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好きな人が、山派なのか海派なのかすら知らなかった

ちょうど昨日のこと。大好きなおばあちゃんと姉と、はとバスで千葉県の房総をめぐる日帰り旅行に行ってきた。けっこう盛りだくさんなツアーで、新宿を出発してからまずはお魚市場に行った。干物が大好きなおばあちゃんは、金目鯛、鯵、鯖とたくさんの干物を買っていた。私は、千葉県にお住まいの農家、竹田さんが作ったという梅干しを買った。そのあと、浜焼き食べ放題のランチを終えて、ポピー農園でポピーを摘んだ。

「咲いているものはノーカウントですが、蕾は10本までにしてください」とのこと。咲いているものは何本でもいいんかい、と心の中で突っ込んだ。おばあちゃんも私も姉も、蕾を10本と、たくさんの咲きたてのポピーを摘んだ。ポピーの花言葉は、「思いやり」「慰め」「恋の予感」「陽気で優しい」だそう。赤、オレンジ、黄色、白、ピンク……こういうのは数の暴力だ。ポピー農園でたくさん咲き誇っているポピーの姿はいつまでも見ていたいのに、私が摘んだ数十本のポピーは花束にもなりきらなくて、なんだか寂しく見えた。

ポピーを摘んだあとは今日の大目玉、いちご狩りだった。3種類ほどのイチゴを食べ比べながら30分間、狩った。食べて食べて食べていたのに、15分ほどで「あと1粒食べたら、お腹が爆発する!」と思った。満腹って、だんだんとやってくるわけじゃなくて、一気にやってくる。とはいえ、残り15分あったから、3人でだらだらと惰性でイチゴを食べた。結局食べるんかい。そして、あんなに満腹でもういらないと思っていたのに、今の私はもうイチゴを食べたい。どうしてこうも節操がないんだろうか。

そのあとは、東京湾をフェリーで回遊した。

そう、で。そのときに話したことが今日のタイトルだ。私はおばあちゃんに、ほんとうに何気なく「おばあちゃんって山派? 海派?」と聞いてみた。すると、「海派だねえ」と言った。

私のおばあちゃんは、山梨県の山奥に住んでいる。

「え!? 海派なの!?」全然知らなかった。おばあちゃんの好きな食べ物、好きな色、好きな動物は知っていたのに、山派、海派を知らなかった。

それは私にちょっとした衝撃を与えて、つい「私はこれまでの恋人たちの山派、海派を知っていたかな」とまで思ってしまった。そして気がついた。

全然知らなかった。そんな単純でシンプルなこと、私、全然聞いたことがなかった。そして、恋人たちにはもう聞けないことにも寂しくなった。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。