友人のベストバイは、知識と経験だった
先日、2023年に買ってよかったもの、ベストバイについてnoteを書いた。
この話には続きがあって、このときに一緒にお茶をした友人のベストバイも書いておきたいのだ。
私が意気揚々と「ぶんぶんチョッパーが私のベストバイだよ!!」と鼻息むんむんと話し、ぶんぶんチョッパー売りつけおばさんと化した頃に友人が「あ!」と声を出した。
その声で我に返り、友人が我に返った私を見て言った。
「私のベストバイあった!」
キラキラと、新しいアイデアが生まれたかのような顔をしていた。きっと私がぶんぶんチョッパーについて語っている間に必死に考えたのだろう。全然私の話を聞いてくれていないように見えていたのは、この顔に免じて不問に付すとする。
「なになに? 思いついた??」
「ピアノだわ!」
「ピアノ?」
彼女は今年から高校生ぶりにピアノを習い始めたという。もともと彼女は小中高と吹奏楽部に所属していて、ただ、そのときはパーカッションを専門としていた。大学進学とともに地元を離れるからピアノを辞め、大学ではジャズ研に所属し、ドラムをしていた。
ジャズをやるうちに彼女は気がついた。もっと音楽を楽しむためにはコードを知っておく必要があると。コードとは3音以上の和音のことで、ジャズは基本、このコードをもとにセッションをするのだという。楽譜は読めるけど、コードはわからない。ジャズ研では先輩に教えてもらいながらしていたものの、社会人になってから「やっぱりもう一度ちゃんとコードを習おう」と思ってピアノを習い始めたのだ。
そして今年1年、毎週1日、海外の音大を出たという先生のもとでコードを習うことを中心にピアノ教室に通っていた。
それが彼女にとってのベストバイだと言う。
「最初は、こんなに続くと思ってなかったんだよね。正直仕事は忙しいし、合間に練習するのも大変で。先生からは『なんとかコードの曲を探してきてください』って言われて、そのコードの曲はなかなか見つからないわ、と思っていたらKing Gnuが出してるわで、尊敬し直したんだよね」
最後のほうはリスペクトに変わっていたけれど、1年間ピアノを習い続けたことは彼女にとってのベストバイだった。
「ちょうど先週で今月分が終わって、月謝袋のスタンプがね、全部押し終わったの。来年には新しい月謝袋になるんだけど、それが嬉しかったな」
1年前にはわからなかったコードが、彼女の中にはきっと溜まっている。知識と経験がベストバイだとは、我ながら恐れ入ったのだった。
”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。