末期ガン患者と 2018年9月25日
今、15年前の母の写真を見ている。 あの時の母とガン宣告を受けた後の母は何かが確実に変わった。
奇しくも、私が18年間の結婚生活にピリオドを打つ、と離婚宣言をした2週間後に母はガン宣告を受けた。
治療を受け、一時は寛解するも再発し、再再発し、、
先週の日曜日に母は他界した。
母は心身ともに苦しんでいた。 会うたびにやせ細っていく母。 今までの自分を悔いるような心の苦しみを他の誰にも言えず、私に吐露していた。
私が子供だった頃は、前向きで、仕事ができ、ユーモアに溢れ、センスもすごくよく、美しい母だった。 自慢の母だった。 今でももちろん大切な自慢の母だけれど。
母が自分の結婚生活についてヘドのような思いを言い始めたのは私の離婚が原因だとばかり思っていたけれど、母の死後それだけではなかったのだろうな、と思うようになった。
病気が言わせていた、とでも言えばいいのだろうか。
死を近くに感じることで「自分には残された時間がもう少ない。」という焦りから心境が変化したのではないだろうか。
未来を感じられた今まではできた我慢も、もう自分には残された時間が少ないと感じた時にもう我慢ができない。 実は私もそれが理由で離婚を決意していた。
「大腸ガンの疑いがあります。」と主治医に宣告され、もしもそれが本当だったら私は残りの人生をどう生きたいのか?と考えた時に真っ先に心に浮かび上がったことが「これ以上この夫へ我慢をしないこと。」だった。 私の結婚生活についてはまた別の機会に書くとして、話を母に戻そう。
自分に残された時間が少ない、とわかった時点で母はもう60代後半。 病気の体で離婚などできるはずもなかった。 出口の探せない迷路のような、それが人生規模だったからよっぽど切羽詰まった思いだったのではないだろうか。
もともと、「私はそんなに長生きしたくないの。」と、20年以上も前から自分の墓を用意していたような人だったけれど、ガン宣告を受けてから母は生きることへの執着(当たり前だけれど)を持ちつつも、本格的な終活を始めたのだった。
ーつづく
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