピーラーを使っていたら、ほんとうに予期せぬタイミングでスーッと指が切れた。

「あ、え?」

と言っている間に、じゅわーと血が滲んできた。けっこう深く切ってしまったのか、あれよあれよという間にツーと親指を伝っていった。

「あらららら」

と、ひとり、変な声を出してティッシュを抜き、患部に当てた。ティッシュも見る間に赤くなっていく。少し押さえたあとで、ティッシュを外すとまた血が出てくる。

よく見ると、指紋の一つひとつに血が入っていって、「おお」と声が出た。これが、全身にある毛細血管の始まりだろうか。

普段はあることも意識しない指紋が、こうしてちゃんとあることを体の内側に潜んでいた血から教えてもらう。ぐるぐるぐる、ちょっとだけ血が巡って、そのうち大きな血の溜まりに浸食されてしまった。

指に対して横に切れたんじゃなくて、縦に切れてしまった。だから絆創膏の張り方に困った。絆創膏は、横の傷であれば指にぐるりと巻けるけれど、縦の傷には非常に不便だなと思った。なんかこう、患部だけじゃなくて指全体を覆うようにしか貼れなくて、うまく密着しないし、隙間だらけになってしまう。「どう見ても、こっから水入るよね……」とこぼした。

事のあらましを書いていると、自分が一人暮らしの中でいかに独り言が多いのかがよくわかる。「行ってきます」「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」基本的な挨拶以外にも、私はけっこう独り言を漏らす。テレビを見ていても一人で茶々をいれるし、バラエティ番組を見ているときは一人で突っ込んだりする。


ピーラーで手を切ったのは料理をしているときの中盤だったから、絆創膏を貼って再開した。案の定、水が入ってきて結局めっちゃ痛かった。

こういう不幸というものは連鎖するらしく、そのあと、ベッドの角に小指をぶつけて、ぶつけただけじゃなくてちょっと皮が剥けて血が出た。

「え~……なんでよ~」また、独り言を漏らして、せっせと絆創膏を貼った。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。