尊く、光り輝く僅かな時間でテレビがやってくること
土曜の8時、ゴールデンタイムのフジテレビで放送されている「新しいカギ」。お笑い芸人の霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコが中心のバラエティ番組だ。
調べてみたことで知った「コント中心の総合お笑いバラエティー番組」ってコピーが、いい。
ここ最近「新しいカギ」では、全国の応募があった学校と一緒になってする企画が多い。学校を使って全校生徒と対戦する「学校かくれんぼ」、先生と芸人がタッグを組んで生徒を笑わせる漫才をする「学校の先生と漫才グランプリ」、そして今日の放送で新しく学校のダンス部をチームに分けて、それぞれ芸人がプロデュースする「カギダンスバトル」などなど。
毎回、芸能人に「きゃー!」となる生徒たちの姿が新鮮で、同時に、企画が始まり大声で笑ったり、満点の笑顔で笑ったり、画面越しでもその生命エネルギーが眩しくて仕方ない。
学校とコラボした回の放送を見ていると、「今は『新しいカギ』が学校枠を担っているんだな」と思う。
私が高校生のときは、もっぱらV6の「学校へ行こう!」が同様の枠を担っていた。この番組で一番有名なのが、各学校の屋上に生徒(ときどき先生)が立ち、言いたいことを山びこよろしく叫ぶ「未成年の主張」だった。いわゆる告白シーンが生まれたり、誰にも言ってなかった秘密を暴露したり、言いたかったけど言えないこと、「やけくそ」というトッピングを多分に盛り込んで主張として叫ぶ。
当時、きっと多くの生徒会長や校長先生たちが、「学校へ行こう!」に応募をしていたんじゃないかなと想像する。そして、急に全校生徒が集められた集会なんかがあったときには生徒たちも「もしかして……!?」と期待しちゃったりして、ふつうに生徒指導で肩を落としたことだって何度かあるはずだ。
結局、義務教育の中でも高校の3年間の中でもV6には出会えなかった。卒業後、隣の高校に来たことを噂で聞いた。
ここからは私の見解だけど、「学校へ行こう!」と「新しいカギ」が担う役割は、似ているようでちょっと違うと思う。
「学校へ行こう!」は、ただただオモシロ要素だけで、学生たちのフレッシュな様子を電波に乗せていた。
一方で「新しいカギ」は、オモシロ要素はありつつも、もっと彼ら彼女ら学生にフォーカスしているような気がする。というのも、“ コロナ禍 ” を経た先でスタートした企画だからかもしれない。
学校が、学校として与えられるイベントや行事には限界があることを私たちは知ってしまったし、それらがいかに簡単に奪われることを知ってしまった。尊く、光り輝くわずかな一瞬の中でできることの少なさを体感してしまった。
だから、「新しいカギ」を見ていると、” 学生生活の思い出 ”、” 人生の中で芸能人と時間を過ごした出来事 ”としての側面を強く感じる。
修学旅行も、部活の試合も、学園祭も、体育祭も、授業参観も全部をちゃんとできたけれど、一方で、やっぱりそういった機会がもしかしたら得られるかもしれないという状況が羨ましいなと思ったりもする。