「アンをめぐる人々」読書会を開催しました
6回目の今日は、「平原の美女タニス」を読みました。
原題は"Tannis of the Flats"
タニスはクリー族、フランス人、スコットランド人の混血の美しい少女です。
平原にある唯一の店を経営するその地では裕福であろうタニスの父は、タニスを4年間、町の学校に通わせ、イギリス人と対等の教養を身に着けさせます。
楽しみなど何も無いこの平原に、電信技手として赴任したジェローム・カレーは、帰郷した美しいタニスを見て、軽い気持ちで近づき、楽しい時を過ごすようになりますが、エリナーという美しい白人の娘が、兄に会うために平原に来ると、カレーはひと目で彼女を好きになってしまいます。
ほんの遊びのつもりでタニスに近づいたカレーとは違い、タニスは本気でカレーを愛していました。表面は、教養を身に着け、他の白人の少女となんら変わらないタニスですが、ネイティブ・アメリカンの血は、彼女の中に消えることなく静かに燃え続けていました。
つまらない争いの仲裁に入り、銃で撃たれて死に瀕したたカレーを見て、タニスが取った行動とは?
いつ読んでも、このお話にも泣かされます。
静かなる情熱、民族の誇り、高潔さ、そして哀しさ、タニスは凛として強くて、本当に美しい女性です。このタニスの真の愛に、エリナーは太刀打ちできない事を悟り、自分の街に帰ってから、寡黙で、男性と距離を置く日々を送ります。
先住民を描いた物語は、アンのお話の中では、これ一つだけではないでしょうか。
ネイティブ・アメリカンは、カナダの人にとっては身近な存在ではなかったのか?同時代に書かれた、「大草原の小さな家」では、あんなにしょっちゅうネイティブ・アメリカンが登場するのに、どうしてだろう。とずっと考えていました。
モンゴメリとネイティブ・アメリカンの間には、距離があったのだろうことは確かでしょう。住んでいる場所も生活圏外、そして多分、自分にはあまり関わりない人、関わりたくない人、のように思っていたのかしら?
それでも、モンゴメリの描くタニスのキャラクターからは、彼女がネイティブ・アメリカンの尊厳をちゃんと理解し、大事にしていた事がわかります。
モンゴメリの先住民に対する考え方を知りたくて、調べていくと、ポーリン・ジョンソンという人に行き着きました。モホーク族の父とイギリス人の母の間に生まれた混血の詩人で、カナダ人として、自分の存在を知らしめると共に、先住民としての自分も強調していった人のようです。カナダの切手にもなっています。
タニスの物語を書く上で、モンゴメリの中には、このポーリン・ジョンソンがあったのではないかという記事をみつけました。
事実、モンゴメリは、ポーリン・ジョンソンについての講演を行っており、きっと、彼女の著作も読んでいることは想像に難くないと書いてありました。
大草原のローラのように、日常に関わる存在としてではなく、ポーリンを通して、また聞き集めた様々な情報によって、モンゴメリの先住民像が作られていったのかも知れません。
それにしても、登場人物や、平原の描写が素晴らしく、文字を追いながらそれが映像になって脳内スクリーンに映し出されるかのようなモンゴメリの文才は、素晴らしいですね。
一緒に音読して、一緒に涙浮かべて分かち合える時間を、ありがとうございました。
ジム船長は、きっとまたこんな風に言いますね。
「わしは、人がそんなふうに涙を浮かべるのを見るのが好きですわい。」
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